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県審議会が国見風力発電で報告案 騒音、鳥への影響低減を

国見岳の風力発電事業計画についてアセスメントの進め方を議論する県環境審議会部会=県庁で

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 県環境審議会の生活環境部会(部会長・奥村充司福井高専准教授)が一日、県庁で開かれ、日本風力エネルギー(東京)が福井市西部の国見岳で計画している仮称「国見風力発電事業」について、環境影響評価(アセスメント)で騒音や鳥類への影響を適切に調査し、極力低減するよう求める報告案を了承した。

 近く審議会から知事に答申し、知事は七日までに同社に知事意見を送付。同社が今後、アセスの方法書を策定する。

 同社は国際的な再生可能エネルギー企業グループの傘下。計画では国見岳の尾根に最大高さ百四十五メートル、風車の直径百二十メートルの風力発電機を十三基設置し、最大五万キロワットを発電する。二〇二三年八月~二五年六月に建設し、同年十一月の供用開始を想定して、アセスメントの手続きに入っている。

 国見岳ではほぼ同じ区域でソフトバンクグループ子会社のSBエナジー(東京)も発電機十二基、最大五万一千六百キロワットの風力発電事業を計画し、アセスの準備をしている。建設にあたっては今後、両社で協議や調整が必要になるとみられる。さらに国見岳から南西に約三キロ離れた金毘羅山でも別の会社が発電機十五基、最大六万三千キロワットの福井金毘羅風力発電事業のアセスに着手しており、風力発電計画が集中している。

 報告案では国見風力発電事業の区域の一部が越前加賀海岸国定公園に入り、クマタカなどの生息地やコウノトリなどの移動ルートに当たる可能性があるため、動植物や景観への影響について十分な調査を求めた。また想定区域から最短で五百メートルのところに住宅があり、騒音の影響を回避するよう要望した。

 委員からは風力発電施設が集中することで相互作用で影響が拡大することを懸念する意見もあった。報告案では事業者間で情報共有し、影響を適切に調査することも求めた。

 (今井智文)

 

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