これぞ大野雄の真骨頂だ。変化球が多かった10月26日のオリックスとの練習試合(サンマリン)から一変。最速149キロの直球でカナダ打線を押しまくった。3イニングを2安打無失点。2奪三振で5日に初戦を迎えるプレミア12への準備を整えた。
「外国人のインコースをどれだけ突けるかが大事。ガツンと引っ張られるまではいっていいと思うし、一発打たれたとしても、甘くなるといかれるというのが自分の中で分かればいい」
明確なテーマを掲げたマウンド。今永の後を受けた4回は連打で1死一、二塁とされたが、三ゴロ併殺打で切り抜けた。5、6回は三者凡退。43球のうち24球を直球が占め、17球のうち6球にとどまった前回とは比率を逆転させた。
違いはそれだけではない。登板日には肩の消耗を防ぐために試合前練習ではキャッチボールを行わないのが大野流。しかし、今回はみっちり投げた。「ブルペンで待機するなら、そういうわけにはいかない」。何でもこなすことを公言している左腕が思いを体現した。
この日、31日の試合で右足薬指を骨折した秋山が離脱した。同じ1988年生まれで沖縄入りした27日には「同級生会」を催し、共闘を誓った間柄。宿舎でのミーティングでは稲葉監督の「思いを胸に戦っていくしかない」との言葉にうなずいた。当初の予定通り、第2先発として台湾での予選リーグに臨む大野雄。日の丸のために全身全霊を込める。