県立博物館・美術館を運営する指定管理者「沖縄美ら島財団」(花城良廣理事長)は3日までに、「沖縄とトランプ大統領」をテーマに元外務省国際情報局長の孫崎享さんを招いた勉強会(主催・東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター)の会場使用について、「政治色が強すぎる」などの理由で申請を認めない決定を出した。主催者の緒方修センター長は「過去に講演会やシンポジウムを開いているが、なぜ今回はだめなのかが分からない。孫崎さんの現政権批判の論調が理由なら、言論の自由に関わる問題だ」と批判している。
緒方センター長によると、20日に予定していた勉強会はトランプ米大統領の就任と、名護市辺野古の新基地建設や中国脅威論に固執する安倍政権とのはざまで沖縄はどうするべきかを考える趣旨だった。
2月中旬、同館に会場の申請を出したが、担当者から「中身がそぐわないので貸すことができない」との連絡があったという。
緒方センター長は「米国と安倍政権に翻弄(ほんろう)される沖縄、基地問題について、県民が知りたいテーマでもある」と指摘。「孫崎さんの勉強会の、どこがそぐわないのかが分からない。今回のような対応がまん延すれば、次第に公共的な施設では自由な言論は禁止になりかねない」と訴え、同館に文書での回答を求めた。
一方、昨年4月から同館施設を運営する指定管理者の美ら島財団の担当者は、孫崎さんの勉強会を「政治色が強い」との理由で会場使用を不許可にしたことについて「同館設置の趣旨に則していなかった。政治色の判断基準は決まっていないので難しいが、統括と班長、担当者3人の計5人でさまざまな観点から判断した」と説明した。
県と協議した結果、4月以降の施設利用について「土日、祝日は設置目的に沿った事業への利用を優先し、仮予約の時点で内容や趣旨などを精査することに決まった」と説明。勉強会の予定が3月中にもかかわらず、4月以降の利用基準で判断したことについては「担当者の誤りだった」と同センターに謝罪した。