いくら調整段階とはいえ、「プレミア12」を前に先発を託された右腕が露呈した不安はあまりにも大きかった。山口が2イニングを6失点。4安打を浴び、4四球を与える大乱調にベンチの稲葉監督も首をかしげた。
1回は三者凡退。2三振を奪い、完璧な立ち上がりを見せた。ところが2回に一転する。直球が高めに浮き、フォークボールはホームのはるか手前でワンバウンド。簡単に見極められた。先頭を四球で歩かせ、連打で先制を許す。押し出しと適時打でさらに2点を失い、2死満塁から3番打者に左中間を破られた。走者一掃の3点二塁打。この回一挙6点を失い、ファンのため息を誘った。登板後「もう少しフォークの精度を上げないといけない。低めのボール球を見極められてしまったので、ブルペンで修正していきたい」と話した。
19日の日本シリーズ第1戦から中11日。30日のブルペンではシーズン中よりも多い73球を投げた。「まだ本戦に向けての調整段階。日本シリーズに入ってから投げ込めていなかったので」。台湾での1次リーグを見据えた調整だった。
「状態はいいし、またこの期間で来季に向けてもう1つ、2つレベルアップしたいと思っている」。そう意気込んだマウンドでまさかの背信。やや小さいとされるプレミア12の公式球への対応が課題となった。
先発陣ではエースと期待した千賀が出場を辞退。1次リーグ2戦目となる11月6日のプエルトリコ戦での先発が見込まれていた岸は30日に発熱を訴え、2日連続で練習を休んだ。初戦の5日ベネズエラ戦で先発が有力視される山口。残された時間は多くはない。