朝から教育業界には激震が走っている。大学入試の英語の民間試験導入について、萩生田文部大臣の「身の丈」
もうひとつ忘れてはいけないのが「
大学入試改革に関しては現在世間の注目が英語民間試験に集中しているが、センター試験の後釜となる大学入学共通テストの国語記述式問題をめぐる不安もいまだ解消されていないことを忘れてはいけない。
2020年度の大学入試改革は、高大接続改革の一環として提案されたものだ。高大接続改革は、大学教育改革、高校教育改革、そしてその2つを結ぶ大学入試改革の三本柱から成る。当初は「明治以来の大改革」と喧伝された。
2015年には、東大と京大が推薦入試を導入することを表明し、国立大学協会は2021年度までに入学定員の30%を推薦入試、AO入試、国際バカロレア入試(国際基準の大学入学者資格を利用する方法)などにあてることを目標に掲げるなど、一時期は大学側からの賛意も多かった。
しかし風向きが大きく変わったのは、2015年12月22日に文部科学省の専門家会議が「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の「記述式問題イメージ例【たたき台】」を公表したころからである。
このとき「どうやって採点するのか?」が話題になった。記述式問題は採点基準に幅ができやすいうえ、50万人を超える答案を短期間でどうやって採点するのかということだ。
マークシート方式よりも先に記述式の試験を行う案が検討されたが、実施時期が前倒しされれば高校の指導カリキュラムに影響が出る。記述式は各大学が採点するという案も検討されたが、日本私立大学団体連合会は「入試準備などと並行して新テストの採点をするのは実質的に不可能」との意見書を出した。
さらに具体的な実施方法を検討する段階になると、改革は急にトーンダウンした。特に公立高校の教員から「複数回実施」への反対意見が相次いだ。現在のセンター試験より前倒しの日程で試験が実施されれば、学校での指導が間に合わなくなるというのだ。中高一貫校が圧倒的に有利になってしまうということに、このときようやく多くのひとが気づいた。
結果、2016年3月31日に発表された「高大接続システム改革会議『最終報告』」では、複数回実施はいったん見送り、2024年度以降、記述式問題の文字数を増やすとの方針が示された。