地球惑星進化学グループ

Laboratory of Earth and Planetary Evolution

SHRIMP

 SHRIMP(Sensitive High Resolution Ion MicroProbe)は、鉱物や岩石の局所同位体比測定を含めた微量成分分析装置である。2次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry : SIMS)の中でも特に、一次イオンビームを収束させて局所分析に適用したものをイオンマイクロプローブ法と呼ぶ。この手法を軸に、高感度かつ高分解能を実現したものがSHRIMPであり、数~数十μm径の微小領域における同位体分析が可能である。

現在日本では、本研究室と国立極地研究所が一台ずつ保有している。

以下、概略図を示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本体は大きく分けると

(1)一次イオンカラム(primary ion beam column)

(2)予備試料室(sample lock)

(3)試料チェンバー(sample chamber)

(4)静電場アナライザー部(ESA:Electron Static Analyser)

(5)マグネット部(magnet)

(6)検出部(collector)

 

6つからなる。

 

イオン源でつくったO2-は約10kVで加速され、試料チェンバー内に45度の角度で照射される。試料面に対して90度で放出された二次イオンは四重極レンズ等による二次イオン調整カラムで調整された後、ソーススリットを通ってESAに導かれる。最終的に高分解能スペクトルを得るために、エネルギー分布に広がりを持つ二次イオンはESAによってエネルギー収束される。その後マグネットを通って質量分離された二次イオンはコレクターで検出される。

 

 SHRIMPは隕石中のリン酸塩鉱物や、地球の岩石中に含まれるジルコンのU-Th-Pb年代測定を得意とする。また、消滅核種を用いた年代測定や、微量元素の定量も可能である。

 

 進化学グループ所有のSHRIMPを使用し日高研・寺田研では、主に隕石中のリン酸塩鉱物やジルコンのU-Pb年代測定に力を入れている。例として、グリーンランドの片麻岩におけるジルコンや、Apolo試料・月隕石・火星隕石などの、宇宙物質中のリン酸塩鉱物のU-Pb年代測定などが挙げられる。また、U-Pb年代測定以外にも、隕石中のジルコンやプレソーラーグレイン中の希土類元素などの測定も行っている。

 早坂研では、西南日本先白亜紀テレーンのオフィオライト中に含まれるジルコンのU-Pb年代や微量元素の定量などを行っている。

 以上のような測定をもとに、私たち地球惑星進化学グループでは、地球や太陽系の起源・初期進化過程を紐解くため、日々研究に勤しんでいる...

 

(文責 福田)

 

[参考文献]

 高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP)を用いた地球惑星科学

日高洋、佐野有司(地球科学31116(1997))

 年代測定概論

兼岡一郎(東京大学出版(2008))

 ASIHP

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