貧しくても「読む力」があれば世界は変わる

ブレイディみかこ×新井紀子「教育」を語る

ブレイディみかこ氏(左)と新井紀子氏が熱く語り合います(撮影:尾形文繁)
ともに「子ども」が置かれている現状を通して社会に問題提起しているブレイディみかこ氏と新井紀子氏。
ブレイディ氏は、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で中学生の息子さんの体験と成長からイギリスの社会問題を炙り出しています。一方、新井氏は『AIに負けない子どもを育てる』で、子どもたちが読解力を身に付けるためにどうすればいいのかを描いています。
日本とイギリスの問題点を踏まえ、それぞれどのようにお互いの著書を読んだのでしょうか。また、子どもたちがこれからの社会を生きていくうえで、何が必要とされているのでしょうか。
子どもたちの現在と未来について、注目の2人がそれぞれの現場から語ります。

「ああなっちゃいけない」という強い思い

新井紀子(以下、新井):ブレイディさんと私は同世代で、同じタイミングで日本を飛び出していますね。私は1984年に、経済が最悪だったレーガン時代のアメリカに、ブレイディさんはサッチャー時代のイギリスに。ですから、バブル世代のはずなのに、まったく恩恵を受けていませんよね。

『AIに負けない子どもを育てる』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ブレイディみかこ(以下、ブレイディ):全然、受けていないです。

新井:作品を拝読していると、私たちは出発点に共通点があって、社会に対する見方や関心の持ち方が似通っているのを感じます。

アメリカに到着していちばん驚いたのは、世界一豊かだと思っていた国の惨憺(さんたん)たる状況でした。マイナス20度にもなる厳寒の冬でしたけれど、毎週のように銀行が閉鎖され、住宅ローンが払えなくなって家から追い出された人たちが、ビュイックやカマロみたいな高級車の中で凍死している。そういうニュースを聞いて、本当に驚きました。

レーガン大統領が猛烈に推し進めた新自由主義の経済政策の恐ろしさをリアルに体験したんです。とくに、1ドル=270円ぐらいだった円が、あれよあれよという間に100円ぐらいになってしまい、親からもらったなけなしのおカネが3分の1に減っちゃったのはこたえました。

もちろん、それでアメリカ経済は持ち直したともいえますけれど、その犠牲となった人たちのことや、自分自身の貧しかった暮らしを思うと、「ああなっちゃいけない」という気持ちがすごく染みついているんです。

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  • 今日のご飯はf81b0319ab5a
    この対談を読んで気づきました。

    日本人の多くはは「格差」を認めたくない。いつまでも自分は中流だと思っていたいということを。

    また、「中流」から落ちた人は「自己責任」というレッテルを張ることにより、システムが崩壊(格差社会)していることを気づかないようにしていることを。

    「自己責任」という言葉は危険だと思います。「確かに貧乏であったとしても、学校や図書館で勉強すれば良いとか」言うことはできますが、周りの人間の大半が「無職」「アル中」「薬中」の状況で図書館で勉強しようって思いますか?これも自己責任でしょうか。

    単にお金の問題ではなく、環境の問題の方が大きいと思います。
    up19
    down1
    2019/11/1 09:55
  • あっぺんど7d6c3ee49649
    おふた方のファンで、夢の対談という思いです。
    経済格差が教育格差となり、教育格差がまた経済格差に、子々孫々までフィードバックする問題を解決したいというのが、一貫したテーマです。

    前半では読解力を上げることで、お金をかけないで学力を身に付ける、「個人としての救済方法」が語られています。
    そこで終わらずに、後半では返す刀で「社会としての救済方法」を論じて「自己責任論」をバッサリ斬り捨てるところが痛快です。
    up15
    down1
    2019/11/1 09:19
  • といざヤす9fb97ee2a27b
    昭和の戦後の一億総中流時代のマンガでは、ビンボー人の子供とお金持ちの息子が接触するために起こる青春ストーリーがけっこうありましたが、平成になって階層化が進むと、あまりにも非現実的と、読者も作者も気がついてしまいました。

    その代わり、平成時代に流行ったのが、ファンタジー系やセカイ系物語だったのかもしれませんね。
    up11
    down1
    2019/11/1 06:35
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