NEWS / HEADLINE - 2019.10.31

「ところざわサクラタウン」とは何か? ランドマークは隈研吾設計の「角川武蔵野ミュージアム」

KADOKAWAと所沢市の共同プロジェクトである「COOL JAPAN FOREST構想」。その拠点施設となる「ところざわサクラタウン」が2020年7月17日にオープンする。4万平米におよぶ敷地の全貌とは?

 

ところざわサクラタウン完成予定図 (C) KENGO KUMA & ASSOCIATES (C) KAJIMA CORPORATION

 KADOKAWAと所沢市の共同プロジェクトとして進められてきた「COOL JAPAN FOREST構想」。その拠点施設となる「ところざわサクラタウン」が、2020年7月17日にオープンする。

 「COOL JAPAN FOREST構想」とは、「みどりと文化と産業が調和した地域づくり」を進める構想。その拠点施設「ところざわサクラタウン」は浄水所の跡地を利用したもので、文化施設と宿泊施設、書籍製造・物流工場、そしてKADOKWAのオフィスによって構成される、土地面積4万平米の巨大施設だ。

ところざわサクラタウン完成予定図 (C) KENGO KUMA & ASSOCIATES (C) KAJIMA CORPORATION

ランドマークは「角川武蔵野ミュージアム」

 サクラタウンを構成するのは、「角川武蔵野ミュージアム」「EJアニメミュージアム」「ダ・ヴィンチストア」「ショップ&レストラン」「ジャパンパビリオン」「千人テラス&中央広場」「EJアニメホテル」「武蔵野坐令和神社」「所沢キャンパス」「書籍製造・物流工場」の10要素。

 なかでもサクラタウンのランドマークとなるのが、全体に先んじて6月6日にプレオープンする「角川武蔵野ミュージアム」だ。

ところざわサクラタウン完成予定図。右が「角川武蔵野ミュージアム」 (C) KENGO KUMA & ASSOCIATES (C) KAJIMA CORPORATION

 「角川武蔵野ミュージアム」の建築設計は隈研吾が担当。高さ40メートルの外壁には岩盤が使われており、多角形を組み合わせたデザインは「迷路的な地球」のイメージだという。このような石の建築はV&Aダンディー(スコットランド)でも見られるが、隈は同館について「これをさらにスケールアップしたもの」だと話す。

 内部は、1000平米の「グランドギャラリー」、高さ8メートルの本棚に囲まれた「本棚劇場」、荒俣宏監修の「驚異の部屋」、松岡正剛監修の図書空間「エディットタウン」などで構成されており、3階には、日本のアニメを独自の切り口で紹介する「EJアニメミュージアム」が入る。「グランドギャラリー」のオープニングとなるのは、「隈研吾建築展」と「妖怪展」。 

角川武蔵野ミュージアムの本棚劇場イメージ図 (C) KENGO KUMA & ASSOCIATES (C) KAJIMA CORPORATION

 このミュージアムの館長を務めるのは、編集工学者・松岡正剛。ボードメンバーとして、荒俣宏、神野真吾、隈研吾が名を連ね、エグゼクティブ・プロデューサーはKADOKAWA取締役会長の角川歴彦が務める。

 松岡は同館のコンセプトについて、「角川会長から図書館と博物館と美術館を一緒にしたいと伺った。一冊の本の中でもアートと哲学と自然史が一緒になることもある。それを拡大していけば可能になると考えた」と話す。同館では、この図書館部分を松岡が、博物館部分を荒俣が、美術館部分を神野が担当するという構想だ。

 松岡はこう続ける。「メディアであれコンテンツであれ、全歴史をそこに包含することができる。このミュージアムはそういうものを組み立て、私たちが何を想像してきたのかを考え、全館を構成した。誰も見たことがないミュージアム。想像力や連想で世界と結びつく場所にしたい」。

 「驚異の部屋」を監修する荒俣は「あらゆる驚き(ワンダー)が『非ワンダー』として入ってくる時代。ミュージアムはこのワンダーを活かしたい」としながら、「いままでの博物館が並べないような、虚実入り混じる、ワンダーを提供する」と意気込んだ。

 アートを担当する神野は、その取り組みを「展覧会」「ラーニング」「地域コミュニティ」の3本柱で紹介。展覧会は「創造的な経験の場」としてとらえ、既存の枠にとらわれない、新たなテーマや取り組みに挑戦するという。またラーニングは展覧会と同じ重みを持つものとして取り組み、これらを通じてコミュニティの発展に貢献したいとしている。

 なお角川は、美術や建築などの複数部門からなるヴェネチア・ビエンナーレに学んだという「武蔵野回廊国際芸術祭構想」を発表。美術、映画・動画、出版、教育の4部門を柱とする芸術祭構想があることを明らかにした。

このほかの注目施設

 このミュージアム以外で注目したい施設が、「ジャパンパビリオン」と「EJアニメホテル」だ。

 「ジャパンパビリオン」は、スタンディング時で1800名を収容する保ホールAと、シアター形式で200席を有するホールBからなるイベントホール。大規模なeスポーツ大会や2.5次元ミュージカル、ライブコンサート、映画上映などでの活用が期待される。

ジャパンパビリオン(イメージ図) 

 また「EJアニメホテル」では、アニメやゲーム、コミックなどのKADOKAWAの知的財産(IP)コンテンツを活用したホテルで、5タイプ全33部屋によって好きなIPと過ごせる環境を提供するという。

EJアニメホテル(イメージ図)

 年間で延べ140〜180万人の来場者数を目指すという「ところざわサクラタウン」。数多くのコンテンツを抱えるKADOKAWAの新たな挑戦がどのように花開くのか、注目したい。

事業発表会に登壇した関係者。中央2人が松岡正剛と角川歴彦

EDITOR'S PICK

前へ
次へ
NEWS / HEADLINE - 2019.11.1

日韓のジェンダーギャップ指数の低さを考える。『82年生まれ、キム・ジヨン』の朗読から出発するシンポジウムとは?

日本と韓国のジェンダーギャップ指数の低さと向き合い、考察を深めるためのシンポジウムが、11月17日に学習院女子大学で開催される。本企画は、チョ・ナムジュのベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(2016)のリーディングをベースとしたものだ。

「82年生まれ、キム・ジヨン」を日韓の女優が読む! チラシ

 世界経済フォーラムが発表した男女格差を測るジェンダーギャップ指数によると、149ヶ国中、日本は149位、韓国は118位。この事実と向き合い、考察を深めるためのシンポジウム「『82年生まれ、キム・ジヨン』を日韓の女優が読む!」が、11月17日に学習院女子大学で開催される。

 本企画は、チョ・ナムジュによるベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(2016)のリーディングをベースとしたシンポジウム。同著は、33歳の主婦の半生を通じ、韓国の女性なら誰もが経験するような男女の不平等や苦悩を描いたもので、韓国国内で100万部を突破し、社会現象にもなった。日本においても、2018年に斎藤真理子によって訳されたものが筑摩書房より刊行され、注目を集めた。

 本企画では、日韓の女優ふたりが日本版の一部分を朗読。それを起点に会場全体でジェンダーについて考察していく。リーディングの演出は、セクシャルマイノリティや社会問題などを綿密にリサーチし、演劇としてアプローチする劇作家であり演出家の詩森ろば。上演後は、詩森と韓国の演出家、リュ・ジュヨンをゲストに招いたトークセッションも予定されている。

熊坂理恵子
ファン・ジェヒ