Torvalds氏は、「私は、みんながやるべきことの1つは、返事を早く返すことだと思っている。そうすれば、コードを送ってくる開発者は、それがパッチであれ、リクエストであれ、自分の仕事が(中には評価できないものもあるので、必ずしも評価されるとは限らないが)少なくともフィードバックを受けられると感じられる」と語った。
この話は、あまり楽しそうには聞こえないかもしれない。Hohndel氏はTorvalds氏に、以前出版された自伝のタイトルは「Just for Fun」(邦題:「それがぼくには楽しかったから」)だったはずだと突っ込んだ。Torvalds氏は、最近ではRAMが4MBしかなく、簡単なライブラリーやツールしかないPCでコーディングをするようなことはないが、今でも楽しんでいるようだ。
「多くの面で、開発は以前よりずっと簡単になった。(中略)ツールもよくなったし、ドキュメントもよくなったし、自分の仕事の一環だと感じられるようなコミュニティも増えた。そのコミュニティの大きな役割の1つは、新しい人が入ってくるのを手助けすることだ」 と同氏は言う。
しかしTorvalds氏は、「少し面白くないのは、たくさんのルールを決めなくてはならないことだ。以前はもっと自由奔放にやれたし、冗談も言えたし、色んなことを試せた。真剣にやることがたくさんあるが、私がこれを今でもやり続けているのは、正しいことだからだ。正しいので、自分の時間のほとんどをメールを読むことに費やしているが、それをやっている理由には、それをしなければ退屈だからということもある」とも述べた。
Torvalds氏はまた、自分が今Linuxに関してやっていることには満足しているが、他の人と同じように、自分の能力に疑問を抱いているとも認めた。自分はインポスター症候群だと感じることもあるという。
実際、Linuxはデスクトップ市場を除いてほとんどあらゆる分野で使われているのだが、Torvalds氏は「私がGitについて嬉しく思っているのは、世界を取ったからではない。われわれはみな、自分に自信がなく、『自分は本当によくやれているのだろうか』と考えている。そして、私がLinuxに関して自信を持てないことの1つは、これが単なるUnixの再実装だということだ。問題は、自分には単なる何かの改良以上のことができるかどうかということで、Gitは自分にはそれができることを証明してくれた。社会に大きな影響を与えたプロジェクトを2つ作れたということは、一発屋ではないということだ」と述べている。
もちろん、Torvalds氏以外の人間は誰でもそれを知っているはずだが。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。