「未経験のIT転職で失敗した」と後悔する新人エンジニアをたくさん見てきました。
エンジニアとしてIT業界で長く働いていますが、IT業界の転職に関しては、未経験でも採用されやすい業界だと感じています。
エンジニアの仕事が良くわからないけど、未経験OKの求人があったからと応募してみたら採用されたという人も実は多いです。
IT業界のあるあるですが、未経験の人がIT業界に転職すると、高い確率で失敗して最初の会社を退職します。
IT業界は右肩上がりで人材不足だから転職しやすいイメージがありますが、それは同時に離職率が高いことも意味します。
ではIT業界に未経験で転職するのは無理なの?と言われると、決してそんなことはありません。
ただIT未経験で転職する場合、きちんと将来性を考えて事前に準備することをおすすめします。
今回は未経験で転職して10年以上IT業界にいる現役エンジニアが、IT転職で失敗しない方法を実体験を踏まえながらお伝えしたいと思います。
スキルがあればエンジニアとして一生食べていけるので、IT業界を目指す未経験の方は参考にして下さい。
未経験のIT転職で失敗しやすい業界
まずIT転職といっても業務内容は幅広く、いわゆるブラックな案件が多い業界に転職すると失敗する可能性が高くなります。
特に気をつけたいのが、SES(派遣)業務をメインにしている企業で、未経験のIT転職で離職率が高いので注意してください。
大きく分けてIT転職で目指せる職種は、
- オープン系プログラマー
- 汎用系プログラマー
- 組み込み系プログラマー
- 通信系プログラマー
- ゲーム開発プログラマー
- アプリ開発プログラマー
- WEB系プログラマー
になると思います。
それぞれの特徴と、転職で失敗しやすいかについて説明していきます。
オープン系プログラマー
おすすめ:★★★★
上記で説明した汎用機ベースのシステムを、パソコンに置き換えたシステム開発になります。
プログラミング言語はJavaなどの人気言語になりますが、業務内容は汎用系とかわらないので人気はありません。
未経験のIT転職で失敗したとしても、プログラミングの潰しがきくので、将来性は悲観的にならなくてもいいと思います。
ただブラックな案件も中にはあるので、ヤバいと思ったら転職したほうが良いかもしれません。
汎用系プログラマー
おすすめ:★
銀行や保険会社などの大規模システム開発が多く、SES契約の企業が多いのが特徴です。
ホストコンピューターと呼ばれる1つのコンピューターで完結できるシステム開発で、プログラミング言語はCOBOLやPL-1と呼ばれる古い言語が多く人気はありません。
将来性という意味では、今後も汎用機のプログラミング言語が継続することは考えにくいので、不安定な仕事になる可能性が高いです。
特に若手のIT未経験が何も知らずに汎用系の案件に派遣されると、高確率で失敗したと後悔して転職します。
組み込み系プログラマー
おすすめ:★★★
家電などの電子制御を行うシステム開発がメインです。
一時は停滞していましたが、IoT(Internet of Things)の技術が見直されスマホと家電の連携など需要が出てきました。
プログラミング言語はC言語やC#などで、未経験で覚えるのは苦労すると思います。
需要は今後も伸びることが予想できるので、将来性を考えればIT転職で未経験が狙っても良い業界になります。
ただスキルが必要になるので、未経験で採用されにくい可能性も高いです。
通信系プログラマー
おすすめ:★★★
Wi-Fiルーターやモデム、テレビ会議など、通信に特化したシステム開発を行う業務です。
クラウドサービスが発展している現在、通信系プログラマーの需要は高いです。
ネットワーク関連の知識も必要になるので、IT業界未経験にはハードルが高くなります。
ゲーム開発プログラマー
おすすめ:★★★
家庭用ゲーム機のソフト開発などがメインの業界になります。
C++やC#といった、未経験には難易度が高いプログラミング言語を使用します。
スマホアプリの需要などもあり、将来性は期待できます。
ただ難易度の高さと過酷な労働環境から、未経験のIT転職にはおすすめできません。
アプリ開発プログラマー
おすすめ:★★★★★
スマホアプリの開発がメインの業界です。
Java、Ruby、Swift(iOS)など、人気のプログラミング言語を使います。
企業にもよりますが、ゲーム開発に比べると環境的には仕事がしやすい傾向があります。
将来性もあり未経験の需要もあるので、未経験のIT転職におすすめできます。
WEB系プログラマー
おすすめ:★★★★★
Facebook、Googleといった有名企業が多く、IT業界で最も勢いがあります。
Ruby、Python、PHPといったプログラミング言語を使用します。
フロントエンドエンジニアだと、HTMLやCSSなどの使用頻度が高くなります。
未経験求人がとても多く、転職しやすい業界としておすすめです。
ただスキル的に低いWEB会社もあり、転職するときにしっかり調べることをおすすめします。
将来性まで考えると、大変でも最新の技術を扱っている企業を選ぶことをおすすめします。
未経験でIT転職するなら独学で勉強すべきか
IT未経験は転職前に独学で勉強すべきかですが、「絶対に勉強しておいた方がよい」が回答になります。
未経験OKの求人には、「研修期間あり」と書かれているので、全くプログラミングを勉強しないで転職してくる新人がいます。
もちろん書いてあるので研修期間はありますが、全く知らない状態だとついていけずに「失敗した。勉強しておくべきだった。」と後悔します。
研修のプログラムは、多少なりともプログラミング経験がある人向けになっているので、ゼロから覚えるとなるとかなり厳しいです。
私も未経験から転職して最初にCOBOLというプログラミング言語で研修しましたが、少しはプログラミングを勉強しておけば良かったと後悔したことを覚えています。
幸いなことに、今はプログラミングの勉強が家でもできる時代になりました。
パソコンとネット環境があれば、独学でもそれなりのシステムを作ることができます。
そこまで強くおすすめはしませんが、オンラインのプログラミングスクールもあるので興味がある方は利用しても良いかもしれません。
IT未経験ならWEB系が勉強しやすいです
WEB系のプログラミングであれば、他のシステムに比べてネットや教材で勉強できるので、独学でもプログラムの基礎を覚えることができます。
PHPやRubyなどは、簡単にパソコンに環境を構築できるので、未経験でも独学で学習できます。
参考:PHP独学 初心者が無理なくできる入門レベルの本と勉強法
個人的にはJavaやCから勉強してほしいのですが、難易度が高く失敗する可能性があります。
IT未経験であれば、PHPやRubyといったWEB系のプログラミングはとっつきやすいので、もし挫折したら、WEB系プログラミング言語から勉強したほうがいいかもしません。
プログラミング言語はそれぞれ特性があり、プログラマーによってはWEB系の言語を否定する人もいますが、需要は高いですし将来性もあるので気にする必要はないと思っています。
ある程度、慣れてきたらサーバを借りてWEBシステムを作ってもいいですね。
パソコンだと自分しか確認できませんが、サーバを借りてシステム構築をすればネット環境があればどこからでもアクセスできます。
少しでも独学で勉強しておけば、未経験のIT転職でも多少はついていくことができますよ。(過度な期待は禁物ですが)
IT転職を未経験で成功させるにはプログラミングスクールは必要なのか
IT業界未経験で就職するのに、プログラミングスクールに行った方がいいか。
答えを言うと、先ほども説明しましたがプログラミングスクールに行く必要はないと思います。
プログラミングスクールで学べることは基礎までが多く、実務で使えるレベルではないからです。
ただ例外として、
- 将来的にIT業界へ転職を考えている
- WEB系のプログラマーになりたい
の場合はプログラミングスクールを検討しても良いかもしれません。
将来的にIT業界へ転職を考えている
個人的には、プログラミングはスクールに行かなくても習得できると思っています。(実際できました)
もし今、転職活動中で、採用がある程度見えているのであればプログラミングスクールは不要です。
仕事をしながらスクールに通うのはほぼ無理ですしお金も高いです。
またスクールで学習する内容が必ずしも役立つわけではないからです。
ただ、将来的にIT業界への転職を考えているなら、プログラミングスクールを利用してもいいと思います。
スクールで勉強しておけば、将来、転職する時に多少なりともプログラミングの経験があると判断され評価される可能性が高いからです。(それでも未経験扱いになると思いますが)
全くの未経験がスクールで実務レベルになることはありませんが、プログラミングの基本的な知識を身につけることはできます。
WEB系のプログラマーになりたい
プログラミングスクールがIT業界の転職に不要と思っている理由は、現場との違いが大きいからです。
特に汎用機やオープン系など、規模の大きいシステム開発の知識はプログラミングスクールで習ってもあまり役に立たないでしょう。
ただWEB系の転職に関しては、プログラミングスクールで学んだことが役立ちます。
現在のプログラミングスクールが注力しているのはWEB系エンジニアの育成です。
現役講師などもWEB系出身者が多く、スクールで学んだことが仕事に直結することも少なくありません。
もちろんWEB系でも大規模開発では厳しいですが、中小規模であればスクールで学んだスキルは役立つでしょう。
参考:プログラミングスクールおすすめ!プログラム未経験の社会人がエンジニアになる方法
私も汎用系からWEB系まで、様々な業界を転々としていますが、未経験でプログラマーになるなら副業にも繋がるWEB系を強くおすすめします。
未経験からIT業界への転職で失敗しないための4ステップ
最後に未経験からのIT転職で失敗しないためのステップを現役エンジニアが説明します。
- 方向性を決める
- 必要な基礎知識をみにつける
- 転職サイトで求人をチェックする
- 転職エージェントに登録する
未経験でIT業界に転職する場合、戦略を立てなければブラック企業に入社するリスクが出てしまいます。
またホワイトでも、自分がやりたかったことと違うと、また転職することになるので注意してください。
方向性を決める
まず、あなたが目指す方向性を決めましょう。
最初に説明したように、IT業界といっても様々な業種があります。
自分が目指す方向性を決めないと、「思っていたのと違うな・・・」と失敗してしまいます。
IT業界についての良い本があれば紹介したかったのですが、未経験の方が読んでもわからないものばかりだったので断念しました。
もし迷っているのならば、汎用系以外を選べば失敗しません。
必要な基礎知識を身につける
方向性を決めたら、必要な基礎知識を身につけましょう。
汎用系やオープン系は独学では難しいですが、アプリ開発やWEB系であれば書籍やネットでも勉強できます。
ここで大事なことは、自分でプログラミングをすることです。
参考書や動画を見て終わりではなく、自分の手を動かして基礎をみにつけましょう。
ここで基礎を身につけることで、転職した後に楽になるので頑張って下さい!
転職サイトで求人をチェックする
このステップは最初から行ってもいいと思います。
IT業界の求人の探し方ですが、転職サイトが一番のおすすめです。
求人数も多く色々な条件を比較できるので、気になるものをピックアップしてみましょう。
ただIT業界の求人はかなり多く、未経験者はどの求人に応募すれば良いか選定に困ると思います。
転職サイトの場合、中にはブラック企業もあるので求人の選定には注意が必要です。
ですが業界に詳しくなければ(詳しくてもわかりませんが)、どこがブラック企業かなんてわかりません。
失敗を回避するために、本格的に転職活動を開始する時に、転職エージェントに登録しておけば安心です。
転職エージェントに登録する
IT業界未経験で転職するならば、必ず転職エージェントを利用したほうがいいです。
大きく理由は3つあり
- IT業界の市場について教えてもらえる
- ブラック企業などを回避できる
- 書類作成や面接対策をしてもらえる
エージェントを利用すると無料でこういったメリットがあります。
未経験が知りたい、IT業界についてや、この企業は安全や危険など、転職エージェントしか知りえない情報を教えてもらえます。
またキャリア不足で書類が通らないなども良く聞きますが、転職エージェントを利用すればこうしたデメリットがなくなります。
※エージェントは直接企業とやり取りするので、基本的に裏で話が通っているのです。
未経験の場合、条件面などで不利になりますが、転職エージェントを利用すれば多少なりとも良い条件で交渉してもらえます。
IT業界未経験におすすめの転職エージェントについては、以下も参考にして下さい。
参考:キャリアコンサルタントが教えるITに強い転職サイトとエージェント
IT業界は今後も伸びると言われています。
未経験でもIT転職のチャンスは多いので、しっかりと戦略を考えて転職活動を行ってください。