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チャットコミュニケーションの問題と心理的安全性の課題 #EOF2019

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DMやPrivate Channelを使うな、といっても意味がないから、
なんでDMを使ってしまうのかをまず考える、
そこからPublic

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チャットコミュニケーションの問題と心理的安全性の課題 #EOF2019

  1. 1. チャットコミュニケーションの問題と 心理的安全性の課題 2019/10/31 EOF2019 中山ところてん
  2. 2. 自己紹介 • ところてん • @tokoroten • 株式会社NextInt 代表 • 怪文章職人 • 最近の活動 • データサイエンティスト養成読本ビジネス活用編 • Veinという自社サービスを運営中 • 最近のお仕事 • 機械学習顧問・コンサル(3社) • モバイルミドルウェア企業 • データ分析企業 • FinTech企業 • 業務改善コンサルティング(1社) • 新規事業コンサルティング(1社) • ゲームディレクター(1社) ↓共著 ↓寄稿↓共著
  3. 3. 友人からの相談 会社のSlackがDMまみれで大変なんだ これ何とかならないかな……
  4. 4. 友人からの相談 • Slackの統計情報を見せてもらう • Direct Message 50% • Public Channel 30% • Private Channel 20% • こいつはひでぇや
  5. 5. 本発表の趣旨 • 友人からの相談に対するレスです • なぜDMで連絡してしまうのかを知ることで、 どうしたら改善するのかを考えていきます • 答えはないです • 基本的にSlackの用語で説明しています。他のツールを使って いる場合は適宜読み替えてください
  6. 6. 目次 • DMでやり取りすることで発生する問題 • なぜDMで連絡をするのか • パブリックチャンネルに誘導するには • 社内チャットで心をすり減らさないための運用指針
  7. 7. 目次 • DMでやり取りすることで発生する問題 • なぜDMで連絡をするのか • パブリックチャンネルに誘導するには • 社内チャットで心をすり減らさないための運用指針
  8. 8. DMでやり取りすることで発生する問題 • 知識の偏在化、属人化、トラックナンバーが増えない • 指揮系統の逸脱、業務負荷の偏り • 社内政治の温床
  9. 9. トラックナンバーが増えない • トラックナンバー • あるプロジェクトに対して、何人のチームメンバーが同時に交通事故 にあって戦線離脱したとしても、プロジェクトが進められるか、とい う思考実験 • ある1人でも欠けたら案件が止まってしまうのであれば、 いつプロジェクトが崩壊してもおかしくない • 風邪でその人が休んだだけで、プロジェクト崩壊 • DMでやり取りをしていると、 業務知識が他のメンバーに横展開されない • 出来る人が増えない、人が成長しない
  10. 10. 指揮系統の逸脱、業務負荷の偏り • 他部署から仕事を直接依頼される • 他部署からすると自分たちのコストではないので無限に発注できる • 自部門の中でだれが何をやっているのか、 誰がどれくらい負荷が高いのかが分からなくなる A部門 B部門
  11. 11. 社内政治の温床 • DMは情報の偏り、非対称性、誇張が発生する • 人間関係を利用して偏った情報を人に与え、 その人の行動をコントロールする=社内政治 • 「困ったら俺に言え、俺が何とかしてやる!」は社内政治 https://twitter.com/kensuu/status/1113129211911262209 https://twitter.com/kensuu/status/1113208033809559552
  12. 12. 目次 • DMでやり取りすることで発生する問題 • なぜDMで連絡をするのか • パブリックチャンネルに誘導するには • 社内チャットで心をすり減らさないための運用指針
  13. 13. なぜDMで連絡をするのか、サブ目次 • 心理的安全性の問題 • コミュニケーションに対する認識の違い • 多知能理論から認識の違いを考える • そもそも人の言語能力に分布がある • パブリックチャンネルは人にストレスを与える
  14. 14. なぜDMで連絡をするのか、サブ目次 • 心理的安全性の問題 • コミュニケーションに対する認識の違い • 多知能理論から認識の違いを考える • そもそも人の言語能力に分布がある • パブリックチャンネルは人にストレスを与える
  15. 15. プロジェクトアリストテレス • 心理的安全性はGoogleの調査からIT業界に広まった • Project Aristotle チームの生産性に何が寄与するかを調査するプロジェクト https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team- effectiveness/ https://rework.withgoogle.com/print/guides/5721312655835136/
  16. 16. 生産性には5つの要素が必要 • 次の5つが上から順に重要 • 心理的安全性(Psychological Safety) • 相互信頼(Dependability) • 構造と明確さ(Structure & Clarity) • 仕事の意味(Meaning) • 影響(Impact) • 真に重要なのは「誰がチームのメン バーであるか」よりも「チームがどの ように協力しているか」であった※ ※「Googleに採用されている人」という観測バイアスがかかっているので注意 https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/
  17. 17. 心理的安全性とは何か? • 意訳: 心理的安全性とは、提案をしたり、質問をしたり、懸念してい たり、失敗したことによって、罰せられたり、恥をかかされた りすることが無いことだと信じている状態 https://youtu.be/LhoLuui9gX8?t=235
  18. 18. 心理的安全性の計測指標 • チームの中でミスをすると、たいてい非難される。 • チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。 • チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶す ることがある。 • チームに対してリスクのある行動をしても安全である。 • チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。 • チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動 をしない。 • チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、 活かされていると感じる。 https://rework.withgoogle.com/print/guides/5721312655835136/ https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/foster-psychological-safety/
  19. 19. 心理的安全性を促進するには? • 仕事を「実行」ではなく「学び」だととらえる • 自分が失敗しやすいことを認める • 好奇心を形にし、たくさんの質問をする https://youtu.be/LhoLuui9gX8?t=461 https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/foster-psychological-safety/
  20. 20. 心理的安全性は何のために必要か? • ひとことで言うと、心理的安全があれば、厳しいフィード バックを与えたり、真実を避けずに難しい話し合いをしたり できるようになる。 • 心理的に安全な環境では、何かミスをしても、そのためにほ かの人から罰せられたり評価を下げられたりすることはない と思える。 • 手助けや情報を求めても、不快に思われたり恥をかかされた りすることはない、とも思える。 • そうした信念は、人々が互いに信頼し、尊敬し合っていると きに生まれ、それによって、このチームでははっきり意見を 言ってもばつの悪い思いをさせられたり拒否されたり罰せら れたりすることはないという確信が生まれる。 チームが機能するとはどういうことか 4章 心理的に安全な場を作る より引用
  21. 21. プライドによって心理的安全性は損なわれる https://youtu.be/LhoLuui9gX8?t=130 このようには見られたくない 簡単な解決方法 無知 質問をしない 無能 弱みや失敗を認めない 邪魔 アイディアを提案しない 否定的 現状について論評しない Building a psychologically safe workplace | Amy Edmondson | TEDxHGSE
  22. 22. 心理的安全性の欠如はDM増へつながる • 発言を人から評価される環境では、Public Channelへの投稿 は「無知」「無能」「邪魔」「批判的」と捉えられる可能性 • そのような環境では、Public Channelには投稿しづらい • 結果的に回りから評価されないために、DMで話すようになる • 自分に自信がある人、プライドを捨てられる人、周りからの勝 手な評価を無視できる人だけがPublic Channelで発言する
  23. 23. パブリックチャンネルは健全性指標 • SmartHR会社紹介資料より https://speakerdeck.com/miyasho88/we-are-hiring
  24. 24. パブリックチャンネルは健全性指標 • scouty社(現LAPRAS社)のSlackの統計 https://note.mu/kc320/n/n2b109f599b06
  25. 25. パブリックチャンネルは健全性指標 • NextInt社(発表者の会社)の場合 • 個人情報を取り扱う採用関連の相談でPrivate Channelが増大 • BOTの実験で自分自身にDMを送るのでDM率が若干変動
  26. 26. Private ChannelやDMを禁止しても状況改善しない • 数値的なKPIは確実にハックされる • Private ChannelやDMを禁止しても、別チャネルを経由する • 個人間のやり取りにFacebook MessengerやLINE、Skypeを経由する だけなので意味がない • 情報漏洩のリスクが拡大するだけなので、悪手 • 禁止ではなく、どうやってPublic Channelに誘導するか、 どうやってPublic Channelを使いやすくするか、 を考えなくてはいけない
  27. 27. なぜDMで連絡をするのか、サブ目次 • 心理的安全性の問題 • コミュニケーションに対する認識の違い • 多知能理論から認識の違いを考える • そもそも人の言語能力に分布がある • パブリックチャンネルは人にストレスを与える
  28. 28. コミュニケーションに対する認識の違い https://mirai.doda.jp/series/interview/tokoroten-nakayama/
  29. 29. コミュニケーションに対する認識の違い • コミュニケーション=利害調整・人に対する働きかけ • 情報の流れをコントロールして、組織を円滑に回す • 組織に属するメンバーの思惑をそれぞれ調整する • それぞれの人に合わせた内容を話す • 人心掌握・説得・コントロール・ストック情報 • コミュニケーション=課題解決・第三者に対する情報発信 • 私はどのような人で、何が困っているのか、Give first • 何が重要かわからないので、重要ではない情報も流す • 課題解決・知識融合・フロー情報
  30. 30. コミュニケーションに対する認識の違い • 電話会社の社内SNSでおきた、メール文化とSNS文化の対立 https://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/227p-for-publish-11115883/14
  31. 31. 世代間のズレ • 上の年代の人ほど「コミュニケーション=人への働きかけ」と いう傾向が強そう(個人の感想です) • ITの発達とともに、一対一の対話から、一対不特定多数の情報 発信があるときから可能になった • 2ch 1999年 • Blogの普及、海外では1999年、国内では2002年頃 • ADSLの常時接続 2001年 • Twitter 2006年 • この辺りを学生時代に経験しているかに文化的な境目がありそう https://medium.com/@tokoroten/f69d544b2860
  32. 32. なぜDMで連絡をするのか、サブ目次 • 心理的安全性の問題 • コミュニケーションに対する認識の違い • 多知能理論から認識の違いを考える • そもそも人の言語能力に分布がある • パブリックチャンネルは人にストレスを与える
  33. 33. 多知能理論から認識の違いを考える • 多重知能理論(MI理論)における、8つの知能 • 論理・数学的知能 • 言語的知能 • 音楽的知能 • 空間的知能 • 博物的知能 • 身体・運動的知能 • 対人的知能 • 内省的知能 自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り開く より引用
  34. 34. プログラマは論理・数学知能、言語知能 自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り開く より引用
  35. 35. マーケ、営業、マネージャは対人的知能 自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り開く より引用
  36. 36. 人は自分の得意なルートでアプローチする • お疲れ様ですDM問題 https://yoshiori.hatenablog.com/entry/2014/12/18/165946
  37. 37. お疲れ様ですDMは何故起こるのか? • パブリックチャンネルを経由して声掛けするのが怖い • 心理的安全性、人に見られて評価されるのは怖い • 人は自分の得意な能力を使う • 対人的知能を用いて、相手が何を知っていて何を知らないのか、 自分が何を働きかけようとしているのかを、 対話を通じて探りながら問題を解決しようとする • パブリックチャンネルに書くのは大変 • 誰が何を知っていて、何を知らないのかを想定し、 第三者が読んでも意味が通じるような文章を作るには、 高い論理・数学的知能、言語的知能が要求される • 人の能力はグラデーション
  38. 38. なぜDMで連絡をするのか、サブ目次 • 心理的安全性の問題 • コミュニケーションに対する認識の違い • 多知能理論から認識の違いを考える • そもそも人の言語能力に分布がある • パブリックチャンネルは人にストレスを与える
  39. 39. 人の能力はグラデーション http://bunshun.jp/articles/-/10714
  40. 40. 人の能力はグラデーション • それでも日本の平均点は一位 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/__icsFiles/afieldfile/2013/11/07/1287165_1.pdf
  41. 41. 電話会社の研究所でも発言者は25%(2012年時点) • 昔の会社でYammer(社内 Facebook)の運営を手伝って いた際の統計分析資料 • 2012年当時はYammer • 最近は全社横断Slackらしい • 電話会社の研究所というITの 最先端(?)であっても、情報 発信者は25%(50/200) https://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/227p-for-publish-11115883/8
  42. 42. ROMによる情報の非対称性の発生 • ROMが増えると、情報の非対称性が生まれる • 発言者は自分の情報を出す • ROMは自分の情報は出さない • 情報の非対称性は一方的な攻撃を可能にする • 「○○が、Slackで~~ということを書いていた」という攻撃 • ROMは人を貶めることで社内政治を有利に進める • これを跳ね返せる強者のみがチャットに書き続けられる • 参加者の増大に伴うROMの増加は心理的安全性を阻害する
  43. 43. DMをやめろで物事は解決するのか? • Public Channelに書けというのは、 言語能力が高いやつの放漫ではないか? • 人の言語能力にグラデーションがあることを考慮していないのでは? • 対人知能が強い人がその能力を活かせなくなるのでは? • 言語能力が高くない人はどうしたらいいのか? • 多知能理論に従って言語的知能を鍛える • 文章の編集・校正、プレゼンテーション、製品のレビュー、読書感想文を書く、 日記やブログ、詩や俳句・短歌を詠む、手紙を書く、新聞を読む • 非言語的なツールを導入する • 弊社のVeinはこの辺りを狙っているが、今回は割愛 • 対人的知能が使えるパブリックな場所を作る • #random 部屋を正しく運用する • 何を直通で行うべきか、何をパブリックにやるべきかをルール化する
  44. 44. #random とは何なのか? • Slackのデフォルトの説明文を読んでみよう • あなたの組織の#randomでは、仕事に関係ない雑談が話されて いますか?
  45. 45. 雑談が相談を作る • 雑談と相談の境界線は難しい • 雑談は相談のハードルを緩和する • 雑談から相談へのシームレスな移行 は、心理的安全性を高める • 雑談なので、第三者に完璧に伝わる文章 でなくてもよい • 雑談なので評価される場所ではない ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」より図を引用
  46. 46. 分報部屋、Times部屋を作る • IT企業によっては分報部屋、Times部屋があることがある • 場所によってはz部屋とも (zから始めると、一番下に来る) • 自分が今やっていること、感情を垂れ流す作業報告部屋 • 基本的にPublicで、入りたいやつは入ってコメントしてよい • 雑談部屋を汚さずに、実質的に雑談ができる • 一部の情報耐性が高い人しか参加しないことが多いので、 心理的安全性が確保されやすい
  47. 47. なぜDMで連絡をするのか、サブ目次 • 心理的安全性の問題 • コミュニケーションに対する認識の違い • 多知能理論から認識の違いを考える • そもそも人の言語能力に分布がある • パブリックチャンネルは人にストレスを与える
  48. 48. パブリックチャンネルはストレス • なぜ電車の中で喋るのはOKで、電話するのはNG? • (電話をしている人の)周りの人は聞こえてくる会話の 内容が把握できないと、ストレスを感じるという。 • 対面会話であれば、話の流れがなんとなくでも理解でき、 不必要な情報であれば無視することができる。 • 一方、ケータイの場合は電話の向こうの声が聞き取れな いため、話の流れが見えず、内容が気になって無視でき なくなってしまうというのだ。 なぜ電車内でケータイで会話されると不快に感じるのか? 理由が判明 https://www.excite.co.jp/news/article/Rocketnews24_47652/ 元論文はおそらくこれ Overheard Cell-Phone Conversations: When Less Speech Is More Distracting https://www.researchgate.net/publication/46149275_Overheard_Cell- Phone_Conversations_When_Less_Speech_Is_More_Distracting
  49. 49. パブリックチャンネルはストレス • パブリックチャンネルの比率を増やした際に、 チームがなるべく疲弊しない運用ルール、コンセンサスが必要 • 電車の中での携帯通話と同じことがSlackでも発生 • 誰が誰と何を話しているか、自分のことが言及されてい ないかを無意識のうちに追いかけてしまう • パブリックチャンネルは人の貴重な認知リソースを奪う • DMにはこのストレスが少ない
  50. 50. なぜDMで連絡してしまうのか、まとめ • 心理的安全性の欠如 • 自分の発言が人から評価される • ROMが居るので、情報の非対称性が生まれる • 一方的に攻撃されるリスクが増える • 第三者に向けた文章を書く言語的知能の問題 • 心理的安全性が担保されても、長文を書けるかどうかはまた別 • 短文対話から、対話によって相手を探ってコミュニケーションをとることは 多くの人が出来るが、長文で議論することは難しい • パブリックチャンネルは人の認知リソースを消費する
  51. 51. 情報流通のネガティブフィードバック ROMが発生 情報の非対称性 が発生 攻撃材料にする やつが現れる パブリックチャ ンネルは怖い パブリックチャンネ ルに書かない 言語能力が 高くない DMで やり取り
  52. 52. 目次 • DMでやり取りすることで発生する問題 • なぜDMで連絡をするのか • パブリックチャンネルに誘導するには • 社内チャットで心をすり減らさないための運用指針
  53. 53. Public Channelに誘導するには https://twitter.com/miyahancom/status/1106674119209172992
  54. 54. Public Channelに誘導するには • ところてんが顧問をやっている会社でのDM対応
  55. 55. 目次 • DMでやり取りすることで発生する問題 • なぜDMで連絡をするのか • パブリックチャンネルに誘導するには • 社内チャットで心をすり減らさないための運用指針
  56. 56. なぜ心がすり減るのか • Public Channelは認知リソースを消費する • 誰が何を言っているのかを把握するし続けるのは疲れる • 情報を無視することにはコストがかかる • インターネットを古くから触っている強者は、 無意識にこれができているが普通の人にはなかなかできない • 誰がどのような運用方針で利用しているのかわからない • 雑談部屋からLeaveしたら「自分の発言が気に障ったからだ」と思って気を病む人がいた • Generalにイベント告知をしたら「業務に関係があること以外書くな」と怒り出す人がいた • メールの書き方はいくらでも研修があるのに、社内チャットにはそういうものがない • コンセンサスがなく、なぁなぁで運用されていることが多い • Public Channelの運用ルール、コンセンサスを考える必要がある • DMやPrivate Channelを禁止しても外部サービスに流れるので意味が意味がない • 心理的安全性だけでなく、言語能力、認知リソースの問題を解決する必要がある • 共通のコンセンサスを作ることで、捉え方の違い、認知の歪みによる不和を回避する • 認知リソース消費を減らすため、妬みや勘違いを減らすため、疲れないためのコンセンサスが必要
  57. 57. 社内チャットの運用指針 ① • 入るPublic Channelは限定せよ • 情報を無視することそのものにコストがかかる、 自分に関係ない部屋にはなるべく入らない • ただし、出世したいなら、自分の能力限界まで他チームのチャンネルに入れ • Who-Knows-What、トランザクティブメモリーを獲得する • 誰が何を知っているのかの知識は、業務を円滑に回す • つらくなったらいつでもleaveしてよい
  58. 58. 社内チャットの運用指針 ② • 雑談部屋でメンションのついていない発言はあなた宛ではない • チームメイトの発言は「情報の共有」のためのものであり、 メンションが付いていない限りあなたへの働きかけではない • あなたの発言は「報告」であり、反応がないことは無視ではない。 反応がほしいのであれば、その旨を書いてメンションを飛ばせ • メンションが付いていないメッセージを見落としたことによる不利益は、 メンションを付けなかったやつの責任であり、あなたの責任ではない
  59. 59. 社内チャットの運用指針 ③ • 相手の発言の意図を聞きたくなったら、DMではなくチャットルームで直 接確かめろ、質問をすることは無能の表明ではない • 質問とその解答は第三者の利益になる • @channelはなるべくさけよ、ユーザーグループ宛て、もしくは@here、 ほかの人の認知リソースをなるべく奪わない使い方を模索せよ • @channelを使い続けるとオオカミ少年になるぞ
  60. 60. まとめ • DMでのやり取りは弊害が大きい • トラックナンバー、業務負荷の偏りの発生、社内政治の発生 • DMは以下の理由で行われる • 心理的安全性が低い状態 • コミュニケーションに対する認識の違い • そもそも人の言語能力に分布がある、多知能理論 • パブリックチャンネルは人にストレスを与える • DMやPrivate Channelを禁止することはできない、 疲れないで使い続けるためのPublic Channelのルール作りが必要
  61. 61. 以下時間が余った時の余談資料
  62. 62. 余談:セキュリティと社内チャット • 情報漏洩が起きる企業は、社内チャットが死んでいる • 社外よりも社内が面白ければ、社外に情報を書くことは減る • 社内チャットで気軽に相談できるようになれば、 セキュリティインシデントは自然と減っていく
  63. 63. 余談:サイコパス野郎対策 https://twitter.com/tokoroten/status/1188992673060773888 https://slack.com/intl/ja-jp/help/articles/115004868646
  64. 64. 余談:言霊信仰とスタンプ • 日本語は主語が省略される言語 • 「(私が)ツライ」は「(会社が)ツライ」に変換される • 自分の感情の発露は、空気が悪くなる≒言霊 • スクラム開発のニコニコカレンダーの解決 https://sites.google.com/view/niko-niko-calendar/home/ja
  65. 65. 余談:言霊信仰とスタンプ • 言外の取られ方をする • テキストは行間が読まれる • 我々は行間を読む訓練を散々している • 「どうしてこんなことしたの?」 • 「今日の調子はどう?」 • Lineのスタンプはスタンプ通りに受け取る • 感情を感情として伝える • 主語補完がされづらい、言霊になりにくい • 最近は、のじゃロリおじさんがお気に入り
  66. 66. 余談:コンシューママーケットは非言語化 • 情報発信手段はハードルが緩和されたものが普及する • 技術的ハードルの緩和 • HTML→Blog→Twitter • PC→スマホ→ゲーム機 • 言語能力的ハードルの緩和 • 正しい文章→引用言及→日記→短文→写真→ゲーム→口 パク • コンテンツ的ハードルの緩和 • 自分の意見→引用言及→日記→周囲のこと→RT→ゲーム →口パク • non-text internet がコンシューマコミュニケーショ ンの主流になりつつある • Lineスタンプ、ゲームプレイ、Instagram、YouTube、 TikTok、VR? • 会社もnon-text internetになっていくのでは? • 今のままSlackとか使っていていいのか? https://medium.com/@tokoroten/ae3deec09c9

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