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交通系電子マネーのポイント還元は、キャッシュレス推進の切り札になる?

交通系電子マネーのポイント還元は、キャッシュレス推進の切り札になる?
Image: BT Image / Shutterstock.com

消費税が10%となり、1カ月がたとうとしています。○○ペイやクレジットカードなどによるポイント還元に注目が集まっていますが、実は交通系電子マネーでもポイント還元が始まっていることに気づいていますか?

そこで、今回は交通系電子マネーのポイント還元について紹介します。

JR東日本のSuicaもポイント還元対象に

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Screenshot: JRE POINT

実は、「キャッシュレス・消費者還元事業」への参加で、比較的動きが遅かったのが交通系電子マネーでした。

まず、最初に名乗りをあげたのがJR東日本のSuica。還元事業の加盟店(中小店)で買い物すると、5%のJRE POINTが付きます。本来、Suicaは2万円までチャージできるので、その5%の1,000円が還元上限となります。

Suicaの発行枚数は、7,616万枚(2019年8月現在/出典:『月刊消費者信用』2019年9月号)と、交通系電子マネーの中では堂々のトップ。これだけ多くの人が利用しているSuicaも、「キャッシュレス・消費者還元事業」の対象というのは結構なニュースだったのです。

さらに、Suicaでは乗車ポイントが付く

さらにJR東日本は10月1日から、還元事業とは別に乗車ポイントを始めています。こちらは電車に乗るたびに最大2%のポイント(JRE POINT)を付けるという内容です。

この乗車ポイントを受け取るにはJRE POINT WEBサイトへの登録が必要です。

モバイルSuica:50円ごとに1ポイント(2%還元

カードタイプのSuicaの場合:200円ごとに1ポイント(0.5%還元)

かつ、この2%のポイント付与の対象となっているのはモバイルSuica利用の場合、カードタイプのSuicaでは0.5%の還元率となっているので、ご注意を。

他の交通系電子マネーの状況は?

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Screenshot: PASMO

一方、他の交通系電子マネーはというと、すべての交通系電子マネーが「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加しているわけではありません。

現時点でポイント還元の対象なのは、関東の私鉄のPASMO、JR西日本のICOCA、名鉄のmanaca(エムアイシー発行のもの)、西鉄のnimoca、関西私鉄のPiTaPa、JR九州のSUGOCAとなっています。

全国を網羅しているような印象ですが、実は「キャッシュレス・消費者還元事業」への参加の裏では、様々な思惑があったようです。

まず、先頭を切ったのが9月初旬に発表したSuicaでしたが、この動きは首都圏の会社員のうちPASMOの利用者たちを直撃しました。というのも、Suicaでも首都圏の私鉄とJRの両方に乗れるので、無理にPASMOにこだわる必要はないからです。

これを知ったPASMO陣営は、予定していた「キャッシュレス・消費者還元事業」のスタートを早めて、9月17日にホームページに還元事業参加の告知を出しました。

その後、すぐにICOCAも参加するという噂が流れました。ICOCAが参加するなら「ウチも」ということで、今度は同じ関西の私鉄のPiTaPaがサービス参入を発表しました。

そうする間に、名古屋地区からはmanacaが参戦。名鉄の交通系電子マネーですが、ポイントサービスのついたエムアイシー発行のものと、ポイントサービスのない名古屋交通開発機構発行の2つの方式があります。参加を表明したのは、ポイントサービスのついたエムアイシーの方だけです。

九州については、JR九州のSUGOCAと西鉄のnimocaも参加しています。ただ、福岡市交通局のはやかけんはポイント還元には不参加。またJR東海のTOICA、JR北海道のKITACAも参加していません。こうした動きは9月20日になってやっとはっきりしました。

手続きのシンプルさがカギとなる

パスモでバスに乗る
Image: myboys.me / Shutterstock.com

しかし、わずか15日間で全国の主な交通電子マネーがここまで参加表明したのは、時代の趨勢(すうせい)でしょうか。

とはいえ、キャッシュレス還元事業に関しては問題もあります。

5%の還元をする中小店の数が少な過ぎること。全国には200万店の対象店があります。そのうち直近では61万店が加盟店として手を挙げただけ(2019年10月21日時点)というのが現状です。

また、実際にキャッシュレス還元の幕が開いてみると、軽減税率やキャッシュレス還元に際して何通りもの還元パターンがあって、利用者の多くが戸惑っています。

キャッシュレス決済に徹するなら、もっとシンプルに分かりやすいルールに。いきなりスマホ決済を推奨するのではなく、最初は普通のプラスチックカードで、キャッシュレスを楽しめるような仕掛けが必要なのではないでしょうか。

シンプルさと利用者へのやさしさをもって進めないと、なかなか広がらないと思います。

ほとんどすべてのコンビニで利用できる交通系電子マネーですから、その事業者が加わったことで、キャッシュレス決済は確実に進むでしょう。

しかし、手続きをどこまでシンプルにできるかが、成功を左右します。

岩田昭男(いわた・あきお)/消費生活ジャーナリスト

岩田昭男(いわた・あきお)

早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

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Source: キャッシュレス・消費者還元事業,JRE POINT WEB,PASMO,ICOCA,manaca,nimoca,PiTaPa,SUGOCA

岩田昭男

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