・IF設定が更に独自の進化を遂げた世界を舞台にお送りしております。
・キャラ崩壊注意です。
以上を踏まえた上でお読み下さい。
ナザリック9階層、【放送室】。深夜0時の終了放送も終わり、あとは総括の時間だ。
総括会議に参加するのは、【魔導国情報先進国化及び、プロパガンダ構想】の使命をアインズより賜ったデミウルゴス、パンドラズ・アクター、本日の放送者・時報担当であったアウラとマーレ、ユリ・アルファ、シズ・デルタ、ナーベラル・ガンマ。
「ふむ……。
「やはりアインズ様のお力を知っていると話が早い!さて、内容ですが、子ども向け冒険譚をマジックマンから、亜人を混ぜた5人戦隊にしたのは挑戦的でしたが、上手くいっているようで良かったです。セバス殿からも興味深い意見を頂けました!」
「……悪の組織を悪魔にするという案は却下させて貰ったがね。そしてユリ・アルファ、君の放送は実に明瞭で解りやすく、既に人気の的でもある。今後
「お褒めに預かり光栄に御座います。デミウルゴス様。これもデミウルゴス様やパンドラズ・アクター様が偉大なる脚本を描いて下さるお陰で御座います。」
「シズさんの【メイド悪魔と学ぶ軍事百科】も中々好評でしたよ!冒険者や戦士・騎士の大行列!特にバハルス帝国では皇帝まで公園へ赴き聞いていたようです。」
「…………よかったです。」
「ねーねー!わたしたちはー!?何だか6階層のメイド達と会話なんて変な内容だったし!」
「そ、その。僕とお姉ちゃんがメイドさん達と喋るだけでしたけれど……。」
「ああ、今回はアウラとマーレが〝
「ふーん、何かよくわかんないけれど、次はもっと面白い放送がしたーい。」
「これは遊びでは……まぁ、考えておくよ。さて、ナーベラル・ガンマ。」
「はい、デミウルゴス様。」
「君が魔法職に特化したドッペルゲンガーであることは重々承知しているが……。演技力はどうにかならないものかね? 流石にパンドラズ・アクター……いや、ソリュシャン程の水準までは求めないが、下等種を見下さないよう演技するのも能力だ。」
「申し訳ございません。デミウルゴス様!」
「まぁまぁ、デミウルゴス殿!ナーベラル・ガンマは、街で愛を囁かれても、殺意を抑えられる程度には成長致しました。それに【美姫ナーベ】の傲岸不遜ぶりは人気の一つです。ラジオにおいて〝ナーベ〟を演じている以上、問題は無いでしょう。事実悩みを一刀両断するような【ナーベの相談室】は一定の層に人気があります。」
「ふむ……、下等種の思考というのは理解出来ないものだね。それにしてもモモンとナーベはエ・ランテル支配における緩衝材という立ち位置だったが、〝ラジオ〟の煽動によって効率性が増している。流石はアインズ様がお考えになっただけあり、素晴らしい成果だ。」
「ええ!お陰でわたくしも宝物殿で至高なるマジック・アイテムに触れられ、こうして脚本・監修・演者を楽しめる機会が増えました!」
「ではアルベドと相談した上で、計画の第二段階へ正式に移行しましょう。信用は十分に勝ち取ったといえるだろう。」
「第二段階……ですか?」
「ああ、ナザリックがこの世界で国を持ち、世界征服へ乗り出した以上、最終目標はもちろんこの世界の全てをアインズ様の御許へ捧げること。その宝石箱はアインズ様が愛でるに足るものでなくてはならない。下等種共の心の内まで全てを掌握しないとね。」
「デミウルゴス殿がそういうと思いまして、わたくしも幾つか脚本をご用意しております。」
「流石はパンドラズ・アクター、仕事が早い。」
「なになに……。ん~?メイド悪魔と
「服装や身だしなみに……毎日の入浴に……入浴剤の選び方……歯磨き粉のオススメ……。えっと、こ、これって普通のことじゃ?」
「そう、我々の放送によって異なっていた常識を〝普通〟と思わせる事が目的だ。汗臭い身体では皆から嫌われる、臭い息をしていては異性が寄ってこない。これは疎外感という〝恐怖〟だ。第二段階では〝扇動者という駒〟の有用性、そして〝恐怖を利用した統治〟の簡単な実験を行う。下等種をよりアインズ様に捧げるに相応しい存在へ磨いてあげようという、我々からの慈悲もあるがね。」
「娯楽という甘く蕩ける蜜に、恐怖というスパイスを混ぜるのですよ!〝ラジオ〟に従っていれば……引いてはアインズ様の庇護下に居れば絶対の幸福が待っていることを証明させるのです!やがてはアインズ様が黒と言うものは、白いものでも本当の意味で黒く染まる事となるでしょう!」
「知っての通りナザリックは……いえ、アインズ様はあえて平和的な支配をお望みになられた。そのため、アインズ様はこの世界を滅ぼすだけの力を持ちながらも、不本意な事に、この世界の常識に従い行動をされていた。しかし、国を持ち〝武力〟〝知識〟〝情報〟の三役が集まり煽動の手段を得た今、ナザリックがこの世界の常識を塗り替える側に立つ転機が訪れたのだよ。」
「「「おおーーー!!」」」
「アインズ様はこの計画をどの段階で立案されていたのか……。ネイア・バラハを造り上げた時からか、はたまたゲヘナの時……いや、最初から手の内であったかもしれない。本当に底知れぬ御方だ。」
「それは勿論、わたくしの創造主で御座いますから!」
「たまにだが……本心から君を羨ましく思う事があるよ、パンドラズ・アクター……。」
デミウルゴスは自らの創造主、今や仕える事が叶わぬウルベルト・アレイン・オードルの御姿を思い、静かに鼻を鳴らした。それは放送室で会議をしている全員も同じであった。