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プロットに著作権はない。

作者:虚弱

 創作物における著作権の有無について、裁判所では「プロット又はありふれた表現」に対して、著作権はないとする判決がある。

 そこで今一度、著作物とはどのような作品なのか。またどういった作品の、どういった部分に著作権が生じるのか。そういった話をしたいと思う。


[著作物性の有無について]

 著作権法による保護の対象となる著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したものである」ことが必要である。「創作的に表現したもの」というためには、当該作品が、厳密な意味で、独創性の発揮されたものであることまでは求められないが、作成者の何らかの個性が表現されたものであることが必要である。文章表現による作品において、ごく短かく、又は表現に制約があって、他の表現がおよそ想定できない場合や、表現が平凡で、ありふれたものである場合には、筆者の個性が現れていないものとして、創作的に表現したものということはできない。


 長く小難しい表現で分かりづらいだろうが、自身の小説を創作する上では、思想や感情の表現にオリジナル要素が必要で、しかしながらも1から10まで完全にオリジナルである必要ではない、ということ。

 例えば異世界転生ものや、異世界転移もの。これらの設定を使うとなれば、それは既にある表現に則ったものとなり、全てを自らオリジナルとして創作したアイデアである、ということにはならないだろう。各種の設定や話の流れで、十分なオリジナル要素を作っていかなければ、著作権の侵害とはならないまでも、『表現が平凡で、ありふれたもの』と判断されて、せっかくの小説が自身の著作物とは認められなくなる可能性がある。


 また一方で、翻案という行為にならないようにしなければならない。


[著作権法27条にいう"翻案"とは]

 既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。

 従って、既存の著作物に依拠して創作された著作物が、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分、又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するに過ぎない場合には、翻案には当たらないと解するのを相当とする。


 これまた小難しいのだが、既存の小説を参考にして別の小説を創作するとなったとき、オリジナル要素や特徴のある表現をそのまま使用して、その上で自身による修正、増減、変更等の加筆をして、別の思想や感情をオリジナルに表現したとしても、それは翻案という『既存作品の書き直し』に該当する。

 著作権保持者には『翻案権』というものがあり、許可なく翻案を行うことは翻案権の侵害=著作権の侵害となってしまう。そういった理由で既存小説の書き直しは禁止されているので、注意が必要だ。

 かといって既存小説のプロットを使用して、新たに小説を創作する行為を禁じているわけではないというのが難しいところで、[翻案とは]の後のほうで書かれているように、『思想や感情若しくはアイデアの表現ではない部分』『表現上のオリジナル要素がない部分』に関しては、同じように書いたとしても、翻案には当たらない。


 多くの著作物が世に出回るに当たって、オリジナルであっても既存のアイデアに似通ってしまうことがあり、またそうでなくとも、小説や漫画、アニメやゲームといったジャンルは、面白いものほど脳に焼き付きやすく、1度でも接してしまえば自身の表現に影響の出さないとも限らない。

 しかしそういった些細なアイデアの一致や、接してしまったが故の表現への影響を全て取り締まっていけば、創作するとなったなど出来ない以前に、すでに世の中に出回る著作物の多くも取り締まらなければいけなくなる。


 小説における著作権は、オリジナルの表現に発生するものである。既存の作品に用いられたであろう、プロットを使用したとしても、新たにオリジナルの表現が出来ていれば、それは著作権の侵害とはならないのである。

 昨今の小説家になろう!において、感想欄から「あなたの作品は盗作である。」といった意見が散見される。これが正しい意味で『思想や感情若しくはアイデアの表現』を同じくして書き出された小説に対しての意見であるならばともかく、同じプロットにありふれた表現を使い、その上で新たな表現を行っているであろう作品に対しても、プロットやありふれた表現の一致を以て「盗作である。」と語るのは、法的な観点で見れば、間違いであることを理解して欲しい。


 日本は司法国家である。ローカルルールなどで良しとされず悪しとされることであっても、それが法的に許されることであるならば、そこを責め立てるのは間違いであると私は思う。表現の自由が保証されている国にあり、法を守っている作家が、不当な意見によって作品を汚されて、意欲を失う、世に出す機会を失ってしまうというのは、あまりにも残酷なことではないだろうか?

 今一度、著作権というものを学び、その上での行動を、多くの作家と読者、出版社の方々には求めたい。


 尚、以上の文章は全て、無学な人間が少し学んだだけで、自身の意見が正しいと信じて書いたものであり、法的な真実ではないことを、ご理解いただきたい。

 もっとお詳しい方より、ここが間違っているとの意見をいただければ、参考にしつつ、加筆修正を行いたいと思います。




参考判例

東京地裁平成19年ワ7324号

東京高裁平成17年ネ486号

東京高裁平成13年ネ3427号


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