10月29日(火)の開演前に、ある来場者の方と押し問答になりました。最終的には警察が現れるまでの事態となりましたので、なにが起こったのか不安に思われている方もいらっしゃると思います。下記にご説明いたします。
押し問答になったのは、退席をお願いしたためです。その方は過去に二回、地点の公演で妨害行為を行った方でした。最初の妨害は『ファッツァー』(2015年3月、会場:アンダースロー)で開演前に客席ではない演奏者の椅子に座って動かず、開演を大幅に遅らせたという件。二度目は『忘れる日本人』(2018年7月、会場:ロームシアター京都ノースホール)で開演中に装置の船に乗りこんだまま動かず、上演が一時中断するという件でした。いずれも、かなり強い調子で退席をお願いし、二度目は舞台監督と舞台監督助手が運び出すことでようやく退場に至り、公演を開始あるいは再開することができたという経緯でした。最初の妨害のあと、関西では何度か同じような手法で上演妨害を行い、被害に遭われた劇団・劇場も少なくないということが判明し、二度目の被害にあったときに、今後妨害目的で来場されても入場はお断りすると直接お伝えしていました。
当日はローソンチケットで前売チケットを購入して来場されましたが、入場直後に係りの者が気づいたため、このまま開演しては再び上演妨害に遭う危険性が極めて高いと判断し、退席をお願いしました。
最初に制作・田嶋が説得にあたりました。過去に二度上演妨害の被害を被っているため、観劇していただくことはできない旨伝え、説得の際「では行きましょう」と退席を促し、鞄を持って先導しました。次に舞台監督が説得にあたりましたが応じなかったため、劇場支配人の蔭山さん、芸術監督のあごうさんにも協力を仰ぎました。
劇場スタッフが説得にあたられている間に、過去同じく被害に遭った他劇団の公演で最終的には警察をよんで対応したという先例を知っていたということと、最初の説得の際に「警察をよびました」と伝えたところ、「じゃあ待ちましょう」というやりとりがあったため、何らか開演中の妨害の抑止力になればと考え警察をよびました。
もちろん、暴力行為等に及んでいない場合には客席にいる観客を警察官が強制的に退出させるということはあり得ないことであり、そうした実力行使を期待していたわけではありません。むしろ、開演を待ちながら成り行きを見守る他のお客さんのことを考えれば、警察をよぶということはカンパニーとしては苦渋の選択でしたが、上演の中断・中止を避けるための最後の手段でした。
結果的には、妨害行為があった場合には即刻退場いただくとご本人にお伝えし、そのまま開演しました。幸い開演中はなにごともなく、公演を無事行うことができたという次第です。