日本の再生可能エネルギーへの姿勢が酷すぎる

ガラパゴス化して「思考停止」に近い状態

スウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさんの地球温暖化に抗議する運動は欧州全土に波及している(写真:AP/アフロ)

「地球温暖化が進んでおり、二酸化炭素の排出量を減らしていかなければなりません。日本は国として『2050年に向けてCO2の80%削減』を掲げています。では、実際に排出量を80%削減できるとするなら、いったい何年後になると思いますか?」

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筆者は最近、大学の授業やそのほかのレクチャーの冒頭で、こう聞くことにしている。なかなかすぐに答えてくれないので、隣の席の人と話をしてもらったりして、会話をした結果の総合意見を聞くことが多い。

さまざまな回答がある。「早くて2030年」「2050年」など。「2100年」「2119年(今から100年後)」などという答えもある。さらに、「無理」「絶対に無理」という回答もある。

100年後に目標到達は思考停止と同じ

もちろん、多少傾向の差はある。同時に理由なども聞く。「なぜ、できないのか。どうしたらできるようになるか」と。学生から必ず出てくる極端な答えは、「排出量をゼロにするためには、人間がいなくなればいい」というものだ。確かにそうだとも言えるが、そう答えてしまっては身もふたもない。また、「100年以上後」という答えは、思考停止をしていることにほかならない。「自分たちの問題ではない」というスタンスだからだ。

でも、それはさすがに無責任だ。そうこうしている間に、地球全体の気温は上がり、土地を失った人たちが難民化してしまう。海面上昇によって日本のどこが水没するかという議論にはなっていないが、最近のゲリラ豪雨や台風の被害、集中豪雨による被害の大きさを考えると、人ごとではない。

そういう意味で、単に国連で定められたSDGs(『持続可能な発展のためのゴール』)という概念はCSR(企業の社会的責任)のためのものではなく、具体的な目標であると言える。

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  • ピーター51232015686c
    そもそも、再生可能エネルギーへの期待が高過ぎる。

    晴れた日に、太陽光発電が過剰になっても、一国だと売る相手がいない。
    緯度がほぼ同じだから。
    だから、電力会社は出力抑制を行いました。


    >> ヨーロッパ、とくにドイツでは再生可能エネルギーが全体のエネルギーに占める率が40%を超え、2050年の80%に向けてひたすら比率を上げている現実があるにもかかわらず


    ドイツは、電力が足りなくなれば、フランスやチェコの原発で作った電気を買えば良いだけですから。
    自分の所は、再生エネルギーにして、汚いものは他国に押し付けているだけ。
    up170
    down55
    2019/10/31 06:43
  • Box841e9f449ad7
    竹内さん、電力の議論にドイツを持ってくるのは、きちんと情報を集めていない人がすることだ。
    確かにドイツの総発電量の内「再生可能」エネルギーの比率は40%を超えました。
    ただ、ドイツの総発電量は少しずつ増え続けています。

    ドイツは世界最大の火力発電国家です。
    ドイツは近年、最大のエネルギー源は「再生可能」エネルギーだと言い続けていますが、これはごく最近までウソでした。
    ドイツは世界で唯一石炭と褐炭を分けて統計に使う国です。
    そして今でも大規模な褐炭掘削と発電をしています。

    Googleアースで高い所からドイツを見てみましょう。
    世界最大の人間の爪痕=褐炭掘削場が複数はっきりと見えます。

    もう西欧の定義する「環境」を追い続けるの辞めませんか?
    up138
    down47
    2019/10/31 07:20
  • 今日のご飯はf81b0319ab5a
    はっきり言って、感情的な議論が多すぎると思います。
    一度以下のような点について数字を基準に議論するべきではないでしょうか。

    ①原子力発電所の発電コストは本当に安いのか(原子力発電所の解体コスト及びプルトニウムの処理コストを含んで)
    ②パネル作成・設置含んだ上で、太陽光パネルは、本当に環境にやさしいのか。
    ③EVの電気は石油等から発電されているが、トータル的に本当に環境にやさしいのか。
    ④各家庭にバッテリーを配置した場合のメリットとデメリットの比較
    ⑤水力発電の可能性について
    ⑥ビルゲイツがすすめる「新たな原子力発電」の可能性について
    up82
    down10
    2019/10/31 09:57
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