中学3年の時、親にそんなことを言われてケンカしてから、どれほどの年月が経っただろうか。
そんな私は、某国立大の大学院を出て、参考書の編集者をしている。
幼い頃から、勉強だけは好きで、よくできた。けれども運動もコミュニケーションもへっぽこだったので、小中(公立)時代は同級生にいつもからかわれた。それ以上に辛かったのは、私が好きな勉強のことで、話が出来る相手がクラスにいなかったことだ。
「商業高校?とんでもない!君は普通科に行って、大学に入りなさい」
中学の時の担任は私に、世の中には進学校と呼ばれる、勉強が得意な人が集まって大学進学を目指す高校があることを教えてくれた。今振り返ればバカみたいな話だが、ネットが普及してない当時、塾に通わず、通信教育や家庭教師の類もやってなかった私には、そうした情報を得られる機会がほとんどなかったのだ。両親は共に非大卒で大学受験に詳しくないし、世帯所得も多くなく、きょうだいが4人もいるから早く就職してほしい圧は強かったが、毎晩深夜2時まで勉強し(真似してはいけない)、中3で受けた高校受験模試で県内30位以内に入り、私が進学校なる所に行くべき人間であることを納得させた。
晴れて進学校(公立)に入った私は、勉強ができることでからかわれない環境を大いに幸せに感じていたが、好きな勉強の話ができる相手は10人に1人くらいだった。Amazonもスマホもなかった時代。休みの日は実家近所のTSUTAYAで片っ端から立ち読みする(稀に買う)という生活を繰り返す中で、広義の出会いに飢えていた私は、いつしか地元を脱出して都会で人生を過ごしたいと思い始めた。
堂々と都会に住むには、都会の大学に行くしかない。一人暮らしを納得させるには、地元の国立大学より明らかにレベルの高い国立大学に受かるしかない。私は鬼のように勉強した。仮にも進学校の教諭である担任に「勉強のし過ぎでは」と心配されたくらいだ(電車で単語帳を凝視してた私を見て狂気を感じたらしい)。予備校に通うお金も通信教材をやる金もなかったけれど、学校で配られたのと先生に勧められた参考書でとにかく自習。「青チ○ートをひたすら周回」に代表される、武○塾が聞いたら卒倒しそうな非効率勉強法を猛烈にこなし、どうにか都会の国立大学に脱出成功。もちろん、JASSOの第一種奨学金をバッチリ借り、国立大単願という身の丈に合わせた受験だった。
運よく給付奨学金にありつけたこともあって大学院まで進んだけれども、都会の国立大というのは私にとって本当に恵まれた環境だった。学問の話が通じるだけではない。努力して何かを成し遂げることを「善」とする価値観に満ち溢れていた。一方、受験時代の話に花を咲かせる(都会の国立大あるある)たび、私と周りの学生が、高校までに身を置いてきた環境の違いをひしひしと感じた。年間100万円かかるという中学受験塾に通い、私立中高一貫校に入り、かつ予備校に通った上、大学には奨学金を借りずに入る。そういう人が過半数とまでは言わないが、かなりいた。
やがて私は、とある教育系の学生団体に参加するようになる。教育機会の格差是正とか意識高いワードが飛び交い、色々な企画をやってみたが、活動を継続させることはできなかった。それを本業しない学生に責任を負わせるのが無理な話だし、学生団体の活動と聞いて興味を持つ層は概して情報感度が高く、本当に支援すべき対象にアプローチできていたのか疑問だった。
そんなある日、東京の離島に行く機会があり、島でほとんど唯一の書店にふと立ち寄った。実家近所のTSUTAYAより小さく、品ぞろえもそれなりだったが、参考書が一通り置かれていた。それを見た私は、「離島でも参考書は買えるんだな」という失礼な感想と、「下手な学生団体より、教育機会を届けられているのかも」という気付きを得た。それから色々あって、そこで見かけた参考書の版元に就職することになる。
ネットコンテンツが普及しつつある今でも、本というメディアが有効性を保っているのが教育業界(入試がオールCBTになったら分からないが)。参考書の魅力は、教科書が拾いきれないニーズを、予備校など人を介するサービスより安価にかつ手広く供給できることにある。意志と適切な努力があれば、最小限の課金で身の丈を超えていける。
参考書の著者になるような一線級の予備校講師は、講師が本業であって、その稼ぎに比べれば参考書で得られる印税はたかが知れている(マンガなどと違い、買う層が極めて限られている)。それでも書いてくださるのは、個人のブランディングという側面も無くはないだろうが、純粋に「私の持つ"武器"を皆に授けたい」という気持ちが強いからだと思う。そうでなければ、寝る間も惜しんで原稿は書けないはずだ(先生、リライトの催促しつこくてすみません)。
私自身が非効率な勉強をしてきたから、教育サービスに課金することでどれほど有利になるかはよく分かっている。うまく使える自信があるならどんどん課金すればいいし、私にそれを責める権利はない。そもそも、すべての人が高学歴・高学校歴ゲットを目指して勉強を頑張る必要はないわけで、やりたい人がやればいい世界であるのは確かだ。ただ、ネットもスマホも普及した今の日本でも(だからこそ)、身の丈に合わない教育機会を得たい、在りし日の私のような人は確実にいるはず。生意気かもしれないが、そんな人たちのために、私は今の仕事をしてるんだよ。
そんな人たちの意欲を、周りの環境や言動がくじいてくる。そういう社会を許してしまっている大人のひとりとして本当に申し訳ない。それでも言わせてほしい。
「がんばれ!!!」
匿名ってのは素晴らしいぜ。こういうのがゾーニングされずに降ってくるんだからな。意識高い軍団の中で「格差是正」とか言って「価値があったね」とか内輪でやられてアリバイ活動...
ワシも匿名じゃけえ珍ポ珍ポ言えるで 本業は政治家の秘書やで 辛いことしかないでw
吐き出し口があるのは素晴らしいことやな。
下のお世話もするんですよね? 高級コールガールの手配とか。
ほとんどの政治家は常に金欠やで 支援者から金が入ってきても全部接待と選挙資金に消えるで
隙有自分語
先生まじ言うこときかなくてだるぽよ
俺は勉強サボりまくりで氷河期に偏差値42の学部行ったけど兄のコネで中堅ITに入ってのんびり生きてるよ 結局家族や親類で頑張れる奴がいるかどうかで人生変わるよね
勉強きらいな奴は無理して勉強することないけど、ヤンキーにもなれないのに勉強できるやつをサゲるのは少しかっこ悪いかな。
勉強嫌いや頭の悪い人ほど無理して勉強をさせるべきですよ。
いや、「身の丈に合わない」ってのは本来高卒も危うい頭の悪い人が必死に勉強して下位私大を出るようなことであって、あなたのような人ではないよ。
少なくとも萩生田はそういう意味で言ってねえだろ
身の丈発言に反発している人たちが所得や地域を理由にするネオリベばかりなのが気になる。頭の悪いことも理由にすべきでしょう。
ネオリベの意味をきちんと調べなさい
ネオリベがなにかいうてるなあ
こいつネオリベだな
いいね 自分は逆で、大学なんて就職予備校行く意味ねぇし金もないし内心親に依存するのも嫌で高卒で就職するわって思ってたけど 親や先生に説得され地方の国公立の工科大に行くこと...
今日も増田は田舎叩き
面白く読んだ。斜め読みだけど。ついてる反応が自分語りばかりなのも面白い。 個人的には身の丈って、金銭や環境じゃなくて資質や適性のことだと思ってる。
"努力して何かを成し遂げることを「善」とする価値観に満ち溢れていた" ←確かに(自称)進学校や意識高い系には無い発想だな
無理やり大学に行った奴いるけど結局意味無かったわ 大した学力が無いなら高卒で働けは正解
それ高卒でもよかった昔を知ってる人のよくある勘違いで、その人が高卒だったらもっとひどい待遇になってる。無理して行って正解なんだよ。
高卒ならひどい目に遭うっていうのははてな民の典型的な勘違いだけどな
今の高校の就職担当はハロワに丸投げで昔みたいに生涯賃金とかみてくれんやろ
高校の就職って学校に来た求人を校内で振り分けて推薦して決まるもので ハロワなんか経由しないだろ
いやいやハロワ経由で中小のバイトに毛の生えた求人を割り振る人でなし先公しかおらんよ
工業高校は全国転勤に耐えうる成績優秀品行方正な学生を選別して 弊社に推薦してくれるよ!
成績下半分は派遣会社に人身売買するんだよな。
今の高校の就職担当はハロワに丸投げで昔みたいに生涯賃金とかみてくれんやろ
武器を捨てて両手を頭の上に
某大臣が炎上したのはこういう地方だったり金銭的に豊かとは言えないような層を切り捨てる発言をしたからなんだよな。 そういう格差があるのは厳然たる事実だけどその格差を是正す...
貧困JKをゲラゲラ笑うのが普通の日本人だからそれはきっと違う 何か別の理由があるけどそれを明かせないからすり替えているだけでは