松本穂香さんと「天空の茶園」体験<前編>

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松本穂香さんと
「天空の茶園」体験
<前編>

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2019.10.18

のびのびしてほっとする。リラックスすること、自分にちょうどいいこと。

雲間から差す陽の光に山の温度もじんわりと上昇する夏の日。女優の松本穂香さんが、「天空の茶園」と呼ばれる豊好園を訪れた。訪れたと簡単に言っても、急な斜面の畑を登り切らなければ、絶景を望める舞台にはたどり着けないのだが。しかしそれも杞憂、心配ご無用とばかりにテンポよく登り切ってくれた松本さん。

目の前には遠く幾重にも重なる山々の稜線、眼下には清流が通る山里、足元には急斜面に育つお茶の葉。まずはこの絶景を独り占めしていただこう。

麓からの気持ちのよい風と活発な鳥の声に、一気に天空に上ってきた心地がする。

手を広げて、ゆっくり呼吸をして、こころもからだものびのびと。自然とそうしたくなるのは、結構幸せなことだ。

豊好園で育った茶葉で入れたお茶も一緒に楽しんでくれた松本さん。朝ドラでの印象的な演技も話題となり、多くのテレビCMやドラマ、映画で活躍の場を広げている。活動の幅が広がるほどに気持ちの切り替えやここぞという時の集中力が試されることは多い。お茶で一息ついたところで、俳優としての集中についてインタビューをさせてもらった。


俳優の仕事をされていると待つ時間が多いですよね。1回集中してやって「はい、カット」となって、待つ時間になる。そこからまた呼ばれて、集中しなおして、「スタート」と言われるので同じところに戻らなきゃいけないという。そういう意味で、一旦止まるというポーズとそこからのリスタートがすごく頻繁なのかなと思うのですが、どんなふうに集中力を高めていますか?

あまり意識してないんですけど、最近はリラックスすることを大事にしています。始まるから「よしっ」と力むと、大抵「もう1回」となっちゃうので。役についても、「あなたにお願いします」と言われている時点で、「私の中にあるものでいいんだ」という気持ちで最近は臨んでいるので、無理につくり込んだりはしていないです。あとは、私もいれば相手役の方もいるので。リラックスしていないと一緒のテンションにはなれないということもありますね。

きっと相手との気持ちの交換という面もあるんですね。自分だけ高くてもうまくいかないし、ニュートラルみたいなことですかね。

そうですね。だからみんなリラックスするのが大事。相手に合わせたり状況に合わせたり、ちゃんと柔軟でいられるように。

その状態ってすごく大事でしょうね。柔軟でいるという。その方法は人それぞれありますよね。

人によってはあんまりお腹いっぱいにしないでおこうとか、あったかいお茶を飲んでいたりとか。そういうのでみんなリラックスするということは大事にしていると思うんです。

なるほど。ちょっと考えすぎて、「よしっ」と気合を入れるような気がするんだけど、でも、とにかくリラックスして臨むということなんですね。

たぶん人によってベストな状態があると思いますし、それが一番いいんだと思います。「よしっ」とやってできる人は、「よしっ」とやって入るのが一番いいんだろうし、その人にとって一番いい状態なんだと思います。

多くの情報が否が応にも目や耳に入ってきてしまう現代では、自分にとってちょうどいい状態というのは当たり前のようでいて見失いがちだ。

いつもよりゆっくりと呼吸することが自然とできるような時間が少しでもあれば、「ちょうどいい状態」も見つかりやすくなるかもしれないと感じさせてくれる、そんな特別なシチュエーションでの対話となった。

最近は取り組む役柄がますます多様になり、女優としてさまざまな顔を見せる松本さん。役との付き合い方について伺ったインタビューの続きは後編にて。

【松本穂香】1997年2月5日生まれ。大阪府堺市出身。2015年主演短編映画『MY NAME』でデビュー。主な出演作品に、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、日曜劇場『この世界の片隅に』(TBS系)、映画『恋は雨上がりのように』、『あの頃、君を追いかけた』などがある。そのほか、auの「意識高すぎ! 高杉くん」シリーズのTVCMや2018-2019 JR SKISKI メインキャストなどを務める。2019年9月には主演作品『おいしい家族』が公開、11月15日公開の『わたしは光をにぎっている』でも主演を務めている。

『わたしは光をにぎっている』公式:http://phantom-film.com/watashi_hikari/
公式Instagram「週刊 松本穂香」:https://www.instagram.com/weekly_matsumoto/

Interview: Hiroshi Inada Photo: Shingo Wakagi Text: Yoshiki Tatezaki