PC作業の効率化による時短効果は、年1700万時間にも及ぶ――。大企業90社への調査から、RPAの威力がはっきりと見えてきた。1社で年100万時間分のPC作業を減らす「強者」企業も増えそうだ。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)によって自動化したPC作業時間の合計は2020年末に、回答した50社の合計で年1700万時間にも達する―――。日経コンピュータが実施したRPAの活用状況に関する独自調査から、こうした実態が浮かび上がった。調査は国内の大手企業を中心に2019年8~9月に実施。163社に調査票を配布し90社から回答を得た(最後に調査概要を掲載)。
調査は「RPAによって自動化(削減)できた時間」「RPAツールによって開発・稼働させているソフトウエアのロボットの台数」「導入時期」「推進体制」「適用業務」「導入しているRPAツール名」などを調べた。それぞれの結果を詳しく見ていこう。
10万6200人月分が消滅予定
まずは「RPAによって自動化できた時間」と「開発・稼働させているソフトロボの台数」だ。有効回答を得た66社が2019年夏の時点でRPAによって自動化したパソコン作業時間の合計は、年610万1500時間だった。
仮にこれだけのPC作業を人手でこなすとすると、3万8100人月分の労働力を確保する必要がある。1カ月を20日、1日8時間働くとすると、160時間が1人月となる。これで合計の610万1500時間を割って導き出した。
RPAを導入している企業は今後も自動の対象を増やす計画だ。2020年末までにRPAによって自動化する作業時間の計画を回答した50社を集計したところ年1699万6100時間となった。2019年までの自動化時間の2.8倍に当たる結果だ。10万6200人月分のPC作業が自動化される計算になる。
2019年現在で既にPC作業を年100万時間以上自動化したのは三井住友フィナンシャルグループ1社にとどまる。しかし2020年末にはソフトバンク、損害保険ジャパン日本興亜、東京電力エナジーパートナー、富士フイルムホールディングスの4社も年100万時間以上の自動化を実現する見通しだ。このうちソフトバンクはAI(人工知能)の活用を含めて年844万8000時間のPC作業などを自動化する計画を打ち出している。たった1社で5万2800人月の作業量を省ける計算になる。
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