「うまかっちゃん」が九州人の定番となった理由

適度なとんこつ味、「マルタイ」派も

「うまかっちゃん」の主な商品(画像提供:ハウス食品)

「日本人の国民食」といわれる料理には諸説あるが、世代を問わずに手軽に食べられている、ラーメン、カレー、ハンバーグを挙げる人も多い。

以前、これらを生活文化の視点から調べたことがある。「カレー」や「ハンバーグ」に比べて、「ラーメン」はしょうゆ味やみそ味、塩味などがあり、だしも鶏がら、とんこつ、牛こつ、煮干しなど多彩だ。地域によって好みの味が変わるので、外食の大手チェーン店も、北海道から九州・沖縄までの全国を網羅する店はない。

一方、即席ラーメンは、「カップめん」(全体の7~8割)と「袋めん」(2~3割)に分かれ、今回紹介する、袋めんの市場規模は約1300億円(2018年度。日本即席食品工業協会調べ)だ。大手メーカーのブランドで全国的に見て売れ筋の上位に来るのは、「サッポロ一番」(サンヨー食品)、「チキンラーメン」(日清食品)や「マルちゃん正麺」(東洋水産)あたりだ。

九州は「うまかっちゃん」がシェア27%

だが、九州地区では様相が異なる。ハウス食品「うまかっちゃん」が、袋めん市場で約27%と圧倒的首位なのだ。「ハウス バーモントカレー」などを持ち、カレーはトップのメーカーだが、即席ラーメンは目立たない。ただし、このブランドだけは別だ。

「『うまかっちゃん』は1979年の発売で、今年で誕生40周年を迎えました。2019年3月期の販売額はブランド全体で約63億円、前年比4%増と好調です。定番に次ぐ第2の柱にしたい、と昨年発売した『濃厚新味』が好評でした」

ブランドの責任者である安達晋氏(事業戦略本部食品事業二部・ビジネスユニットマネージャー)はこう語り、続ける。

「消費者からは『土曜日のお昼はこれだった』『実家を離れた学生時代は仕送り品の中に入っていた』という声も多くいただきます。40年続けていて、とくに九州の人の生活に組み込まれているのを感じます」

次ページ幅広い世代を魅了するソウルフード
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • 実践!伝わる英語トレーニング
  • 働き盛りでがんになった人たちの行動
  • 離婚親の選択
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
2

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
  • iizima11391d42a06302
    関東にいるとき他のとんこつ味ラーメン食べたけどなんか違うんだよね。まぁ80年代はとんこつ味とか九州限定だったし、全国メーカーは味噌・塩・しょうゆで食えって押し付け。九州で馴染ませて舌が覚えた時期に豚骨ブームで他所がとんこつ味で攻めてきても対抗できないわな。やっぱ食べ物は失敗したくないからね。
    up0
    down1
    2019/10/30 09:54
  • cedeefde6be6
    東海地方だとどうだろうな。
    スガキヤのらーっめんなのかな?
    店舗は和風とんこつなのはさておき、インスタントラーメンはしょうゆ味でいって普通だから、それなりに出ていてもライバル商品とどんぐりの背比べだと思うしな。
    キリンラーメン(現キリマルラーメン)は噂で聞いてことはあったけど、キリンの嫌がらせで商標変更のニュースで話題になって売れたと言う程度だと思うし、”この地方はこれ”と言う商品がないような気がするな。
    まぁインスタントラーメンそのものも、商品数が多すぎるしな。
    up0
    down1
    2019/10/30 07:35
トレンドウォッチAD
野村証券 反転攻勢の全貌<br>地銀をめぐる国盗り合戦

沈んでいたガリバーが攻めに転じた。8月に野村HDがLINEと提携しLINE証券を始動。同時期に山陰合同銀行との提携で合意、顧客志向の担当分けなど営業体制の改革も敢行した。地銀104行と主要証券会社の金融商品仲介委託関係の一覧も。