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日本電産がEVに1兆円投資!天才・永守CEOのスゴすぎる決断

このスケールの大きさよ…!

中国経済の失速で業績を下方修正した日本電産が、怯むことなくEV(電気自動車)向けに1兆円の投資を実施する方針を明らかにした。オーナー経営者ならではの決断であり、一般的なサラリーマン社長には到底、真似のできない芸当だが、中国市場とEVに賭ける大胆な戦略の背景には何があるのだろうか。

永守重信CEO〔PHOTO〕Gettyimages

傑出した才能

日本電産はハードディスクドライブ(HDD)用モーターで急成長したベンチャー企業だが、積極果敢なM&A(合併・買収)であっという間に業容を拡大させ、今や日本を代表する企業となった。多くのメーカーがここ20年で国際競争力を低下させる中、日本に残った最後の物作り企業といってもよいだろう。

同社の急成長は、創業者で現在もCEO(最高経営責任者)を務める永守重信会長の卓越した能力によって支えられてきた。同氏の才能はM&Aと意思決定の大胆さに象徴的に示されている。

 

これまで永守氏は60以上の企業を買収してきたが、ほとんどの事業を軌道に乗せている。

M&Aには大きく分けて2つの種類がある。ひとつは時価総額が高く、急成長している企業を高値で買い上がり、さらなる成長を目指すパターン。もうひとつは業績が悪化した企業を底値で拾い、業績を回復させて成長軌道に乗せるというパターンだ。

今の日本においてM&Aを大成功させている2大経営者は、ソフトバンクグループの孫正義社長と永守氏だが、孫氏は高値で買い上がる前者のパターンで、永守氏は後者を得意としている(ひと昔前のカリスマ経営者でM&Aの天才といえばパナソニック創業者の松下幸之助氏だが、松下氏もライバル企業を次々と傘下に収め、現在のパナソニックの基礎を築いたという点で永守氏と似ている)。