「本当に怖い、でも戦い続ける」普通の香港市民が抱く、心震える思い

「長期戦」への覚悟が固まった
ふるまい よしこ プロフィール

――お宅の「勇武派」ですね(笑)

黄:わたしのは勇気じゃなくて怒りなんです、何も変わらないことへの怒り。それで心の中がかき乱されてしまう。

 

デモ隊は絶対に支持する

――さっき、長期的な抵抗を続ける心の準備ができた、とおっしゃっていましたが、どうやって抵抗するんですか? 勇武派たちの戦い方は正しいと思いますか?

黄:わたしたちが受けてきた教育、そしてわたしたちの日ごろの道徳観からすれば、暴力は受け入れられません。さっき「蹴飛ばす」っていいましたけど、それだけ怒りを感じているという意味です。本当に蹴飛ばすわけにはいかないのは分かってます(笑)。 

自分から暴力で事態を変えていこうという気にはなりません。最も良いのは平和的な方法での解決。でも実際にあれだけの暴力が使われてやっと、逃亡犯条例改定案が撤回された。つまり、暴力は役に立ったんです、大きな役割を演じました。

でも、その後に続く抵抗が不毛な犠牲を生んでいるのが大変辛い。特に子どもたちの犠牲。荃湾(チュンワン)で撃たれた少年のニュース*5は、本当にショックでした。

――ご自身はどんな抵抗を続けるおつもりですか。

黄:どうやって抵抗を続けるべきなのか、まったくわかりません。ただできることは、まずわたしたちとしては自分たちの生活をきちんと送る。そして、デモを続ける人たちと袂を分かたずに支持を続けていく。

――それでもデモ隊を支持し続ける?

黄:もちろんですよ、絶対に彼らを裏切ることはしない!

問題は林鄭月娥と中国共産党の側にあって、彼らが責任を負うべきなんです。彼らは今、(デモ隊と市民の)分裂を画策しています。分裂させてしまえば話を逸らすことができるから。

わたしたちもどちらかというと、平和的な、非協力的な立場による手段を選ぶのがいいと思います。生命すら投げ捨ててしまえば、どうやって抵抗ができるんでしょう?

でも、このところたくさんの人が死んでいる。警察に中国の武装警官が混ざっているとも言われている。さらに警察に与えられている権限が無限大に広がっている。そして、その権限の法的責任も追求しない。その結果、彼らはやりたい放題になっている。

なのに、わたしたちは? ちょっとしたことで生命を差し出すことにもなりかねず、前途が絶たれてしまうんですよ。そんなの、もったいなさすぎる。