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（ちや子）喜美ちゃん　分からへんの？自分の気持ち。
（喜美子）うちが　圭介さんに恋？
ほな　この　胸が　何やズキズキ痛むんは…。（ちや子）痛むんか…。
つい　気持ちが沈んでしまうんも…？沈むんか…。
恋っちゅうのは　おもろいなあ。
おもろいか。おもろい。　おもろいなあ。
♪～
♪「涙が降れば　きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火　どうかここにいて」
♪「私を創る　出会いもサヨナラも」
♪～
♪「日々　恋をして　胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら　笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も　涙に負けるもんか」
♪～
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
圭介さんとあき子さんの恋は　順調です。
朝には　あき子さんのお父さんが…。
おはようございます。（庄一郎）ハハッ　おはようさん。
ええ陽気やな。ほんまですねえ。
失礼します。はい。
夕方には　あき子さんが犬のゴンを連れて荒木荘の前をよく通るようになりました。
あ～　こんにちは。（あき子）こんにちは。
今週も会うんよ。はい　聞いてます。関西百貨店に行かはるて。
聞いてるのん？はい　圭介さん言うてはりました。
圭介君　何で　いちいちあなたに言うんやろ？
あ～　ごはん作ってますし。お昼いらん言われました。
ああ！　女中さんやもんね。はい。
予定伝えとかな　あかんのね。フフッ　そりゃそうやね。
ほな　ご苦労さまです。はい。
失礼しますぅ。失礼します。
実は　あき子さんのおかげで…。
（圭介）こういったり　こう…。アハハッ。
走ってきて　わあっていうのは？
喜美子と圭介さんの距離は以前よりグッと近づいていました。
これ　ええやん！　これ　ええやん。（笑い声）
ほら　ほら　ほら。　こういうのは　どう？こういう角度…。
アハハッ　その角度でチューできます？アハハッ　ほなこっちが　こういってこっちも　こういくのは　どう？
アハハハ…　アホや。
喜美子は　さださんが休みの日に着付けを教わっています。
こうですか？（さだ）うん。
あっ　ちょっとなこの　たれが長いからここ引っ張って直して。はい。
着付けできたら　ええお小遣いになるん？
う～ん　最近はでけへん子も増えてきたから喜美ちゃんが覚えてくれたら私も何かと助かるし。
喜美ちゃん！ねえ　喜美ちゃん！　これ　どっち…？
（ちや子）おはよう。おはようさん。あ…　おはよう。
あ…　ほな　食堂で待ってるわ…。はい。
はい。　ほな　今日は　この辺で。はい。
今度は　袋帯教えるわな。はい。　ありがとうございました。
こっちかな？　いや　でも　こっちか？あ～…。
（さだ）喜美ちゃん　なかなか筋がええわ。ほんまですか？
ほな　お茶いれてもらおうかな。はい。
喜美ちゃん　ちょっとええかな？これ　どっちがええ？
今日は　どこ行くん？今日は　関西百貨店　買い物つきあうねん。
うん？　いや　先週も…。先週は　松中屋や。
彼女　買いもん　好っきゃなあ。
喜美ちゃ～ん？
喜美ちゃん　これ　どっち？どっちが　こう　いけそう？アハハッ…。
・（雄太郎）喜美ちゃ～ん！喜美ちゃん！はい！
（雄太郎）おった…。　頼むわ。あっ　そやそや。
ああ！　今日　面接や！知らんかった　次は　何？
「大阪五人衆」いう時代劇斬られ役に空きが出た。
へえ～。斬られたら死体やん。　そんな役欲しいん？
何でも欲しいわ！あれちゃう？またせりふ　「うわ～」だけちゃう？
ほんまやな。それでもええねん　何でもええねん。
喜美ちゃん　頼むわ。はい。　ほな　皆さん。
雄太郎さんがうまいこと斬られますように。
（４人）うまいこと斬られますように！（かしわ手）
草間流柔道…。（一同）とやあ～！
おりゃ～！　よし！　行ってくるで。
行ってらっしゃいませ。行ってきます。
毎回　これやるから落ちるんちゃう？そやな。
喜美ちゃん　喜美ちゃんどっち？　どっちがええかな？
う～ん…。　こっち！
ほな　こっちにするわ。圭介さんは　何　着ても似合います。
ありがとう。　ほな　着替えてくるわ。行ってらっしゃい。
シャツ　わざと似合わん方　言うたやろ。
言うたなあ。そんなことないです。
いや～　言うた　言うた。言うた　言うた。
え…。
荒木荘を出てほしい？
荒木荘出て　１人で暮らしてほしい。
何でなん？荒木荘の話ばっかりやん。
ここも　雄太郎さんが働いてるから言うてコーヒーいうたら　ここばっかり。
今日は　いてはらへんけど。雄太郎さんな時代劇で斬られ役が決まりそうなんやて。ほら　また～。
ああ…。それだけやないわ。
今日のシャツも荒木荘の女中なんかに選んでもろて。
女中なんかにて…。選んでもろた言うてたやん。
喜美ちゃんは…。女中でしょ？
大体　圭介君　女中に頼り過ぎやわ。何でもかんでも話　して…。
女中なんかとそんなに親しくしてほしない！
女中は女中でしょ！？「女中　女中」言わんといてくれ。
喜美ちゃんは　僕の大切な妹や。
何や　見下したような　ものの言い方はやめてくれへんかな。
（ドアが閉まる音）
（マスター）ええから。　はよ追いかけ。
ごめんなさい。
やきもちや。　ごめんなさい…。
♪～
手伝おか？あっ　お帰りなさい。
運ぶのん？いえ　きれいにしよう思て。
お茶いれます？コーヒー飲んできたから　ええわ。
もう火鉢の季節か…。まだ　ちょっと早いですけどね。
さださんは？パーマあてに行かはりました。
ああ…。　ちや子さんは…　仕事か。
雄太郎さん　結果　どうなったやろうな。
うん？
何？
いや　何や　元気ないから…。
あっ　これ　信楽焼です。うちの地元の信楽焼。
去年も聞いたわ。　その前も言うてたで。ヘヘヘッ。
信楽　帰ってないなあ？
学校決めたら　一回　顔出そう思てます。
どこ行くか　決めたん？
まだ…。夜間の高校行くか　美術の学校行くか。
お金とも相談せな　あかんし。
僕は　美術の方　勧めるけどな。う～ん…。
圭介さんは？
僕は…　小児専門の外科医になる。
外科に決めたんですか？うん。へえ～。
それと…　それとなここは出ることにした。えっ？
荒木荘　出て　大学の寮に移る。
すみません　何でですか？
何で　荒木荘出なあかんの？
国家試験のために勉強に集中するためや。
え…　荒木荘やと集中できひんのですか？
喜美ちゃん　恋したことあんねやろ？
前に　経験ある言うてたやん。
そしたら　分かるかな？　こういう気持ち。
勝手なこと言われると　腹立つし何言うてんねんて突き返したくなる。
けどな…好きな人の悲しい顔は見たないねん。
しょんぼり　うつむかれると胸が締めつけられる。
情けないなあ…。
彼女が…　あき子が「出て」言うから出ることにしてん。
♪～
何や　あき子さんのお願いでしたか。
そうですか。　ほな　聞いてあげなあかん。そうしてあげて下さい。
もう…　うち　荒木荘　嫌んなったんか思てびっくりしただけです。
嫌になるはずないやん。
ここ　好っきゃもん。よかったです。
喜美ちゃん　好きや。
よかった。妹みたいに大事に思てるよ。
ありがとうございます。うちも圭介さん大好きや！
ほな　引っ越し決まったら言うて下さいね。
うち　手伝います。うん…。
決意が揺るがないうちにと圭介さんは　来週早々にも荒木荘を出ていくことになりました。
あき子さんも　あき子さんのお父さんも散歩のコースを変えたのでしょう。
犬のゴンはもう　荒木荘の前を通りません。