よく作るわほんと。
街で見かけない日はないと言っていいくらいよく見かけるAirPods、ワイヤレスイヤホンのベストセラー。そのAirPodsにiPhoneと同じくProがやってきました。AirPods Proです。
ケースから出すとすぐにiPhoneとペアリングできる使い勝手でAppleのデザインのよさを改めて知らしめた大ヒット作AirPods。Appleはそれを密閉型（カナル型）にしてワイヤレスイヤホンの世界でトレンドになっているアクティブノイズキャンセリングを詰め込んできました。
そして宣伝でもなんでもなく、また改めてAppleに驚いています。1時間くらい使ってみましたが、AirPods Proのクオリティは高く、バランスよく、仕上がっています。
ノイキャン優秀、そして外音取り込みモードに驚き
何はともあれノイズキャンセリングです。ワイヤレスイヤホンのカテゴリではノイズキャンセリングがトレンドでありビッグワード。その性能をソニーとBOSEを中心に各メーカーが年々アップデートをかけ、しのぎを削っている状態です。
AppleにとってはAirPods Proがはじめてのアクティブノイズキャンセリング付きのイヤホンになるわけですが、初号機から他メーカーのものと遜色ないレベルになっています。ワイヤレスイヤホンのノイキャンで王座に座っているソニーの｢WF-1000XM3｣と比べても引けを取っていないと言っていいくらいです。
そしておもしろいのが外音取り込みモード。密閉型でノイキャン付きのイヤホンって静かなのはいいんですが、逆に音が聞こえてほしい場面、たとえば移動中に電車や駅でのアナウンスが聞きたいというシーンに合わせて、外の音をマイクで拾って耳に届けるモードですね。AirPods Proは、本体の軸の部分を長く押し込むとノイキャンと外音取り込みが切り替わります。
正直、AirPods Proでいちばん驚いたのはこれです。自分の耳にAirPods Proを付けると、一瞬だけ密閉型による周りの音のボリュームが下がるのですが、次の瞬間にはパッとまた周囲のボリュームが戻るのです。それもマイクで拾って再生されているような音ではなく、まるで耳に何も付けていないような自然な音が聞こえるんです。
不思議な体験でした。これまでワイヤレスイヤホンの外音取り込みモードというと、ノイズキャンセリングの反動、添え物、オプションのように考えていたんですが、AirPods Proでは積極的に使っていきたいとすら思います。密閉型とノイズキャンセリングの良さはそのまま、でも開放型のように周りの音が聞こえる状態で音楽を楽しみたい。そんなこれまでのAirPodsとほとんど同じ使い方ができることも、意外なAirPods Proの魅力です。
音質のレビューはまたじっくりしたいところですが、わかりやすいメインの音をわかりやすく鳴らす、聞きやすさ重視の傾向はAirPodsと同じです。ソニーのWF-1000XM3と比べると、音像をはっきり、ベースまで含めた音の粒をくっきり鳴らしているソニーの音がさすがだなと。音像はぼやけますがアコースティックな低音を暖かく鳴らせるゼンハイザーのMOMENTUM True Wirelessと比べるとAirPods Proの低音はもう少し欲しいと思ってしまいました。とはいえ、これらふたつの音質で高評価を受けているワイヤレスイヤホンといい勝負してます。
このノイキャンや外音取り込み、音質を実現するためには、本体がしっかり耳にフィットする必要があります。それを実現するために、AppleはAirPodsのワイヤードバージョンであるところのEarPodsを作るときに行なった世界中の人の耳の形の調査を、今回のAirPods Proの開発中にも改めて行なったそうです。
さらに設定アプリのAirPods Proを開くと自分の耳に今のイヤーチップとAirPodsがうまくフィットしているのかを調べてくれる｢イヤーチップ装着状態テスト｣もありますし、AirPods ProにはS,M,Lのサイズ違いのイヤーチップも同梱されています。それだけフィット具合にはこだわってるわけですね。ちなみに、イヤーチップもApple直営店で販売されるそうですよ。
わずかな時間のファーストインプレッションなのですが、改めて感じたのは、このプロダクトをイベントもなくサラッと出してしまえるAppleです。初搭載のノイキャンや新デザインなどあらゆる要素があった上でこのバランス、完成度。
AirPodsの大ヒット、まだまだ続いてもおかしくないです。
