大津智義、サンフランシスコ=宮地ゆう
一瞬で個人を識別する顔認証システムが、身近な生活に溶け込んできた。ターゲティング広告だったり防犯だったりだけではない。知らぬ間に追跡され、監視されることが新たな「支配」につながると、あらがう動きも出始めた。(大津智義、サンフランシスコ=宮地ゆう)
シンギュラリティー:人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。社会が加速度的な変化を遂げることを指すこともある。変化に伴って「見えないルーラー(支配者)」も世界に現れ始めている。
東京都心でタクシーに乗り込むと、座席の前に備えつけられたタブレット端末から動画広告が流れてきた。内容は覚えていないけど、印象的なフレーズは頭に残っている、という人は多いかもしれない。それは、偶然ではない。
タブレットにはカメラも搭載されている。乗客の顔写真を撮り、瞬時に男女を推定。流れる広告を変える。男性なら企業の人事管理システム、女性なら雑誌のCMといったように。
こうしたサービスを提供する会社の一つが、日本交通(東京)のグループ会社でタクシー配車アプリを運営する「ジャパンタクシー」。業界きってのテック企業だが、1年足らずの間に2度も、個人情報保護委員会から行政指導を受けてもいる。
発端は昨年11月。乗客にカメラの存在や個人情報の取得、さらには利用目的を分かりやすく説明するよう、保護委は指導した。
「画像は性別の判定後、端末内で即時削除されている」などとして、撮影した顔写真は個人情報に当たらないと同社は認識していた。指導を受け、タブレットにカメラの存在や利用目的を表示した。
しかし、その対応が今年4月と遅れたことを保護委は問題視。9月には2度目の指導に踏み切り、1度目にはしなかった対外公表までした。
そこまでしたのには、訳がある…
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