AmazonがJava Community Process(JCP)に参加を発表

2019年10月29日

Javaはコミュニティによって仕様や方向性などが議論し決定されており、その手続きは「Java Community Process」と呼ばれています。

Java Community Processには誰でも参加可能ですが、Java Community Processのメンバーになることで、積極的にJavaの仕様策定に関われるようになります。

Amazon.comは、このJava Community Processのメンバーになったことを発表しました。

JCP Membersのページには「Amazon.com Services, Inc」の名前で実際にメンバーになっていることが確認できます

Amazon Web Services(AWS)は昨年11月、独自のOpenJDKディストリビューションである「Amazon Corretto」を発表。今年の2月にはJava 8に相当する「Amazon Corretto 8」正式版を公開し、少なくとも2023年6月まで無償でアップデートを提供することを表明しています。

同社によるとCorrettoは2016年に社内システムで利用するために開発をスタートしたものだと説明しており、JavaはAmazon.comやAWSの社内においてはもちろん、AWSのユーザーにとっても重要な存在であることから、今回のJCPメンバーへの参加を決めたとしています。

急速に標準化団体やコミュニティとの距離を縮め始めたAWS

AWSは、以前は標準化団体などへの参加に非常に消極的でした。2012年にPublickeyがAmazon.com CTOのワーナー・ボーゲルス氏に行ったインタビューで、「標準化団体にほとんど参加していないのはなぜですか?」と質問した際、ボーゲルス氏は「あまりにも早い段階での標準化はイノベーションを阻害する」と、その理由を述べていました。

参考:Amazon CTOに聞く、NoSQLデータベース「DynamoDB」がクラウドに何をもたらすのか?

それから約3年後の2015年6月、AWSはコンテナの標準仕様を策定する「Open Container Project」の設立に参画

さらに2年後の2017年8月にはCloud Native Computing Foundationのプラチナメンバーとなり、2019年に入ると2月にApache Software Foundationのプラチナスポンサー、9月に.NET Foundationのコーポレートスポンサー、そして今月10月にはこのJCPメンバーとしての参加と、今年に入って急速に有力な標準化団体やコミュニティへ積極的な関わりを見せるようになってきました。

同社の標準やコミュニティに対する姿勢は、明らかに変化したといえます。

同社に対しては、昨年から今年にかけて複数のオープンソースベンダから、オープンソースのいいとこ取りをして儲けている、といった意見表明がなされていました。

一方、以前からオープンソースコミュニティと比較的良好な関係にあったGoogleは、こうしたオープンソースベンダの声を汲み取って、戦略的提携を発表しています。

AWSの姿勢の変化には、もしかしたらこうした状況が影響しているのかもしれません。

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Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
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