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【社会】

<くらしデモクラシー>映画祭 2作品上映中止 川崎「主戦場」取りやめに抗議

 川崎市で開催中の「KAWASAKIしんゆり映画祭」で旧日本軍の慰安婦問題を扱うドキュメンタリー映画「主戦場」の上映が取りやめになったことに抗議するとして、映画製作会社「若松プロダクション」(東京都渋谷区)が映画祭で予定していた二作品の上映中止を決めた。

 二作品は「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(若松孝二監督)と、「止められるか、俺たちを」(白石和彌監督)。

 「主戦場」は異なる意見の多くの学者やジャーナリストらにインタビューした作品。出演者の一部が六月、監督と映画配給会社に対し、上映禁止と損害賠償を求めて訴訟を起こした。映画祭を共催する川崎市は、映画祭事務局を務める主催者のNPO法人に「出演者に訴えられる可能性がある作品の上映は難しいのでは」と懸念を伝達。主催者側もトラブル対応や観客の安全面を考慮し、九月になって上映中止を決めていた。

 若松プロダクションは「『主戦場』への市の懸念は公権力による検閲、介入であり、映画祭側の上映中止判断も、過剰な忖度(そんたく)による表現の自由を殺す行為」と批判。「作品発表の場を失うのは苦渋の決断だが、ここで声を上げなければ、自主規制と事前検閲がより進んでしまう」と訴えた。

 映画祭事務局は発売した二作品のチケットを払い戻す方針。 (小倉貞俊)

 

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