知っておこう、「フェキソフェナジン塩酸塩」

くしゃみ、鼻水、鼻づまりがつらい花粉症シーズンに向けて、第1類医薬品から「フェキソフェナジン塩酸塩」製剤について解説します。抗アレルギー作用をもつとされる抗ヒスタミン成分で、眠気に関する使用上の注意がないことが特徴の一つです。また、医療用にはない項目もいくつか定められていますので、注意が必要です。

知っておこう、「フェキソフェナジン塩酸塩」

【適用・用量について】

医療用医薬品では、皮膚疾患のかゆみにも用いられますが、OTC医薬品では、アレルギー性鼻炎の症状緩和のみの効能・効果となります。1日用量、服用回数は医療用医薬品とOTC医薬品で同じで、OTC医薬品では小児の適用がなく、服用時点が「朝夕」と定められています。
なお、食事・併用薬の影響について「アレグラ錠」のインタビューフォームを見ると
食事の影響<外国人データ、フェキソフェナジン塩酸塩錠120mg>
健康成人男子22例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食:脂肪55g)にフェキソフェナジン塩酸塩錠120mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ15%及び14%減少した。
日本人においても、クロスオーバー法による検討ではないが、フェキソフェナジン塩酸塩円形錠を食後投与したときのAUC0-∞及びCmaxから、外国人と同様の食事の影響が推察された。

※AUC:薬物血中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血中濃度
とあり、空腹時のほうが吸収率は高いようです。

OTC医薬品 医療用医薬品
主な適用・用量(内服)
<効能・効果>
花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり
<用法・用量>
○成人(15才以上)・・・1回量1錠、服用回数1日2回 朝夕、1日量120mg
○15才未満・・・服用しないこと
<効能・効果>
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒
<用法・用量>
フェキソフェナジン塩酸塩として成人と12歳以上の小児には1回60mg、7歳以上12歳未満の小児には1回30mgを1日2回経口投与する。(適宜増減)

【使用上の注意のポイント】

  • OTC医薬品、医療用医薬品のいずれにおいても服用後の眠気や集中力低下による運転禁止について記載されていないのが特徴の一つです。
  • 医療用医薬品で「併用注意」に記載されている医薬品が、OTC医薬品では「してはいけないこと」の併用禁止医薬品として記載されています。なお、「水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤」とあるのは、2成分の合剤を用いた併用試験で、フェキソフェナジン塩酸塩の吸収量が減少したことによる注意事項です。
  • 授乳婦の服用については、医療用もOTC医薬品も服用中は授乳を避けることとしています。これに対して妊婦の場合は、医療用では「妊娠中の投与に関する安全性は確立していない」としながらも、禁忌にはなっておらず、OTC医薬品でもこれに準じて「相談すること」の項目になっています。
  • OTC医薬品では、強い鼻づまりに対する使用は「相談すること」となっています。医療用医薬品ではとくに記載されていない注意ですが、鼻閉に対する効果が限定的で、症状が重くなってしまってからでは十分な効果が得られないおそれがあるために記載されていると考えられています。
  • 医療用では「重要な基本的注意」とされている服用開始時点に関する注意が、OTC医薬品では「用法・用量に関する注意」として記載されています。医療用では季節性の患者に投与する場合はシーズン直前からの服用がすすめられていますが、OTC医薬品では「花粉飛散期に入って症状が出始めたら、症状の軽い早めの時期からの服用が効果的」と記載されています。
  • 連用に関しての注意として、OTC医薬品では1週間様子を見ることと、2週間以上連用する場合は医師や薬剤師に相談する旨が記載されています。
OTC医薬品 医療用医薬品
【してはいけないこと】
本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も使用しないでください。
他のアレルギー用薬(皮ふ疾患用薬、鼻炎用内服薬を含む)、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(かぜ薬、鎮咳去痰薬、乗物酔い薬、催眠鎮静薬等)、制酸剤(水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤)、エリスロマイシン
【併用注意】
・薬剤名等:制酸剤(水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤)
臨床症状・措置方法:本剤の作用を減弱させることがあるので、同時に服用させないなど慎重に投与すること。
機序・危険因子:水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムが本剤を一時的に吸着することにより吸収量が減少することによるものと推定される。
・薬剤名等:エリスロマイシン
臨床症状・措置方法:本剤の血漿中濃度を上昇させるとの報告がある。
機序・危険因子:P糖蛋白の阻害による本剤のクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定される。
授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください。
(動物試験で乳汁中への移行が認められています。)
【妊婦、産婦、授乳婦等への投与】
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
【相談すること】
次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談してください。
鼻づまりの症状が強い人
次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談してください。
妊婦又は妊娠していると思われる人
【妊婦、産婦、授乳婦等への投与】
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談してください。
高齢者
【高齢者への投与】
高齢者では腎機能が低下していることが多く、腎臓からも排泄される本剤では血中濃度が上昇する場合があるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
【用法・用量に関する注意】
花粉など季節性のアレルギー性鼻炎による症状に使用する場合は、花粉飛散期に入って症状が出始めたら、症状の軽い早めの時期からの服用が効果的です。 【重要な基本的注意】
本剤を季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。
1週間服用しても症状の改善がみられない場合には、医師又は薬剤師に相談してください。また、症状の改善がみられても2週間を超えて服用する場合は、医師又は薬剤師に相談してください。 【重要な基本的注意】
本剤の使用により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。掲載日:2014年02月25日
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