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2019-10-28

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・いろんな生きものの行動を見てて、
「頭がいいなぁ」と思うことがある。
犬や猫や猿や馬なんかはもちろんのこと、
上手に巣をつくる蜘蛛だとか、アリジゴクとかにも、
「頭がいいなぁ」と感じることはよくある。
実際に、すごいことをやっているのは確かだ。
簡単な話、蜘蛛の巣を、おまえつくれるかと言われても、
ぼくにはつくれるとは思えないし、
うちのワンワンはともかく、他所の犬たちには、
盲導犬とか、素晴らしい活躍をしているこもいる。

一方で、なにもできなかった人間の赤ん坊を見ていると、
寝返りもうてなかったものが、這うようになったり、
立ったり歩いたりできるようになる。
ところが、これについて「頭がいいねぇ」とは
あまり言われないようだ。
そういうふうなことは、他のどうぶつたちも、
みな当たり前のようにやっているからだろう。
でも、だれもが、ほんとうは人間のこどものほうが
「頭がいい」はずだということを知っている。

犬やら猫やら猿やら馬やら蜘蛛やらの「頭がいい」を、
人間のこどもが追い抜くのは、いつのことなのだろう? 
たぶん、その答えはみんながうすうす知っているだろう。
ことば。ことばをおぼえて使えるようになってからは、
そこから先は、人間以外の生きものの「頭がいい」を、
はるかに超えて頭よくなってしまうのだ。
しかも、「だいたいこのへんまで」という範囲が、
確定できないような進み方をしてしまう。
蜘蛛が巣をつくるのも、犬が道を安全に案内することも、
「だいたいこのへんまで」で行き止まるのに、
人間のこどもは、「このへんまで」できたら、
そのできたことを踏み台にして、さらに考えられる。
もっとすごいことには、こどもは大人になってからも、
「できたことの次」を考えようとしてしまうのだ。

蜘蛛が巣をつくって獲物を待ち伏せしたあとも、
人間のように「さらに次」を考えられていたら、
大変なことになっていたと思うけど、
そういうことがなくて、ま、人間、助かったよね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
記憶と記録の積み重ねを材料にする…手帳の宣伝かよ、と。


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