ロンドンつれづれ

ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

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スポニチアネックスさんが、スケートカナダで優勝後の羽生選手のインタビューの詳細を知らせてくれた。
いつも、彼の言葉をそのままに伝えてくれて、ありがとうございます! 羽生選手が大変に正直に気持ちを語っており、貴重なインタビューの一つだと思いました。
 
ネットニュースは時間がたつと消えてしまうので、記録のためにこちらに載せさせていただきます。
 
 
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――昨日の演技後は何を。
 「ドーピングの検査があって、思ったよりもスムーズに終わったので、その後しっかり食事をとってケアしてもらって。今日に備えてきました。フフフ」
 
 ――エキシビションは凄く懐かしい曲になった。
 「うーん。特に深い意味はないんですけど、ちょっと懐かしいものをやっていきたいなっていうのが、またちょっとずつよみがえってきてて。今このトーループ1本の構成のショートをやったらどのくらいできるのかなっていう挑戦でもあって。ちょっと楽しみにしながら、しっかり備えてやってます」
 
 ――いい点数を取って、一夜明けて満足感は?
 「まあうれしいなとは思うんですけど、実際まだグランプリの初戦ですし、まだまだ気を引き締めないとなと思っているので。浮かれてはないです。すごい地に足をつけている気持ちでいますし。あとは今回の試合で自分がやってきたことが少し肯定されたような感じがしたので。その肯定感と、あとは自分が本当に勝つために、勝ち続けるために何が必要かというのを常にすり合わせながら練習していかないといけないとな、という気持ちでいます」
 
 ――肯定感とは?精神的なもの?
 「点数的にですかね。やっぱりオータム・クラシックで全然点数でなくて悔しかったというのも、もちろんありますし。まあ点数に関してどうこう言うっていうことはではないんですけれども、スケートカナダで結構苦戦していたので。それから考えてみると、今回そういうこともある程度覚悟していたからこそ、今回、演技としてしっかり評価していただいたというのはちょっとホッとしたというか。やってることは間違いじゃないんだなと肯定していただけたような気がしています
 
 ――ループを入れた構成で点数を出した。
 「自分の演技を評価してもらえるというか。自分のジャンプを評価していただけるというのがちょっと見えたので。ちょっと安心材料にはなりました。安心というか、自信の材料にはなりました
 
 ――チェンの世界最高得点とほぼ同じ。
 「あっ、でも僕ノーミスじゃないので。あと3点、4点ぐらいはジャンプだけでも上げられますし。全然、伸びしろはあると思いますし。今回の構成だったとしても。だから、ワールドの時とはまた、たぶん採点のルールも違っていますし。単純比較はできないんですけど。久しぶりに210を超えたというのがやっぱりうれしかったですし。まだショートで110は超えてないですけど、また、ショートもフリーも110、200。220はたぶんもう今のルールでは難しいと思うので、とりあえず110、215を目指してやっていきたいという気持ちでいます」
 
 ――大会前に言った“自分にしかないもの”はどれくらい出せたか。
 「自分の中でなんですけど、ちょっとずつ高難度のジャンプに偏ってきたなという印象がちょっとあって。自分自身もそうならなくてはいけないという感覚があって練習してきていて。まあ、アクセルもそうですし。ルッツもそうなんですけど。それにちょっと、うん。ちょっとだけでもその流れを止めることができたのが今回の試合だったんじゃないかなと自分の中で感じているので。それが一番良かったかなと思っています。自分の武器が認められたからこそ、その流れにちょっとでも歯止めをかけることができたのかなという感じがしているので。それはたぶん、全スケーターの健康状態にも影響はあると思うんですよね。もちろん、4回転ルッツが本当に難しいのかと言われたら、やろうと思えばみんな跳べるのかもしれないですし。それはもうタイプによりけりですし。僕はどう頑張って練習しても下で回ることができないので。昔からそういうジャンプじゃなかったので。なかなか4回転ルッツに対してのルッツのジャンプじゃないのかもしれないですけど。やっぱりそれぞれのスケーターにそれぞれの個性があって、それがやっと評価されるような採点システムになったのに、それがだんだん高難度のジャンプに傾倒していって、PCSとの比率がだんだん合わなくなってきてるというのが、現在の状況だと思うので。それに対して、ジャンプでも表現できるよ、というところを今回見せられたと思うんですよね。それは非常に良かったと思ってます。特に後半の4回転3回転。ト―ループ―フリップにですけど。あれに関しても、しっかり音に合わせた状態で難しいことをやったので。難しくてもジャンプでも表現できるというのは自分の武器だと思いますし、それによって評価を得られるんだよというところをちょっとでも出せたんじゃないかなという感覚はあります。すいません、ちょっとなんか話が、ばく大、膨大なことですけど(笑い)」
 
 ――自分の試合に加え、競技の形をつくりだす、と。
 「そういう訳でもないんですけどね。ただ自分がやってきている道が本当に正しいのか正しくないのかっていう風に迷ってはいたので。言ってみればなんですけど、ジャンプ跳ぶ前に凄い固まって静止状態から下で回りながらジャンプを跳ぶことが果たして正しいジャンプなのかどうかというのと。例えば、ステップから跳んだジャンプだったり、ジャンプ終わったあとにステップをやったりとか、そういうものが果たして全部評価されきれているのかということとかに関して凄く疑問を持っていたんですね、ずっと。今シーズン始まってから。一番そこを重要視してきて、ずっとスケートやってきましたし、そこが自分の武器だと思っていたので。今回それをしっかり評価していただけたっていうのは、この道でよかったんだなという自信になりましたし。これからまたルッツとかアクセルとかやっていくにあたっても、そういう道を進んだ上で難しいことをやらないといけないなという確信になりました」
 
 ――昨日の会見でロシアのジュニアの選手も名前を挙げていた。研究しているか。
 「研究してます。やっぱり女子の選手って偏見とかではなくて、人間的にどうしても男子よりもやっぱり力が弱かったりとか、筋質的に骨格的に違かったりというのがある中で、あれだけスムーズに4回転が跳べる、アクセルが跳べるというのは、やっぱり魔法ではないので。ちゃんとしたパターンがあるので。そのパターンを見つけたいなということで、凄い研究してます。それはやっぱり自分が線が細いというのもあるし、力を使わないで跳びたいっていう自分の信念みたいなものがあるので、そういう面でも凄い参考にしてます」
 
 ――今日、エキシビションの練習でトルソワと練習して何か感じたか。
 「トルソワはどっちかというと力で跳べるタイプの選手なので、体幹も凄く強いですし、体のバネ自体がすごくあるんだろうなという感覚を受けました。あとは回転に入るスピードが非常に早いなという風に思ってて、それは自分に生かせるかといったら、どっちかというと自分のタイプではないかもしれないんですけど。ただそういう強さも、これから高難度をやっていくにあたって、安定感をあげるためには必要だと思うので、そういうところも見ながら一緒にやらせていただいてました。(取材終了で)ありがとうございます。またよろしくお願いします」
 
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 ――スケートカナダ、4度目の正直で初優勝。
 「ははは。4度目の正直って言うんですか?(笑い)。うん。本当にあの、やっとホッとできました」
 
 ――あらためて一夜明け、優勝はどんな感じか。
 「まあ初戦の勝てないジンクスは去年、ヘルシンキというフィンランドという自分にとってすばらしい環境の中で、やったことでそのジンクスが晴れていたので。今年もそれを一つずつ晴らしていこうという風に思っていて。実際、達成してみてうれしいですけど。今の感触としては、一夜明けた感触としては、まずは演技内容としてここまで評価していただいたのが、まずはホッとするところです」
 
 ――ジャンプのつなぎなどを意識してやってきて、それが評価されたのか。
 「まあ、凄くざっくり言えば、つなぎをだいぶ外そうかなという風に思っていたのと。やっぱりジャンプの確率を上げるためにはスピード落として、しっかり静止した状態から態勢を整えてから跳ぶという方が明らかに確率上がりますし、力も使えるので。ジャンプ自体も高くなったり、幅が出たりということもあったんだと思います。ただそれをしようと思ったんですけど、僕にはやっぱりその道ではないなということ感じながら、このスケートカナダに来ていて。実際、それをもう1回ぶつけてみようと思って、ぶつけた結果、こういう結果になったので。この自分の武器を生かしてやっていきたいなという風にまた思いました」
 
 ――今回、壁が見えていると言っていた。乗り越えた時にいっそう強い姿が見られるのか。
 「なんか核心みたいなところを突いているんですけど、その確信がまだ自信になっていないというか。まだ手探りな状態を繰り返している状態なので。だから、それが確信に変わった時に、もっと強くなれるかなという風に思ってはいます」
 
 ――手探りとは課題がまだあるのか。
 「うーん。なんかちょっと、まだうまく自分の中でコントロールしきれていないみたいな状態ですね。なんかそこのいいところに入ったり、入らなかったりみないなものを繰り返しているので。その曖昧な部分ではなくて、しっかりとそこのいいところにストンと入りたいなという風に思っています」
 
 ――子供の頃からずっとハイレベルな戦いがやりたいと言っていた。今はループや世界初の3連続ジャンプを成功させて、夢がかなってきた現状については。
 「フフフ。まあ、でもト―、フリップはやっぱりおまけみたいなものなので。ト―アクセルもそうだったんですけど。まあそれで世界初って。まあ世界初かもしれないんですけど、コンビネーションなので。そこまで喜ぶようなものではないかなと思っています。ただ、得点を上げるという点に関しては着実に強くなってはいかないとなっていう風には思っているので。強くなる上で、こういうことができていることはうれしいなという風に思います」
 
 ――練習でしゃがんでからループをやっていた。具体的にいつからやっている。
 「小学校2年生くらいから全ジャンプをあの入りから全部やっていて。その当時まだ小学生だったので。何が目的かなんて分からずに先生に言われるがままにやっていました。実際は、最終的に今感じているのは軸の取り方とか、足の滑らせ方とか、そういったものに今は生きているなと思っています」
 
 ――「Origin」は20-30%と言っていた。70%は何がある。
 「なんか、自分の中のイメージみたいなものですかね。やっぱり自分の中のイメージをもっと表現しきりたいというのもありますし。言葉で表現するのがちょっと難しいんですけど。理想型としての表情の付け方だったり、表現の仕方だったり、または、そのプログラムとしてのオーラだったり、雰囲気だったり。そういったものに関しては全然足りないなという風に思っています」
 
 ――高難度ジャンプと自分の武器とどうバランスを取っていくか。
 「もちろん難しいジャンプはやりたいと思っています。それは絶対必要だとは思っているので。ただ、ちょっと今回、自分のジャンプにまた自信を持つことができ始めてはいるので、しっかりとその自信を持ちながら、ただ、高難度になった場合でも、この自分の質を消さないように。この質の状態のままで高難度ができるようにというのを意識して練習はやっていきたいと思っています」
 
 ――今回300点やスケートカナダ優勝など強いプレッシャーをかけた。その結果を受け手、次のNHK杯のテーマは。
 「次のNHK杯は…。NHK杯はNHK杯で、まず考えようかなと思っています。もちろんファイナルに行くために必要な試合というような位置づけももちろんありますし。またはファイナルまでの期間が短いからこそ、凄く慎重にやらなくてはいけないというのもありますし。また、2戦目でケガをしやすいというのももちろん頭の中に入れつつやっていかなきゃいけないと思っていて。とにかく、いろんなリスクとかを考えながら。またその上で最大限、自分ができることをトレーニングとして積んできた上で、試合に臨みたいと思います」
 
 ――3連続ジャンプやト―ループ―アクセルは少しでも点数に影響しなければやる意味がないと言っていた。五輪終わったシーズンは自分のやりたいスケートをやりたいと言っていた。それがどのように自分の中で変化があったのか。
 「やっぱりオータム・クラシックの時に、去年のですけど。去年のオータム・クラシックの時に凄いフワフワした状態でやっていて。それが、なんか、まあ、アクセル跳んで早く辞めたいみたいな…感じのところが若干あったはあったんですね。やっぱり競技続けることがどれだけ大変かというのを覚悟しなきゃいけないと思ってますし。実際、今、競技を続けている上で、もの凄くいろんなものを削ってやっているとは思っています。だからこそ。あの、なんか削っている上でそんな中途半端なことしたくないなと思ったんですよ。で、今やっとこのスケートカナダが終わった段階で、やっと、その自分がしたいスケート、自分が目指したい理想のスケートと、高難度ジャンプ、自分の夢だったアクセルだとかルッツだとか。そういったものが、やっとイコールになってきた状態なんですね。だからこそ、それも含めて質の高い演技をしたいなって思っています」
 
 ――今回はどうだったか。
 「そうですね。かなり大きかったです。やっぱり320を超えたのが本当に久しぶりだったというのもありますし。ヘルシンキ以来ですかね。ヘルシンキワールド以来だと思うので。あの時はまだエレメンツももう一個多いですし。あの時以来に久しぶりにいい演技ができたので。これからまた自信を持って、自分は羽生結弦なんだってまた言い聞かせながらまた練習したいなと思っています」
 
 
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文中、下線の部分はスケート技術について語っている部分、そして黄色ハイライト部分は、彼自身の気持ちについて語っている部分で、重要だと思った箇所です。
 
まず、技術についてですが、「僕はどうしても下で回ることができない」と言っていますが、これはルッツ、トウループなどのジャンプの入りで、プレロテーションができない、ということを言っています。 確かに羽生選手のトウジャンプにはまったくプレロテーションがなく、しかも空中にまっすぐ上がった後で回転を始める、ディレイド・ロテーションと言われるジャンプの形で、GOE+の項目の一つにもなっています。 しかし、現実には4ルッツを跳ぶ選手、特に女子の選手に、著しいプレロテーション、アンダーロテーションが見られるにもかかわらず、4ルッツとしてGOE減点も無しに認定されています。
 
また「それぞれの選手の個性に合わせて採点されるはずだったのが、高難度ジャンプに傾倒してきている」というのも、このブログで度々書いていますが、クワドジャンプを複数回跳ぶことが、PCSに影響してはいけない、とルールブックにあるにもかかわらず、クワドの回数の多い選手に自動的にPCSも高くつけるジャッジが多いという現実があります。 つまり何のためにTES(技術点)とPCS(スケーティング基礎力、芸術点など)を分け、それぞれが同じぐらいの比率で採点される様になったのか、その意味がなくなってしまうということです。
 
ジャンプ跳ぶ前に凄い固まって静止状態から下で回りながらジャンプを跳ぶことが果たして正しいジャンプなのか」「ステップから跳んだジャンプだったり、ジャンプ終わったあとにステップをやったりとか、そういうものが果たして全部評価されきれているのか」 という疑問を持っていた、特に今シーズン始まってから、と言っていましたが、これも当ブログで繰り返していますが、たとえ高難度ジャンプを高くクリーンに跳んだとしても、ジャンプに入る前に長ーいテレグラフ(準備滑走)をして跳ぶなら、着氷率はうんと上がります。 しかし、リンクを斜めにほぼ全域何もせずにテレグラフをしてジャンプに入る演技と、華やかなステップや振り付けをちりばめながら、いきなり飛び上がる選手の4Tが、同じGOEでいいのでしょうか? その難しさは、ダントツに違うはずです。 そこにスケーターの技量の違いがでるはずです。 しかし、それを正当に審査できるジャッジが少ないことに、彼は幻滅していたのではないでしょうか。 さらに、「下で回りながら」とは、プレロテーションのことです。 これは女子のクワドルッツのみでなく、今まで男子のジャンプでも、まだブレードが氷上にあるうちにかなり後ろを向いてしまってから跳ぶトウジャンプ、エッジジャンプが見られます。 実は多くの選手にプレロテはあるのです。
 
大きなジャンプをクリーンにとべば「おお~!」となるのは、スケートの素人だけで充分です。 少なくとも、フィギュアスケートやスケーティング技術の難しさを知っているべき審査員が、それを正当に評価することができていない、ということが問題なのです。 テッドが羽生選手の練習をみていてさえ、あのような賛美のコメント(これができるのは彼の他にはいない、など)するのには、理由があるのです。
 
2分、あるいは4分という演技時間の中で、どれほどの長い時間、クロスオーバーでスピードをあげ、両足滑走でジャンプ準備のテレグラフをしているか、あるいはトランジションをちりばめ、難しいターンを片足滑走でしているか、その辺がしっかり採点に反映されないというのは、選手のせいではなく、審査のやりかたのせいです。 実際AIを導入して、クロスオーバーや両足滑走の時間をはじき出して採点に繁栄したらよいのに、と思うぐらいです。 私のような初心者が見ていても、「この部分は私でもできるわい」という足さばきの多い選手は、トップ選手の中にもいます。
 
ツルソワ選手に関しては、「どっちかというと自分のタイプではないかもしれない」と言っていましたが、確かに彼女のクワドルッツはプレロテ気味ですし、タイプとしては、羽生選手はコストロナイア選手の方が近いでしょう。 彼女の3Aの入りは、大変に複雑で難しいにもかかわらず、まるで何事もなかったかのようにふわりと跳ぶあたり、羽生選手のジャンプに近いものがあります。
 
「まあ、凄くざっくり言えば、つなぎをだいぶ外そうかなという風に思っていたのと。やっぱりジャンプの確率を上げるためにはスピード落として、しっかり静止した状態から態勢を整えてから跳ぶという方が明らかに確率上がりますし、力も使えるので。ジャンプ自体も高くなったり、幅が出たり…」と話していますが、得点を上げようかということになれば、長いテレグラフをしてジャンプだけに集中した方が安定はします。が、それでは「羽生結弦ではなくなってしまう」と、思い至ったのでしょうね。
 
オータムクラッシックの採点で、今のISUの採点システムは自分のスケートを評価してくれないという失望を持った。 それは無理もないと思います。 オータム、ジャパンオープン、そしてスケートアメリカを見ていれば、とにかく難易度の高いジャンプさえ降りれば点数が上がるんだな、という印象を持たざるを得ませんでした。 ジャンプGOEのプラス項目の中に、「難しい入りと出」、「力の入らないジャンプ」、「出た後の流れ」といった項目があるのに、高さと幅さえあれば、高いプラスのつくGOE判定。 いったいジャッジは何を見てGOEをつけているのか、フィギュアスケートはどっちに向かうんだろうか、とがっかりしたファンも大勢いました。 
 
しかし、羽生選手はスケートカナダの始まる前に、達観したように「僕は僕らしく滑る」と高らかに宣言していました。 おそらく他選手の演技動画を研究し、色々考えた結果、それは自分の道ではない、と。 得点に結びつかなくとも、自分は自分のスケートを貫く、と決めたのでしょう。 そして、今回の審査、採点は、ファンの私たちにも納得のできるものでした。 もちろん演技は素晴らしかったですが、ジャンプにつくGOE採点も適正なものだ、と思えました。 これまでは、「いったいこの3Aに、GOE+5をつけない理由はなに?」と思うようなジャッジも多くいましたから。
 
ハイライト部分を読むと、羽生選手は繰り返し、「今回の試合でしっかり評価していただいて、自分のやってきたことが肯定されたと感じることができた。自信になった」と話しています。「自分のジャンプを評価してもらい、やってきたことは間違いじゃないんだと少し安心した」、と。 それにしても、やはり彼はそこまで失望し、不安を感じ、自信を失っていたのかもしれません。 「スケートカナダが終わって、やっと自分がやりたいスケート、自分が目指したい理想のスケートと、自分の夢だったアクセルだとかルッツだとか、そういったものが、イコールになってきた状態。ヘルシンキワールド以来、久しぶりにいい演技ができたので、これからまた自信を持って、自分は羽生結弦なんだって言い聞かせながら練習したい」と話した羽生選手。 オリンピック2度の覇者、フィギュアスケート人気を世界的にここまで高めた功労者である羽生結弦選手にここまで言わせるというのは、この1-2年の審査がやはりなにかおかしかったのでしょう。 それを感じていたのはファンだけではなかったのだ、と改めて憤りを感じずにはいられません。
 
自分らしい、自分のスケートをあくまで追求する。 それは自分のためでもあるし、彼のスケートを愛する人々のためでもある。 しかし、同時に羽生選手は火の出るように勝利を渇望する人でもあります。 その彼が、それでも自分の求めるフィギュアスケートの美、芸術性を追求することを選んだというのです。 そもそも、フィギュアスケートの美とはなんでしょうか。 それは卓越した技術がなければ作り出せない世界のはずです。 滑らない人にはわからない、毎日の基礎練習、つまらないエッジワーク、筋トレ、そういうものの積み重ねがあって、初めてこのステップ、このターン、このツイズルが滑らかにできるのです。 
 
ジャンプやスピンは、基礎技術が無くても案外できるエレメンツだが、深いエッジを切り返して加速するスケーティングやカウンター、ブラケットの連続などはできません。一本降りれば高い得点のあるエレメンツを満載して勝つことはできても、案外基礎的なことができない選手はいるものです。そういう選手に羽生選手のプログラムを同じように滑ってみろと言った時、できるでしょうか。 できるはずはないのです。すぐにスピードが落ちて止まってしまうか、あのジャンプ前ステップではクワドがトリプル、あるいはダブルに落ちてしまうか、ジャンプ後の着氷で詰まってしまって、なんども漕がなければスピードが戻らないか…そういう部分をしっかり評価できるのが審査員でなくてはいけないはずなんです。
 
 
PCSからトランジションをとってしまおうという提案をしているといううわさや、世界選手権に向けて「最も価値あるスケーター」の条件として、ファンやメディア、スポンサーに評価されているなどという項目を上げているところを見ても、この一回の試合での審査評価で安心はしていられないよな、と思うのです。 スケートカナダでの評価は、もしかしたらファンの怒り、ラカーニック氏の「Japan Openの審査を参考にするな」の声、そして直前練習のテッド・バートン氏の正直な解説がジャッジに色々な示唆を与えたのかもしれません。 今回は強力なライバルがいない試合だったということもあるかもしれません。他に勝たせたい選手がいた場合、ジャッジたちはまた変なことをするかもしれません。 次はNHK杯、そしてトリノでのファイナルと、今後も適正でルールにのっとった審査をするかどうか、しっかり見守りたいと思います。
 
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スポニチアネックス:

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191028-00000228-spnannex-spo

 

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数日前に、SPの練習にテッド・バートン氏がつけたコメントを翻訳してご紹介しました。
彼のコメントは、まさにこのインタビューで羽生選手が語っていることを裏付けるようです。

https://ameblo.jp/popular2/entry-12539391407.html

 

オータムクラシック、優勝しても、採点には納得できませんでした。そういうファンは多かったでしょう。

https://ameblo.jp/popular2/entry-12525507894.html

 

そしてフィギュアスケートはどちらに向かおうとしているのでしょうか?

https://ameblo.jp/popular2/entry-12539580686.html

 

スケートアメリカに対する感想です。

https://ameblo.jp/popular2/entry-12537759117.html

 

 

どの記事も、多くの「いいね」をいただき、スケートファンの気持ちは同じようなのだなと感じました。