[PR]

 福岡市が、生活保護の申請や相談に来た人に応対する面接室に、今年4月から防犯カメラを設置している。市は「市民や職員の安全確保のため」と説明するが、人権侵害ではないかとの声も。設置の統一ルールはなく、運用は現場任せなのが現状だ。

 防犯カメラは、同市内の7区役所にある計47の面接室のうち10室の天井に設置された。全ての区役所に最低1カ所ある。市は、過去に職員が暴力を振るわれたり、刃物を見せられたりしたことがあり、「市民や職員の安全確保のため」と理由を説明する。

 2015年4月から今年9月までにこういったトラブルが約20件あり、そのうち8件は警察が介入するような事案だったという。昨年12月から設置の検討を始めたが、運用にあたって、議会の議決が必要となる条例は制定しなかった。

 面接室の入り口などに周知のために「防犯カメラ設置」と表示しているが、通常は録画していない。職員が、相談者らから身体に危害を加えられる可能性があると感じた場合など、担当課長が必要と判断した場合だけ録画するとしている。録画映像は1週間保存した後、上書きの形で消去される。

 市保護課によると、運用が始まってから今月25日までに実際に録画したケースは、東区役所の5件。警察などに映像を提供したことはないという。そのうち3件は、相談に来ることが分かった時点から録画を決めていた事例という。

 4日の市議会では、綿貫英彦市…

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら