高専はこういうところ
カリキュラム
私は中学卒業後、地元の高校には進学せず、学寮生活の高専に進学しました、理由は「就職率ほぼ100%」と謳っていたからです。
高専は工業高等専門学校の略で、5年間在学し、短大卒と同じ扱いになります。
「高専は高校の時から大学レベルの授業を受けられる」「大学より2年早く社会に出る事が出来る」というのがメリットで、通常の高校の科目に加えて専門知識を1学年目から学ぶ事が出来ます。
ですので国語・歴史といった一般科目もあれば、電気工学・電子工学といった学科ごとの専門科目も1年生の時からあるのです。
(私は「専門学校まで来て、なんで古文とか歴史とか学ばなければいけないんだ?だって就職で絶対に役に立たないのに」という疑問を抱いたまま過ごしました。)
中学までは4~7月を1学期、9~12月を2学期、1~3月を3学期としていましたが、高専では4~9月を前期、10~3月を後期と呼びます。ちなみに夏休みは高校と同じような期間でちゃんとあります。
部活や同好会もあり、体育祭や学園祭もあるので、そのあたりは普通の高校と同じです。
やはり異なるのが3年間と5年間の違いで、運動部は3年生になるまでは高校の大会と高専の大会の両方に出場する事が出来て、4年生は高専の大会のみに出場する事が出来ます。
5年生になると就職活動と卒業研究発表に向けて集中するようなカリキュラムになり、部活や体育の授業があるのは4年生までになります。
クラスメイトは5年間同じ
私が通った学校には1クラス40名定員の学科が5つあり、志望学科に入学すると5年間同じクラスメイトと共に過ごす事になります。なのでクラスメイト内での人間関係をギクシャクさせない事が重要です。
共学制ではありますが、工業高等学校なので、どうしても男子の比率が多くなってしまいます。
私の時の女子の人数は約40人に対して機械科には1人、電気科には2人でしたし、その他の学科でも多くて10人くらいでした。ですから、なるべく同じクラスメイト内の男女関係のもつれは厳禁です。
卒業後の進路
高専卒業後は、就職、他大学の3年生への編入、さらに高専で2年間の学習が出来る専攻科に入り大卒と同じになるという選択肢があります。
あまり見ないパターンですが、専攻科を卒業して大学院を受験する事も出来ます。
高い学力を維持し続ける理由は赤点のライン
皆さんの高校のテストの赤点ラインは何点だったでしょうか?
30点でしょうか?40点でしょうか?
私の通った学校は60点が赤点ラインで、すべての科目で60点以上を取る事が求められました。
正確にはすべての科目で年平均60点を取らないと進級出来ませんでした。
100点満点のテストが前期中間(6月)、前期期末(9月)、後期中間(12月)、後期期末(3月)の年4回あり、平均で60点という事はつまり全400点のうち240点を取る必要があります。
つまり前期中間、前期期末、後期中間で80点台を取っていればこの時点で240点を上回っているので後期期末が楽できる、などと立ち回る事が出来ます。
逆に最初に赤点ラインを下回ると後で取り戻さなくてはなるので大変です。
私は2年生の時に前期中間の物理のテストで5点を取ってしまい、残りの3回のテストで合計235点を取らなくてはいけなくなって、死に物狂いで勉強した事を覚えています。
そんな厳しい環境だったから、勉強についていけず、進級出来ずに落第してしまう人や退学してしまう人もいました。
それでも最後の5年生までたどり着いた仲間達はみんなちゃんと就職や進学に進んでいったと記憶しています。
「いい大学に入る=いい会社に就職出来る」と言われていた時代は終わりました。
それよりも就職に必要な何を学んだのかが重要で、それを学ぶためには高い学力を維持し続ける努力が必要だったという事です。
だからと言って高専を強く勧める訳ではありませんが、中学を卒業したら義務教育は終わりです。
今はオンライン講座などの通信の学校もあり、どこに進学して何を学ぶかの選択肢が広がった分、就職というものに真摯に向き合って進学先を決めないと就職活動で苦労する事になります。
余談:
入試
私の時は入学志望者の倍率が6~22倍だったなんて噂もありましたが、実際のところどうだったかはわかりません、志望する学科によって倍率が異なりますから。
しかし高専といえば有名なのはロボットコンテスト(通称:ロボコン)で、それに出場する事に憧れて入ってくる生徒が多いです。
そうするとつまりロボットコンテストに出場させるロボットを作る事が出来る機械科が1番倍率が高いという事になります。(私は機械科ではありませんでしたが)
入試は一般的な5教科で、数学と理科は解答欄に解答を記入し、国語・社会・英語は全問マークシート形式でした。
学寮
通学が厳しい遠方の人が入る事が出来る学寮があり、私はそこで5年間生活しました。
学寮費の中には平日3食分の食事代も含まれていて、午前の授業が終わったら一旦学寮に戻って昼食を食べ、午後にまた学校に行くというシステムで、それは学寮が学校と同じ敷地内にあるからこそ出来た事でした。
休憩スペースは1階につき1フロアで、炊事場やテレビなどはすべてそこに集約されていました。
洗濯スペースも1階につき洗濯機が3台設置されており、それをみんなで共有して、干すのは自分の部屋です。
その他には洗面台とトイレは各階層にあり、風呂と食事スペースが全学寮生で共用でした。
毎晩1~3年生は20時に、4、5年生は22時に点呼があり、点呼に数回遅れると罰則のルールがありました、20時の点呼ギリギリまで部活に励んでいた事もあります。
学園祭ならぬ学寮祭というものがあり、学寮生だけで出し物をして競ったり、抽選会やオークションなどもありました。
しかしあくまで勉強しやすい環境のための学寮であるため、ある程度以上の学力を維持していなければなりません。
2回落第すると学寮からは追い出されてしまいます、安く寝泊まりさせてくれているのだから当然ですよね。
担任
クラスには担任の先生が付きますが、1、2年生の2年間は国語や体育のような一般科目の学科の先生が担任になって、3〜5年生の3年間は専門学科の先生が担任に就任しました。
つまり3年生になった時に「あの先生と3年間一緒になるのか」となるわけです。(いい意味でも悪い意味でも)
その担任の先生は授業と同時に、4年生の後半から就職の面倒も見てくれる事になります。
その学科にどんな求人票が届いて、受けたい会社があったら書類を作ってくれたり、相談に乗ってくれるので、頼りになる先生が担任になってくれるかどうかが結構キーになってきたりします。(私の担任がアタリだったかハズレだったかはナイショです)
車通学
学校内の駐車場に空きがあるか次第ですが、18歳になり、車の免許を取った生徒は車での通学が可能でした。
3年生までは電車〜自転車 or 徒歩通学していたのに、みんな18歳になると免許を取り、4年生になったらどうやって買ったのか分からない車で通学してくる人が増えました。