blog R.K.O.

アホはアホなりに生きていく

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競走馬には、よく「幻の○○」と言われることが多々ある。

だいたいそういう時は、得てして名馬が怪我かルールでレースに出走できなかった時に形容される言葉だ。

アグネスタキオンは、「幻の三冠馬」だった。

2歳(当時の3歳)の12月に新馬戦でデビュー。
2着を3馬身以上の差でぶっちぎりの勝利。
上がり3ファロンを33秒台という驚異的な速さで差しきった。

同月のラジオたんぱ杯3歳Sは、もはや伝説のレースとなっている。
1着アグネスタキオン、
2着ジャングルポケット(後にダービー、ジャパンC制覇)、
3着クロフネ(後にNHKマイル、ジャパンCダート制覇)。
ちなみに、アグネスタキオンとジャングルポケットは2馬身以上の差があった。

皐月賞トライアル、弥生賞ではもはや疑いの余地の無い圧勝劇を見せた。
2着ボーンキングに5馬身差、3着ミスキャスト以下には7馬身差をつけていた。
本来、差し馬であるはずのアグネスタキオンは、3着につけたまま悠々と最後の直線を迎えると、
あとは独壇場だった。これで無敗の3戦3勝でクラシックを迎えることになった。

そして、皐月賞。
結局、これがタキオンにとって最初で最後のクラシックでありGⅠレースだったが、
ダンツフレーム、ジャングルポケットを相手に圧巻の走りを見せて無敗で皐月賞を制覇した。

ダービー直前、屈腱炎を発症したタキオン陣営は、引退を発表。

結果的にタキオンが走った4戦はすべて2000mの左回りで、
実際、ダービーや菊花賞を走ったらどうだったかは、もちろん誰にも解らない。

けど、末脚勝負が主流だった当時を思えば、
タキオンは間違いなく「三冠馬」だったでしょう。

クロフネ、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ……。
タキオンが負かした相手は、その後のGⅠを勝ったつわものたちだった。彼らよりもタキオンが上だと考えるのは至極当然の成り行きだと思う。

早すぎる引退、そして早すぎる死。

去年、アグネスタキオンは死亡した。

サイレンススズカの時も思ったが、
恐ろしいほどの切れ味を誇る豪脚は、一瞬で砕け散ってしまう諸刃の剣でもあった。

だからこそ、名馬と呼ばれる競走馬は貴重な存在なのだ。

自分が生きている間に、どれだけの名馬を見られるかは解らないけど、
アグネスタキオンは、間違いなく俺の人生の中で5本の指に入る名馬だった。


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