blog R.K.O.

昨年、原因不明の死を遂げたタレント・飯島愛の著書

『PLATNIC SEX』


映画とテレビのドラマでは見たことあったけど、
原作の本を読んだことは無かった。

彼女の死後、本は文庫版が増刷され、
再び書店の店頭で平積みされるようになった。

改めて、文字になったその内容を読んで驚愕する。
俺なんかには有り得ない人生だ。

俺が１４歳の頃、一体何をしていただろう？

そして２５歳の時、俺は何をしていただろう？

『PLATNIC SEX』の話は
飯島愛ではない少女のことから始まり、
やがて「愛」と呼ばれるようになり、
そして２５歳を過ぎて両親と打ち解けるまでの話になっている。

もう、彼女のどの年齢の出来事と比べても、俺の人生は何も無かったんだと思わされる。
それくらい、彼女の人生はスケールがデカイというか、
俺の住んでいる世界とはかけ離れている世界で思いっきり生きている、
俺とは世界が違う、と思った。

この本が出てから７年以上が経過し、
飯島愛はその後も普通にテレビに出演していた。
こんなに衝撃的な過去を暴露しても、大して飯島愛に変化は無かった。


けれど、彼女は昨年、死んでしまった。


俺の中の飯島愛のイメージで一番強く印象に残っているイメージって、
ロンドンハーツの格付けで気だるそうにヒナ壇席に座っている姿だった。
最近ではあのイメージが一番強い。

気だるそうでもあり、上から目線で発言しているようでもあり、優しい目線にも思える。
強気で否定的な発言もすれば、淳に鋭く突っ込まれればすぐに弱音も吐く。

けど、単なる元・ＡＶ女優ではない彼女の、秀でた能力である会話力は相当なものだった。
ホステス時代にそういう、場というか会話の流れというか、
会話を途切れさせずに進める仕方を覚えたんでしょうね。

日曜お昼の『ウチくる』でも俺は結構見ていたけど、
その時の彼女のイメージはあまり残っていない。
たぶん、中山秀のトークに任せていたのと
ゲストを立てる番組だったことから、飯島愛の辛口トークは無かったような気がする。

もちろん、ＡＶ女優の頃の飯島愛もリアルタイムで知っている。
俺もＡＶで彼女を観ていたうちの１人だから。

ギルガメッシュでも観てました。
あの頃、Ｔバックと言えば飯島愛だった。
そして、当時はＴバックなんて「えー」とか「すげー」とか「有り得ない」とか言ってたけど
今じゃちょっとエロい下着ならＴバックよりもエロい下着が普通に売っているし
俺が大学生の頃の彼女も履いていたし。

そういう、ＡＶ女優とか恥ずかしい下着とか、
それまでの日本では非常識だったものを、彼女はいくつもぶっ壊してくれた気がする。

そして、飯島愛という人は、もうこの世にはいない。


人が死ぬと、いつも俺は４年前に死んだ恋人のことを思い出す。
愛していた人が死んだ時の心の腐敗は、
それを味わった人間にしか理解できないくらいに自我が崩壊する。
これは、この悲劇を味わったことの無い人には絶対に解らない。
解ったつもりでいても、絶対に解っていない。確信できる。

親や友人が死んだ時の辛さとはまったく異質な別の感情に支配される。

俺は、飯島愛が死んだというニュースを仕事中に会社のパソコンで見て知った。
その時、少なからず自分の恋人が死んだ時のことを思い出した。

本当に辛かった。


人って、自分が知っている人間が死ぬと悲しみを覚えるんですよね。
逆に、自分の知らない他人が死んでも結構平気でいられる。
だから、人は平気で他人を殺せるんじゃないか？

そして、テレビの力って凄いと思った。

飯島愛は俺のことなんて絶対に知らないけど
俺は彼女のことを少し知っている。少なくともテレビに映っている飯島愛は。

そして、他人事じゃないように悲しみも感じている。

それは、やはり飯島愛という人間の半生をドラマで観たり本を読んで知ったことで
自分の知らない人間ではなくなったということなのだろう。


どうして死んだのかは解らないけど、精神的に弱いところがあったから、
常にいろいろと思い悩んでたのかもしれない。

とにかく、ご冥福をお祈りし、
残された俺たちは、彼女のような不幸な子供をこれ以上ふやさないようにしないといけない。