| UAEのメイダン競馬場で行われたGⅡマクトゥームチャレンジ3で、 日本のレッドディザイアが勝利した。 先頭集団が最後の直線に入った時、レッドディザイアはまだ後方から2番手で、 コーナーを曲がったばかりだった。 前の2頭が前残りの状態で粘っていたが、大外から強襲したペリエ騎乗のレッドディザイアが ゴール前でハナ差の差し切り。 ディザイア自身、初の海外重賞制覇で、日本馬としても久々の海外重賞勝利。 勝ったレッドディザイアはもちろん凄いが、 俺はO.ペリエの騎乗も凄いと思った。 最後の直線で、最初は右手でムチを打ったペリエだったが、 若干ディザイアが右にヨレた。 そこで、すぐさま左手にムチを持ち替えて左手で叩いた。 すると、ディザイアは右にヨレるのを止めてまっすぐ走り、先頭に並んであっという間に差し切った。 全身を使った大きな伸びのあるストライドは、まさにバネのようだった。 レース後、主催者側からワールドカップ参戦の招待がすぐに出された。 さすがにあの最後の鬼脚を見せられたら、どんな国の競馬ファンだって本番での走りを見たくなる。 当初はシーマクラシック参戦を目的としてUAE入りしたのだが、 レース後のインタビューで、陣営はワールドカップも視野に入れて考えるという風に明言を避けた。 オールウェザーも距離2000mもワールドカップと同じ。 どうせなら、世界的にも知名度の高いワールドカップ参戦の方が魅力がある。 しかし、ワールドカップには日本からウオッカも参戦するし、仲間を潰すことにもなる。 前哨戦でこれだけのインパクトを残したために、本番では強烈にマークされるだろうし、 海外での滞在が続くため、調子次第では本番であの鬼脚が炸裂できなくなるとも限らない。 ここは思案のしどころ。 ただ、見る側としては是非、世界最高峰のドバイワールドカップで日本の馬が優勝する瞬間を 見てみたい。 そして、もし、日本馬がワールドカップ優勝を果たすと、 今後、ワールドカップへ日本の芝の馬が続々と参戦する流れが生まれるかもしれない。 去年まではワールドカップはダートレースだったので、 芝専用の馬は参戦する選択肢にワールドカップは入っていなかったが、 今年からオールウェザーに変わって、状況も変わった。 もし、世界のダートレースがダートからオールウェザーへ変わっていく流れになっていけば、 世界のダート馬の勢力図が大きく変わる。 実際、ダート馬がオールウェザーのレースで良い成績を残せていない。 むしろ、芝の重馬場に強い馬が勝っている。 それは、レッドディザイアやウオッカにも言える。 レッドディザイアはあまり馬場に関係なくコンスタントに走れるが、 ウオッカは芝の良馬場でないと末脚を発揮できない。 ウオッカはオールウェザーとの相性が良くないのかもしれない。 加えて、海外遠征で結果を残せていないことを考えると、 ウオッカは海外遠征自体に弱いのかもしれない。 まあ、なんにしろレッドディザイアの本番が俄然楽しみになってきた。 ゴールデンシャヒーンに参戦するローレルゲレイロにも朗報だったはずだ。 日本の芝馬がオールウェザーで通用することが解っただけでも気が楽になったはずだ。 もしかしたら、本番で、 我々は日本競馬界の歴史に残る名レースを目の当たりにすることができるかもしれない。 |