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アホはアホなりに生きていく

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先日、飯島愛さんが亡くなったというニュースが流れた。
『飯島愛』といえば俺らの世代ではAV女優の代名詞であり、Tバックの先駆者であり、まさにバブル時代の象徴だった。

何より、AV業界から芸能界への道を切り開いた最初のタレント成功者だった。

彼女の功績は大きい。

本人はAV出身という経歴を隠したがってたみたいだけど、俺らの世代くらいから、AV女優という仕事が昔ほど世間的に恥ずかしい職業ではなくなっていた。
なんせ、俺は子供の頃からAVを観ていたし。

奇しくも俺はVHSが世に出た年に生まれ、ビデオ普及と共に育ち、AVのおかげでVHSは確実に普及していき、俺も小学生低学年の時には既にAVを知っていた。

俺が中学生くらいの時に愛さんはデビューした。
もちろんAV女優として。

当時のAV女優は、お世辞でも美人と言える人が少なかった。

そんな中現れた、数少ない美人の一人が愛さんだった。
今でこそAV女優は美人ばかりが出てきて、タレント転身への道のひとつになってるが、昔は何か大きな理由でもない限り、なるような職業ではなかった。

飯島愛も、大きな『理由』を抱える人間の一人だった。それはプラトニック・セックスをみればよくわかる。
けど、AVを観てる側の人間には女優がもつプライベートな面の悩みや問題などは一切わからないから、アホみたいに目の前に展開される快楽の舞をただただ楽しんでいた。

けど、当の本人は悩むことも多かったんだろう。
AV出身という肩書きは常に付いてくるし、世の中は優しい人ばかりじゃないから心ないことを言う奴らもいただろう。
周囲に対して繊細な感覚をもっていた飯島愛は、人一倍そういうものを感じてしまってたんだろう。

テレビで見せる、あのどこか気だるそうでいて、なのに優しい雰囲気の表情が、俺は好きだった。

必要以上に自分を飾らず、ナチュラルな感じの正直さや自分の内面を開けっぴろげにする、嘘のつけない性格は見てて気持ち良かった。

死ぬには早すぎた、惜しい人を俺らは失った。

今、DVDやブルーレイの普及でAV女優の総美人化はますます進み、深夜の民放でもAV女優がAV女優のまま出てこられる時代になりました。
その先駆けだったのが飯島愛という存在であり、彼女の生きた時間そのものがひとつの時代だった。


自分の知ってる誰かが死ぬのは、いつも悲しい。
クリスマスイヴの日に聞いた訃報は、その悲しさをよりいっそう増した。


また、ひとつの時代が終わった。

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