自民党内で量子技術の研究開発を後押しする量子技術推進議員連盟が発足した。超高速の「量子コンピューター」や、解読が困難とされる「量子暗号」の技術は世界各国の研究開発競争が激化している。日本が出遅れれば安全保障上の脅威に直結するとも指摘されている。政府は年末に量子技術イノベーション戦略を策定する予定で、その前に議連が提言をまとめる。
米グーグルは23日、従来のコンピューターでは困難な問題を解く性能を示す「量子超越」を達成した、と発表した。自民党の議連は同発表より前に発足している。会長には林芳正元文部科学相、事務局長に大野敬太郎氏が就く。発起人には甘利明税制調査会長、渡海紀三朗氏らが名を連ねた。
提言には民間の研究開発を支援する策を盛り込む考え。コンピューターや通信など主要な産業分野ごとに戦略をまとめる予定だ。金融や医療など機密情報を扱う分野での需要も大きいとみている。発起人の一人は「各分野で明確なイノベーション戦略を打ち出し、方向付けをしたい」と話す。
量子技術は安全保障分野での関心が高いが、政府調達だけでは市場拡大は見込めない。発起人の一人は「民間市場が育つように政治としてムーブメントを起こしたい」と話す。11月中旬にも次回会合を開き、具体的な検討に着手する。