-ラップ加工による研磨について-
長い間、回答側だけに居ましたが、今回初めて質問致します。
ここが荒れだしてから回答も控えていまして、ROMするのももう止めようかと思いますが、
最後に質問しておくのも悪くはないかな?と考えてのことです。
(質問が初めてですので、何か不都合がありましたならアドバイス下さい。)
質問1)湿式ラップでは梨地面になり、乾式ラップだと鏡面になる理由。
湿式ラップの方が除去量が少なく時間が掛かる反面、
精度に優れ、面粗度も良好になるとされています。
しかし、鏡面ではなく光沢面でもない、梨地面になります。
精度が良く、面の荒れも少ないなら、光沢があっても良さそうですがそうではありません。
湿式ラップでは、遊離砥粒に依る研削作用の他、面を摩滅し押しつぶす作用もある筈。
もっと光沢があっても不自然では無いとおもいますが、事実はそうではありません。
乾式ラップでは、多くの砥粒が定盤側に捕らえられ半固定になり、
面を押しつぶす作用は少なくなると考えています。
そうなると研削と同じ状態の面になり、無数の細かな加工筋目が出来るので、
加工筋目による微小な乱反射で光るのでしょうか?
実際、円筒研削盤での面と同様に、光沢面が出来ます。
質問2)梨地面ではなく、乾式ラップの鏡面でないと、リンギング出来ない理由。
スジの残った研削面や、バフ盤で磨いた光沢面でもリンギング出来ませんが、
乾式ラップでピカピカの鏡面にすると、リンギング出来る様になります。
研削面や光沢面では、オイルを多めに塗ると油膜で貼り付く様にはなりますが、
リンギング時特有の「ジャリッ」や「ザラッ」とした感覚は指に伝わらず、
オイルで「ヌルッ」とした感触があるだけで、実際、リンギングは出来ません。
面の粗さが小さいなら、リンギングしても良さそうだが、何故?
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現在、中堅の研削盤メーカで設計をしていますが、
今春の技術系新入社員の教育を任される事になり、
その実習の中で、ハンドラップ仕上げを体験させる予定です。
一昨日、その下準備で、自分で鋳鉄ブロックにハンドラップを施し、
ブロックゲージをリンギングさせてみたのですが、
乾式ラップで仕上げた鏡面でないとリンギングが出来ず、
学生時代の40年前からの疑問が解けないままでした。
(実は、やってみれば何とかなるのでは?と高をくくっていた。)
面粗度計が使えなかったので、表面粗さは測定していませんが、
定盤上、ダイアルゲージで当たる限りでは、1μm目盛りで2目盛りも振れません。
オプティカルフラットも使えなかったので、平面度は不明です。
当然ですが、指先で触れると真っ平らにしか感じません。
(3~4μmほどの凹凸なら、触って判定出来ます。)
尚、ラップ面は、私の男前!が少し曇りながらも写る程度でリンギング出来ました。
添付写真は、ブロックゲージをリンギングさせた様子です。
http://yahoo.jp/box/X787TN (ヤフーのボックスに写真をアップしました。ご覧頂けると良いのですが・・。)
(鋳鉄ブロックは、虹技のデンスバーFC材、ブロックゲージはツガミ製。)
新人君たちに、自前のキサゲ棒で市松模様のキサゲ面を作って見せ
(説明しながらなので少々イイ加減だったが)、
測定すると深さ3~4μmで、黒あたりが坪20個でした。
が、ベテランの加工職人さんに依ると、研削盤の案内面ではそれじゃ深さが足りないそうで、
新人君たちにやって見せてくれました。プロは上手だね、驚き!
ラップ加工は機械(ラップ盤)でする場合と、
単品の摺り合わせで手作業の場合とがありますが、
今回は新人の実習なので、手作業を体験させます。
鋳鉄ブロック3個を、相互に摺り合わせてラップし、
ウイットウォースの完全平面を作ります。
これを湿式ラップで行うか、乾式ラップまでやってリンギングさせるか、
ちょっと悩みどころです。
湿式だとリンギングしない説明が、自分でも出来ていません。
自前のマイ・キサゲ棒や、マイ・マイクロメータなどを使って
新人教育の講義もやっていますが、全部、二輪車がらみの資産。
鋳鉄ブロック(30×60×100)を、
リンギングさせた角棒で持ち上げて見せたら驚いていました。
連休でメンテナンスが~5/8となっていたのでノンビリしていたら、
何と既に書き込める状態になってアドバイスが増えていましたね。
返答が遅くなって済みませぬ。
5/2が出勤だったので、湿式ラップ後の状態を測ってみました。
粗さは、サブミクロンでした。表面のうねりも無し。
(数値は控えてこなかった。どうせ書き込めないし・・、と思っていたので。)
なのにリンギングはしないのです。
(オイルを少し多めに塗ると、オイルで貼り付く様にはなります。)
平面研削盤でスパークアウトした面を、ピカールで丁寧に磨いた光沢面では、
ぴかぴか光るのですが、ちゃんとしたリンギングは出来ませんでした。
(手に、あのザラッとした感触は伝わってきません。)
回答をお寄せ頂いた方々に感謝申し上げます。
その後、測定や実験を経て、幾つかの知見も得たのですが、
勤務先との関係上、続きの詳細を書けないまま時間が過ぎてしまいました。
現在は、新入社員の研修を担当していた会社を離れ、
別の会社との契約で、設計開発を担当しています。
(だからと言って詳細を開示出来ない状況は変わりませんが。)
さて、結論は、
一般的に、湿式の方が研磨量が大きいことが分かりました。
(但し、状況によっては乾式と逆転することも有る!)
依って、リンギングするラップ面は得られ難いとなります。
(但し、これも、出来ない訳では無い。)
測定結果や諸々のデータも書きたいのですが、
仕事時間中にやらせて貰ったことなので、開示は自粛します。
以上、皆様の回答やアドバイスに御礼申し上げます。
リンギングの様子
http://yahoo.jp/box/X787TN
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