意外と知らない道産昆布の上手な使い方や、昆布をエサとしていたウニを使って昆布を育てる「逆転の発想」の取り組みについて紹介します。
その昆布、だし向き?料理向き?
国産昆布の95%は北海道産。一口に道産と言っても、たくさんの産地と種類がありますよね。それぞれの昆布の特徴と料理との相性をご紹介します。
だし向きの昆布
まずは、だしに向いている昆布をご紹介。
利尻昆布
上品なだしが取れる昆布。硬く塩気があり、吸い物や湯豆腐などの料理に向いています。関西地方の料亭でもよく使われます。
真昆布
昆布の中でも「最高級品」と言われ、甘みがあり、まろやかで澄んだだしが取れます。
羅臼昆布
「だしの王様」とも呼ばれ、香りが良く、黄色みを帯びた濃厚でこくのあるだしが取れます。
瀬田アナウンサーが、利尻昆布と羅臼昆布のだしを味比べしてみました。
「利尻昆布のだしは、とろみもしっかり出ていて口の中に芳醇な香りが広がります。羅臼昆布は、口の中に入った時のとろみが違うのと、香りにこくがあり、より強く鼻に抜けてくる感じです。羅臼のほうがしっかりと濃い色をしていますね。」(瀬田アナウンサー)
風味や色など、産地や種類によってそれぞれの特徴にはっきりと違いがあることがわかります。
料理には…
続いて料理に向いている昆布をご紹介。
だし向けに比べて、軟らかいものが向いているそうです。
日高昆布
料理に向いた昆布の代表とされ、どんな料理にでも使える万能昆布。軟らかく火が通りやすいのが特徴です。
長昆布・厚葉昆布
多くが加工材料に使われ、つくだ煮などに向いています。
細目昆布
加工材料やとろろ昆布になります。
ガゴメ昆布
函館の沿岸で取れ、粘りが強いのが特徴。道南の郷土料理である松前漬けに使われます。
ウニで昆布を育てよう
国産昆布の95%を占める道産昆布ですが、生産量は近年減少傾向にあります。
最盛期だった平成元年の3万3000トン余りから年々減少して、おととしは記録的な不漁。去年は持ち直したものの、1万4000トン余りと最盛期の半分以下に減っています。
北海道ぎょれんは、海水温の上昇で昆布が育ちにくい環境になっていることや、高齢化や廃業によって昆布を取る漁業者が減っていることを理由として挙げています。
こうした中、後志の積丹町では、昆布を増やそうと意外な発想の取り組みが行われています。
昆布を食べて育つウニ。その殻に、昆布の成長に必要な栄養素が多く含まれていることがわかりました。そこで、いわば逆転の発想で「ウニで昆布を育てよう」というのです。
この取り組みは、小樽商科大学の研究グループが町からの委託を受けて3年前から行っています。
乾燥させたウニの殻を粉末にして昆布の養殖用のロープに付着させ、生育状況を調べました。
養殖を始めて6か月。
ロープを引き上げたところ、ウニの殻を付けたものは、付けてないものの4倍近い重さに成長していました。
昆布の年間の生産金額は去年道内で237億円と、ホタテ貝やサケに次ぐ北海道の重要な海洋資源となっています。資源を増やす取り組みに期待が高まります。
(2019年9月10日放送)