Visual Basic(VB)で開発し、保守を続けてきた150万ステップにおよぶ社内システムを使い続けたい。しかしマイクロソフトによるVBのサポートは終了し、VBアプリケーションが動作可能なPCがいつまで使い続けられるかわからない。社内には保守人員を抱えており、新規開発を決断することも簡単ではない。一体、どうすればいいのか――。
ある保険会社からTISに、こんな相談が寄せられたという。「VBで開発した社内システムは業務と密接に結び付いているケースが多い。数年かけて慎重に刷新の決断をする企業がほとんどだ」とTISの森孝次サービス事業統括本部保険&メディカルビジネスユニット保険&メディカルサービス営業部主査は話す。
この企業のように、「ここ数年、数十万ステップもある大規模なVBアプリを刷新したいという案件が継続的にある」(森主査)という。
背景には、「2014年のWindows XPのサポート終了時にVBアプリの刷新を見送った企業が、Windows 7やWindows Server 2008のサポート終了が近づいたのを機に、再び刷新を検討していることがある」と森主査はみる。
Windows Server 2008の延長サポート期限は2020年1月に迫っている。Windows 7についてもサポート終了は見えている。マイクロソフトは2019年10月2日にWindows 7のサポート期限を2020年1月から「法人向けは2023年1月まで延長する」と発表したが、企業システムにとっての3年は決して長くはない。
VBアプリの刷新が待ったなしの状況にある理由は、Windowsのサポート終了だけでない。そもそも開発言語としてのVBのサポートは2008年に終了し、新規開発はできなくなっている。
マイクロソフトはWindows 10で動作可能な実行環境を提供しているものの、提供期限は明確にしていない。現在動作しているVBアプリの保守は難しく、いつまで使い続けられるかわからない状態だ。
Windows XPのサポート終了時に刷新を見送った企業も、今度こそVBを社内から一掃すべきタイミングが来ているといえる。
10万ステップが目安
では今も現役で動作しているVBアプリをどのように刷新すべきなのか。その選択肢は2つある。新規開発として作り直すか、既存のVBアプリを利用してマイグレーションするかだ。
分かれ目はまず現状のVBアプリの状態だ。「10万ステップを目安にそれ以上の規模の場合はマイグレーション、それ未満の場合は新規開発のほうが期間やコストを抑えられる」とTISの森主査は話す。
この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!
日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら