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# 働き方

88%の企業が「わが社の働き方改革は失敗」と答える、その根本原因

では、12%は何をしているのか

第一回は「週休三日、労働時間30時間」を実践する、越川氏自身の仕事のやり方と時間の使い方について教えてもらった。第二回目である今回は、なぜ多くの企業が働き方改革に失敗するのかを語ってもらった。

88%もの企業が働き方改革に失敗

私の経営する「クロスリバー」は、支援している企業の従業員約16万人の行動と意識の変革をお手伝いしています。「社員の働きがいを向上させたい」「変化に対応できる組織にしたい」……さまざまな依頼を受けるのですが、ある時、日本企業526社に対して、それまでに実施していた働き方改革の効果や結果の調査を行ったところ、驚くことがわかりました。

なんと、働き方改革を2年以上にわたり推進している企業のうち、88%が「成功していない」と答えたのです。

この結果には、診断を担当した私も衝撃を受けました。なぜ、88%もの企業が働き方改革に失敗していたのか。この原因を考えることは、働き方改革とはなにか、について考えるうえでとても重要です。

そこで、調査をした企業に対して様々な項目でヒアリングやアンケートを実施し、そこで得られたデータを「クロスリバー」のメンバーと一緒に、MicrosoftやGoogleのAIを使って分析しました。すると、ある共通項が浮かび上がってきたのです。

今回は、なぜ多くの企業が働き方改革に失敗するのか……その理由について考えてみたいと思います。

 

なにが成功で、なにが失敗か

働き方改革に失敗している企業についてお話しする前に、そもそもなにをもって「成功している」としているのか。その定義から説明していきましょう。

成功か否かは、「3つのハードル」によって計測します。第一のハードルは、責任者へのアンケートです。まず、「お客様の会社の働き方改革は失敗していますか、成功していますか?」と単刀直入に聞きます。成功の基準は、労働時間の短縮や、効率的な労働方法の導入など各社によって違いますが、そこで経営者や改革の責任者が「成功している」というか、「失敗している」というかを聞き取ります。残念なことに、多くの会社の責任者が後者を選んでしまうのです。この理由は後述いたします。

責任者の主観的評価がわかったら、次に客観的な評価に進みます。どれだけ働き方改革がうまくいっていると思っても、それで企業が赤字続きでは意味がありません。そこで、財務諸表などを見ながら、業績が伸びているかをチェックします。

最後は従業員の「働きがい(=働いている時に幸せを感じる)」を調査します。外部の調査でも弊社の調査でも「働きがい」を感じている社員は、そうでない社員よりも営業成績や業務効率が高く、生産性が20%以上高いことが明らかになっています。

働き方改革を実施してから、働きがいが高まったと感じる社員が増えていれば、それは働き方改革が成功している大きな証拠のひとつ、といえます。

つまり、会社が成長して、そして社員も幸せを感じる……これを実現する為に「働き方改革」を推進するのです。

ところが、申し上げました通り、調査を実施した88%の企業が、これらに対してポジティブな回答ができなかったのです。