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2019-10-27

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・別にほめられたことではないのだけれど、
 ぼくはちゃんと受験勉強をやらなかった。
 やったとしても出来はわるかったろうから、
 結局はやってもやらなくても同じだったのだろうが、
 受験勉強ならではの「コツ」の話などを聞くと、
 なるほどねぇ、と思うことがある。
 …といっても、例えばどういう「コツ」があるのか、
 聞いて感心したくせに忘れてしまっているけどね。

 ひとつ覚えているのは「徹底的に問題集をやる」だ。
 そうか、教科書とか参考書とかもあるけれど、
 それを勉強してあれこれやっているよりも、
 すでに問題として資料になっているものを解いて、
 解けなくても答えを暗記して、そのことを繰り返す。
 「問題の数は有限なんだよ」とも教えてもらった。
 いまからぼくが受験勉強をするとしたら、
 きっと「徹底的に問題集をやる」ことにするだろう。

 でもね、ぼくはもう受験はしないと思うので、
 どちらかといえば、問題集よりも参考書が読みたい。
 その問題の周囲に、どんなことがあるのかとか、
 問いと答えの外側やら内側のことが知ってみたい。
 できるだけ短く暗記しやすいようにできている答えより、
 ちょっと余計なことかもしれませんけど、
 こんなことも知っておくとおもしろいんですよね、
 というようなことのほうに興味がある。
 いっそ、答えみたいなものもなくてもいいくらいだ。
 ま、こんなことを言ってるぼくは、
 受験の世界では永遠に負け続けることになるだろうね。

 でも、なんかね、世のたくさんの人たちが、
 簡単に覚えられる答えとかコツとかを求めている時代に、
 ちょっと逆らってみたいとも思っている。生意気だけど。
 「徹底的に問題集をやる」も、「コツを知る」も、
 マジックの種を教えてもらうみたいに、
 ある意味では好奇心の一部を満足させてくれるだろうし、
 なにかの自慢や成功に結びつくかもしれない。
 でも、答えを知らないままに、
 たのしみを耕していくほうがおもしろいと思うんだよ。
 受験勉強を逃げたぼくの考えそうなことだけどさ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「ほぼ日の学校」は、参考書のむやみに豊富な世界だなぁ。


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