最終回となる今回は、Windows 10パソコンを新規購入し、Windows 7パソコンからデータを移行する方法を紹介する。データの移行は、手動で行う方法と、引っ越しソフトを活用する方法がある。
手動でのデータ移行がおすすめだが、なるべく手間をかけたくないという場合には市販の引っ越しソフトを使う手もある
Windows 7からWindows 10環境に移行する場合、最もおすすめなのがWindows 10パソコンの購入だ。何より最新のパソコンを選べば動作が快適になるし、故障の確率が低くなるためより永く利用できることになるからだ。
パソコン選びはなかなか悩ましいものだが、デスクトップタイプにするのか、一体型のオールインワンか、それともノートパソコンや2in1パソコンかは、用途でおおよそ決まってくるだろう。
あとは、画面のサイズ、CPUの種類、メモリーの搭載量、内蔵記憶域の種類と容量、拡張ポートの種類と数、Office製品の有無などをチェックしながら選ぶことになる。
価格.comの「選び方ガイド」などを参考に自分に合ったモデルを選んでほしい。
選び方ガイド
・ノートパソコンの選び方
・デスクトップパソコンの選び方
なお、次に解説するデータの引っ越しと関連するのだが、メーカー製パソコンの中には旧パソコンから新パソコンへデータを移行するツールを提供するところがある。
たとえば、NECパーソナルコンピュータには「ファイナルパソコンデータ引越し 11 plus for NEC」(2012年10月発売以降のモデル)があるし、富士通クライアントコンピューティングにも「パソコン乗り換えガイド」(2015年9月・10月・12月発表以降のモデル)が搭載されている。
新・旧パソコンが同じメーカーである必要はあるが、メーカー提供なので安心だ。自分が使っているパソコンに同様のソフトがないか、確認してみよう。
新しくWindows 10パソコンを購入したら、Windows 7パソコンから必要なデータを移動し、アプリケーションソフトやドライバーソフトを必要に応じてインストールしなければならない。
おすすめは、Windows 7でデータをバックアップし、手動で復元する方法だ。別途ソフトを購入することなく、データを確認しながら確実に作業を進められる。
Windows 7パソコンにおける各種データのバックアップ方法と、Windows 10パソコンへの移行方法は、これまでの本連載の記事を参考にしていただきたい。
バックアップデータの復元は、Windows7パソコンにWindows 10を新規インストールするケース(第5回)とまったく同じだ。
手動でのデータ移行は確実なのだが、いかんせん手間がかかる。もっと手軽に移行したいという方は、市販の引っ越しソフトの利用を検討するのもいいだろう。
今回利用したのはAOSテクノロジーズの「ファイナルパソコン引っ越し Win10特別版」だ。開発元であるLaplink社のCEOであるトーマス・コール氏は元マイクロソフトのドイツ支社長であり、パソコンの引っ越しでは定番のソフトとなっている。
データの引っ越しは、専用のUSBリンクケーブルやLANクロスケーブルを使う方法のほか、ネットワークやWi-Fi、外付けハードディスクやUSBメモリーの利用など、選択肢が多い。今回は、USBリンクケーブルが同梱のソフトを使って引っ越しをしてみた。
ファイナルパソコン引っ越し Win10特別版 専用リンクケーブル付き
手順は簡単で、新・旧のパソコンにソフトをインストールしておき、まずはWindows 7パソコン側で引っ越しの準備をする。あとはパソコン同士をUSBリンクケーブルで接続し、Windows 10パソコン側で移行するデータを指定したら実行する。これだけだ。
移行できるデータは、以下のような幅広いデータに対応する。ただし、環境によっては対応データであってもうまく移行できないケースがあることは理解しておいてほしい。
・Windows環境
デスクトップの背景、ユーザーアカウント
・各種データ
デスクトップ、「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」「ミュージック」フォルダ、指定したフォルダ、はがきソフトの住所録
・メールアカウント、アドレス帳、メールボックス
Windows Liveメール、Outlook Express、Outlook、Thunderbird、Becky! InternetMail
・Internet Explorerの「お気に入り」とスタートページ
(ChromeやFirefoxはアプリケーションごと移行可能)
・アプリケーションソフト
・音楽データ
iTunesの場合はライブラリの音楽、ビデオ、プレイリスト
では、実際に引っ越しをしてみよう。ソフトを新・旧パソコンにインストールしたらはじめに、製品に付属の「簡易マニュアル」に従い、スキャンディスクの実行やセキュリティソフトの例外設定、ファイアウォールの無効化などを行う。
Windows 7パソコン側の操作
ソフトを起動し、「新しいパソコンへの引っ越し」を選んで「次へ」をクリックする。
「新しいパソコンへの引っ越し」を選んで「次へ」をクリック
注意事項が表示されるので内容をよく確認し、問題がなければ「上記の内容を読み、同意します。」にチェックを入れて「次へ」をクリックする。
「上記の内容を読み、同意します。」にチェックを入れて「次へ」をクリック
新旧どちらのパソコンであるかを選択する画面になるので、「古いパソコン(移行元)」を選択して「次へ」をクリックする。
「古いパソコン(移行元)」を選択して「次へ」をクリック
移行方法の選択画面になるので、自分が利用する方法を選択して「次へ」をクリックする。ここでは、「専用USBリンクケーブルで引越し」を選んだ。
移行方法を選んで「次へ」をクリック
この画面になったら、専用USBリンクケーブルを両方のパソコンに接続する。専用USBリンクケーブル以外を使う場合は、画面の指示に従う。
両方のパソコンに専用USBリンクケーブルを接続する
Windows 10パソコン側の操作
Windows 10側でも7側と同様に画面を進め、パソコンの選択画面になったら「新しいパソコン(移行元)」を選択して「次へ」をクリックする。
「新しいパソコン(移行元)」を選択して「次へ」をクリック
Windows 10側では、ソフトの「ファイナルパソコン引っ越し」のライセンスキーを登録する。この画面になったら、名前とメールアドレス、製品に同梱のライセンスキーを入力し、「次へ」をクリックする。
名前、メールアドレス、ライセンスキーを入力して「次へ」をクリック
移行方法の選択画面になるので、7側で選んだものと同じ方法を選択して「次へ」をクリックする。ここでは、「専用USBリンクケーブルで引越し」だ。
Windows 7側で選んだのと同じ方法を選択して「次へ」をクリック
Windows 10では「OneDrive」が標準搭載のため、「OneDriveへの移行」画面が表示される。「OneDrive」にデータを移行するには、フォルダーを選択。内蔵ディスクに移行する場合はチェックを外したまま「次へ」をクリックする。
データを「OneDrive」へ移行するかどうかを決めて「次へ」をクリック
この画面で、移行するデータを詳細に設定する。各項目をクリックすると設定画面が開くので、移行したいデータをもれなく指定しよう。
アプリケーションは選択画面を開くと、移行後に正常に動作するかどうかも表示される。正常に動作するソフトは緑色で表示されるので、緑色で表示されるソフトだけを選んでおこう。
当然のことながら、移行するデータは新パソコンの空き容量以下でなければならない。容量が不足する場合には、次の画面で警告が表示される。
移行したいデータを指定して「次へ」をクリック
設定内容の確認後(移動にかかるおおよその時間も表示される)、「次へ」をクリックすると移動が始まる。
転送が始まったら、作業が完了するまで新旧パソコンとも、他の作業をしたり電源を切ったりしないこと
転送が完了したらレポートで作業内容を確認できるので、チェック。また、指定したデータが正しく移動されたか、アプリケーションソフトは正常に動作するか、確認しよう。
新しいパソコンを購入する場合、データの移行やアプリケーション・ドライバーソフトのインストールなど、Windows 7パソコンと同じ作業環境にするには手間がかかる。
一度にまとめて済ませたいところだが、急いで作業を進めるのはトラブルの元だ。ここはひとつ、落ち着いて確実に作業を進めていただきたい。
市販ソフトを利用しての引っ越しも、操作は簡単なのだが画面をよく読み、慎重に設定をしていこう。警告などを読まずに進めると、思わぬトラブルが起こることもあるので要注意だ。
パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。