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2019年10月27日 紙面から
Jリーグ草創期にグランパスを支えたGK伊藤裕二
Jリーグのお荷物-。かつて名古屋グランパスが、そう呼ばれた時代があった。Jリーグ開幕の93年は10クラブ中9位、94年は12クラブ中11位と低迷。伊藤さんはハーフナーと競い、正GKに定着していった。
「当時は高校生、大学生、社員選手だった人がいて、それぞれのサッカー観でプレーしていた。攻守の軸がないから、コーチングも何を言えばいいか…。みんなが同じ方向を向けていなかった」
転機は伊藤さんが主将となった95年。後にアーセナル(イングランド)を23年間指揮するベンゲル監督が就任した。
「ピクシー(ストイコビッチ)が『いい監督だぞ』と。よく言われたのはディシプリン(規律)。練習は3時間だったのが、1時間半でぱっと終わる。口にするものに厳しく、ホテルで出てきた食事を下げたこともあった」
求める基準は高く、シーズン序盤は苦戦した。だが、指揮官とチームがかみ合い出すと、95年は年間3位。天皇杯で初優勝を果たした。
「最初は監督の所に行って『もっと勉強したい』と言ったこともあった。ベンゲルさんも歩み寄ってくれて、欧州ではここまで細かく教えないだろうということまで教えてくれた。すっと幹となる部分を作ってくれて、チームのベクトルが合うのを感じた」
苦しい時期を乗り越えベンゲル監督の下で初タイトルをつかんでいる。
「悪かった2年間はいろいろな不満が出ていた。だけど、ベンゲルさんが来てからは同じ方向を向いていたし、『もっとこうしたい』とかポジティブな発言が増えた。うちの選手にも『ネガティブからは何も生まれない』とよく伝える」
指揮官の熱意に選手が呼応し、チームが蘇った。だからこそ、J1残留争いの渦中にいるチームにもこう伝える
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