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2019年10月27日 0時17分
6月16日のロッテ戦、9回裏2死満塁、加藤は内角を要求、鈴木にサヨナラ打を浴びる
今年もまた、積年の課題を解消することはできなかった。中日の黄金期を支えた谷繁元信捕手(元中日監督)が現役を引退した2015年の数年前から抱えてきた正捕手問題。捕手の育成に定評がある伊東ヘッドコーチが就任した今年、与田監督は1軍出場わずか5試合の加藤を開幕スタメンに抜てきした。強肩を誇るプロ5年目はシーズン序盤こそ期待に応えていたが、そう長くは続かなかった。
7月4日の巨人戦(東京ドーム)、先発・ロメロが2回に4点を失って試合が壊れると、ベンチは5回の攻撃で加藤に代打・木下拓を送った。いわゆる懲罰交代。3日後の7日には、2軍落ちを命じた。もう我慢の限界だった。およそ半月前、伊東ヘッドコーチがため息交じりにこうつぶやいていた。
「セオリーにないというか、エッという首をかしげるようなリードなんだよ。今季頑張ってくれていると思うけど、まだその辺がね」
6月16日のロッテ戦(ZOZOマリン)で9回に6点を失ってサヨナラ負けを喫した直後、伊東ヘッドが配球の意図を尋ねても、明確な根拠を説明できなかったという。速球派のR・マルティネスに変化球を多投させ、鈴木大地にサヨナラを浴びたシーンもロドリゲスに要求したのは相手が得意とする内角…。もちろん、未熟だけに試合中はベンチから何度も指示を送っていた。ミーティングでは愛を持って厳しく反省を促したこともある。だが、期待とは裏腹に、どんどんやつれていった。心身ともに限界が近づいていた。
「初めての経験で悩んだりもしました。人に頼ることもできず、自分で抱えることもありました。元気がなくなっていました」。加藤は当時の状況をこう振り返っている。「今年がダメなら終わり」と意気込んでいたが、重圧や疲労は想像以上だったのだろう。さらに不運だったのがサポート役として期待していた大野奨が5月末に右肘のコンディション不良などで2軍再調整。育成プランは崩壊していた。
中日は2002年に当時の横浜(現DeNA)からFA宣言した谷繁を獲得して以降、今年1年目の石橋まで、計13人もの捕手をドラフト会議で指名してきた(育成選手を含む)。その中には当時のドラフト1位といえる希望枠(田中大輔)の選手もいる。だが、誰も正捕手の座をつかむことはできていない。FA市場にも目を向け、2017年オフには日本ハムから大野奨を獲得したが、右肘手術の影響もあって、期待に応えられていない。長年「ポスト谷繁」と言われ続けたが、いまだ後継者は育っていない。
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