目黒区女児虐待死事件の連載第2回。前回につづいて、今回は虐待がはじまったところから話をつづけたい。
香川県で暮らしていた時、船戸雄大と優里の子供である結愛ちゃんは、2度にわたって児童相談所に保護されている。
最初の一時保護は、結婚から8ヵ月目の2016年のクリスマスだった。
この日、雄大は、結愛ちゃんが家にあったお菓子を勝手に食べすぎたことに激怒して手を上げて、外へ放り出した。真冬に4歳の子供が外に出されていれば、近隣住民が不審に思って通報するのは当然だ。やってきた警察が結愛ちゃんを保護したところ、父親に叩かれたという証言を得たので児相へ引き渡した。
児相は、優里と雄大を呼び出して事情を聞いた。当初、雄大は手を上げたことは認めたものの、虐待ではないと主張した。だが、担当の児童福祉司がくり返して子供への暴力は虐待になるのだと説明したところ、渋々「手を上げたことは悪かった」という言葉を発した。だが、反省の色はなく、このように言い訳をした。
「結婚するまで(優里が結愛ちゃんに対する)しつけをしていなかったから、自分が(代わりにしつけを)やっている。ここまで結愛ができるようになったのは自分がしつけをしたからだ」
あくまで自分のしたことは正しかったという姿勢を崩さなかったのだ。児童福祉司が結愛ちゃんの何が問題なのかと尋ねると、雄大はこうつづけた。
「結愛が嘘をつく。何回注意しても直らない。それと食べることに執着して食べ過ぎてしまう」