上原佳久
韓国で活動するチャン・リュル監督が福岡ロケで撮影し、ベルリン国際映画祭やアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された映画「福岡」が、日韓関係悪化の影響を受け、両国で劇場公開の見通しが立たないままになっている。日韓の長年の文化交流が実を結んだ作品で、関係者が上映の機会を探っている。
「映画を撮ったのは、福岡の街になじみ、もっと知りたいと思ったからです」
9月15日、福岡国際映画祭での「福岡」上映後のシンポジウムで、チャン監督は聴衆にそう語った。
チャン監督は中国吉林省出身の朝鮮族。カンヌ、釜山などの国際映画祭で受賞を重ね、近年は韓国を拠点に活動している。福岡国際映画祭には、2007年に初めて参加して以来、今年で7回目。「新作が完成するたびに呼んでもらっている」という常連だ。
長年の交流から、福岡での新作撮影の構想が固まると、映画祭スタッフだった西谷郁さんが日本側のプロデューサーに就任。福岡フィルムコミッションなどの協力もあり、18年春の福岡市でのロケが実現した。
今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに選ばれた「パラサイト」(ポン・ジュノ監督)の主要キャストだったパク・ソダムさんら、韓国の有名俳優が出演。韓国で古書店を営む男性が福岡を訪れ、かつて1人の女性をめぐり争った旧友と再会するという物語が完成した。
1991年、映画を通じたアジアとの交流を旗印にスタートした福岡国際映画祭(当初は福岡映画祭)。梁木(はりき)靖弘ディレクターは「10年かけて培った友情のたまもの」と、地方都市ならではの息の長い交流が実を結んだことを喜ぶ。
「福岡」は今年2月、ベルリン国際映画祭で世界初上映。チケット完売で追加上映もされ、好評だった。
だが、日韓関係の悪化により、…
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