台風や豪雨により、河川の氾濫、住宅地の浸水や土砂災害が相次いでいるなか、その土地が「本来持っている自然災害リスク」がわかる国土地理院のサイトが話題を呼んでいる。
話題になってるのは、国土地理院の提供している「地理院地図」の「地形分類図」だ。
その土地の成り立ちから、「土地が本来持っている自然災害リスク」をワンクリックで確認することができる。
台風が相次ぐなか、「もっと知られても良いと思う」と呼びかけるツイートは2万以上リツイートされた。
国土地理院によると、東日本大震災では、かつて川や沼だった場所で「集中的に液状化現象」が生じた。こうしたことを受け、誰でも使える形で2016年から提供が始まったという。
台風19号の影響により道路が冠水し、水に漬かった車両(川崎市)
サイト上では、地図に重ねる形で、その土地の「自然地形」「人工地形」を確認でき、クリックすると、どのような災害リスクがあるのかも表示される。
たとえば、「旧河道」はこのように解説されている。
かつて河川の流路だった場所で、周囲よりもわずかに低い土地。流路の移動によって河川から切り離されて、その後に砂や泥などで埋められてできる。
河川の氾濫によって周囲よりも長期間浸水し、水はけが悪い。地盤が軟弱で、地震の際の揺れが大きくなりやすい。液状化のリスクが大きい。
一方で、人工地形の「高い盛土地」はこうだ。
周辺よりも約2m以上盛土した造成地。主に海水面などの水部に土砂を投入して陸地にしたり、谷のような凹地を埋め立てて造成した土地。
海や湖沼、河川を埋め立てた場所では、強い地震の際に液状化のリスクがある。山間部の谷を埋め立てた造成地では、大雨や地震により地盤崩壊のリスクがある。
まず、身の回りの確認を
浸水した川崎市の住宅街
国土地理院は「地形と自然災害は、密接な関係があります」として、身の回りの状況確認や、防災対策や宅地開発等の計画の策定、学校教育・防災教育などで活用してほしいと呼びかけている。
あくまで「地形分類項目ごとの一般的なリスクを表示しており、個別の場所のリスクを示しているものではありません」としているが、事前に確認しておくことは、災害時への備えになるだろう。
「自然地形」「人工地形」の閲覧はこちらから。全国で使えるわけではないが、順次公開地域は広がっている。スマートフォンでも見ることができる。
また、地理院地図では、こうした情報だけではなく、避難所や過去の災害が起きたエリア、「自然災害伝承碑」の位置などを確認することもできる。ハザードマップなどとともに活用したい。