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2019-10-26

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・じぶんはそうじゃない、
 ということもない。

 そういうものごとが、いくつもある。

 負けず嫌いのひどい人のことを、ぼくは笑う。
 もうちょっと、その、いいじゃないかそのままでと、
 なぐさめるように、いさめるように笑いながら言う。
 でも、ぼくにも、そういうところはある。
 ないとは言えない。

 嫉妬深い人を見つけてしまって、つらくなる。
 それは、相手ばかりでなくじぶんをも苦しくすると。
 あわれむように、あきれるように思いながら黙る。
 でも、ぼくにも、そういうところはある。
 ないわけじゃない。

 なんでも信じる人がいたりすると、まさかと思う。
 そんなことで、よくご無事にやってこられたものだと。
 うらやましがったりもするし、首を傾げてしまう。
 でも、ぼくにもそういうところはある。
 ないわけじゃない。

 つまらないところでケチな人に、ちょっと顔をしかめる。
 それは、だれにもよろこばれないことだぜといらつく。
 考えが足りないのではないかと、ちょっと見下す。
 でも、ぼくにもそういうところはある。
 ないわけじゃない。

 負けず嫌いで、嫉妬深くて、騙されやすくて、ケチ。
 そういうところが、ないわけじゃないし、
 なくて済むなら、ないほうがいいなぁとも思っている。

 ないほうがいいなぁと思うことを、
 ないようにならないものかと、こらえることを、
 「やせがまん」というのではないだろうか。

 少しずつ「やせがまん」を練習していくと、
 それなりに、もうすこしじぶんを好きになれる。
 何十年もかかって、数ミリずつなのかもしれないけど。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
落語の人情噺というのも、「やせがまん」の物語ですよね。


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