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 台風の爪痕が残る被災地を猛烈な雨が襲った。25日、千葉県を中心に関東から東北地方は激しい雨に見舞われた。「もう、こりごり」。水につかった自宅の片付けを中断して避難してきた人たちから、悲痛な声が漏れた。

 「ドンという音で外に出たら、隣の家が横倒しになっていた。台風15号では被害がなかったので、びっくりした」

 千葉市緑区誉田町に住む大松崎賢次さん(63)は、途方に暮れた様子で話した。25日午後1時15分ごろ、土砂崩れで近くの住宅2棟が倒壊、1人が死亡した。現場は山あいにある住宅地。大松崎さんが娘と孫と3人で暮らす自宅も土砂で半壊したという。

 午後1時35分ごろには同区の別の場所でも土砂崩れが起き、住宅1棟が巻き込まれ、住人とみられる60代男性が死亡した。

 千葉県などによると、長南町の80代男性が車のそばの側溝で亡くなっているのが見つかった。長柄町では、80代男性が冠水したとみられる車の中で見つかり死亡を確認。ほかに男性1人の行方も分かっていないという。

 市原市では養老川が氾濫(はんらん)し、道路や畑が冠水。折れた木々が大量に流され、川岸の竹林とぶつかり「バキバキッ」という音が周囲に響いた。

 畑が水につかった同市下矢田の林俊光さん(84)は「台風15号、19号のときよりもすごい。ダムができてから、こんなに水かさが増すことはなかった。いつもは静かな川なのに」。畑では大根やニンジン、サツマイモなどを育ててきた。「自分たちで食べたり、近所の人にあげたり。ようやく収穫になる野菜もあった。早く水が引いてくれないと、だめになってしまう」

 市原市内の交差点では、ひざ丈ほどまで冠水し、車が数台立ち往生したところもあった。近くの自動車整備会社に勤める加藤喜成さん(49)は「バケツをひっくり返したような雨で、一気に水があふれ出した」と語った。

 千葉県内では、25日夕方までに48市町で土砂災害警戒情報が発表された。市原、佐倉など11市で避難指示、39市町で避難勧告が出された。午後8時時点で、47市町の336カ所に避難所が設置された。家に帰れず、生徒たちが宿泊する高校もあった。

 水戸市の市立飯富中学校には、台風19号で浸水した自宅の片付けを切り上げた人たちが不安そうに身を寄せていた。中学校は、台風19号の被害で避難所となっている。同市岩根町の主婦小圷(こあくつ)秀子さん(67)は、床上浸水した自宅に片付けに行っていたが、雨がひどくなり、午後3時半ごろ避難所に戻ってきた。「片付けは終わりが見えない。また浸水したら一からやり直しになることが、一番怖い」

 台風19号で9人が犠牲になった福島県いわき市。同市好間町の主婦(54)は昼過ぎ、高台にある中学校に長女(18)と避難した。自宅近くの好間川の堤防は、決壊した後本格復旧していない。「避難所が満杯で断られる人もいたので、早めにと思った」と話した。

 同様に台風で大きな被害が出た…

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